まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

合弁契約と定款自治

2014-02-24 21:44:59 | 企業一般

 

  • 2005年の会社法制定では、定款自治が拡大されたと言われていますが、新設会社では本等に記載されている定款の雛形を持ってきたり、既存の会社でも従来の定款の延長であったり、また日本のベンチャーキャピタルは出資を検討する場合も、定款の大幅変更を要求する場合は少ないので、今まで通りの定款が多いように思います。また最近検討されている会社法改正でも、「監査等委員会設置会社」(指名・報酬委員会の設置義務無く、また執行役も設置されない)という、従来の委員会設置会社とは違う類型を設けて型に嵌めようとしています。

 

 

  • では外国ではどのようになっているのでしょうか。米国では、会社法(模範事業会社法等)では委員会を設置できるとしか規定していないですね(NYSEのルールでは規定されている)。ですから財務委員会、業務委員会等いろんな委員会をBy ?Lawsで定めて設置しています。定款自治が大きく認められている訳ですね。インド等の会社法では合弁契約の組織の規律の部分は、そのまま定款(付属定款)とすることが出来ます。中国の有限公司の場合もそうですね。株式会社ではありませんが、米国各州のLLC法等は、いくつかの基本的規律さえ守れば、相当自由に組織の規律を定めることができます。

     

  • では定款自治を認めている外国合弁会社では、どれぐらいの事を記載すればいいのでしょうか?いろんなことを書いてもかなり定款として認められているようですが、やはり各国の専門の弁護士は豊富な事例を積み重ねたデータベースを持っていますので、専門家に作ってもらうのが良いでしょう。しかし、会社法制にもよりますが、きちんとした定款なら、絶対的記載事項に加えて、以下ぐらいの事まで記載してはどうでしょうか? ということで自治に基づく定款記載項目例を挙げてみましょう。(絶対的記載事項も含んでいます)

 

Definitions, Purpose and Scope, Operation of the Company, Amount of Capital, Shares, General Meeting of Shareholders, Board of Directors, Management, Auditor, Accounting, Profit Sharing (Distribution of Dividend), Modification of Articles of Association, Liquidation of the Company

 

  • これを見ると、合弁契約に記載して定款にないものは以下ぐらいでしょうか。

    Representation & Warranties, Conditions Precedent, Responsibilities of Each Party, Finance, Governing Law, Resolution of Disputes, Waiver of Rights, その他契約の一般条項。

     

  • 定款等あればよいということで、交代した役員・CEO等は定款を読まない人もいますし、定款を作ってもその通り運用していないマネジメントも多いですね。上場企業の子会社では内部統制の遵守も必要ですから、定款をキチンと読んで、ガバナンスを利かせて会社を運営して欲しいものですね。

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Tag Along & Drag Along条項

2014-02-05 22:03:00 | M&A

 

○ Tag Along等の言葉で検索して私のブログを見に来る人も増えているようなので、少し例文的な、Tag Along & Drag Alongの文章でも書いて見ようかという気になりました。<o:p></o:p>

 

○ Tag Along & Drag Along条項について、1333日のブログで「Tag Along & Drag Along条項の濫用」ということで、海外現地パートナーと合弁会社を設立して製造拠点等を保有し、腰を据えて長期的に事業を行うメーカ等が安易に入れるべき条項ではないと言いました。従い、私の作成する合弁契約にはFirst refusal rightぐらいは入れますが、Tag Alongは入れません。しかし、最近は、合弁相手が弁護士に見せると殆どのケースTag Along & Drag Along条項を入れて返してきます。こちらが過半数を保有し、相手が少数株主のとき、こちらが売却するときはパートナーにもTag Along条項は認めます。しかし、Drag Alongは、原則は売却参加義務ですから、売却に参加するかどうかは相手の意思ですので、削除して返します。<o:p></o:p>

 

○ Tag Along条項について、原則はMajority Shareholder(以下「主売却株主」)が、株式を第三者に売却しようとするとき、少数株主にもその売却に参加できる権利を与えないと、主売却株主だけうまく会社を売り飛ばして、少数株主が置き去りにされるはいやだと言う主張は尤もですからね。<o:p></o:p>

手続きは、まず既存の他株主(及び対象会社)に、自分は売却するよという通知(Transfer Notice)して、他株主に一緒に売却できる機会を与えることから始まります。<o:p></o:p>

 

1) Each of the Shareholders other than the Transferring Shareholder shall have the right (the “Tag-Along Right”) but not the obligation to require the Transferee to purchase from such Shareholder, for the same consideration per Share and upon the same terms and conditions as to be paid and given to the Transferring Shareholder, up to a maximum number of Shares equal to such Shareholder’s Pro Rata Share multiplied by the Transferred Shares.

2) Within one (1) month following the delivery of a Transfer Notice, each Shareholer who elects to exercise the Tag-Along Right shall deliver a written notice of such election to the Transferring Shareholder, specifying the number of Shares with respect to which it has elected to exercise the Tag-Along Right. Such notice shall be irrevocable and shall constitute a binding agreement by the Shareholder to transfer such Shares on the terms and conditions set forth in the Transfer Notice.<o:p></o:p>

 

 

 このとき問題になるのは、主売却株主が、第三者に売却するときに行っているRepresentation, Warranties and Indemnificationを、この少数株主がどこまで負うべきかという問題があります。51%:49%の株主で49%の株主が51%株主と一緒に売却するときは、49%を限度として、主売却株主とはSeverallyに責任を負うのも一案ですが、10%しか保有していなくて、会社の実情も把握していない少数株主にも、主売却株主と同様(但し10%の限度)のRep.& Warranties & Indemnificationを負わせるのは酷ですね。→まあ、本当はそういった事まで考えて記載しないといけないのですが、実際はそこまで記載している契約書はあまり見ませんね。<o:p></o:p>

 

また、第三者の買主が、Tag Alongが行使されたときに、当該株主の株式まできちんと買ってくれれば良いですが、資金的な事情などから、一部しか購入できないときは、当初の主売却株主と合わせて、案分比例分しか買わない場合もあります。その場合の条項等も入れる場合もあります。いろんなケースを想定すると、どんどん契約書が膨れ上がります。

 

 Drag-Along条項の簡単な例.

特別決議を可決できる持株を持つ株主(複数の株主が共同で行ってもよい)が、会社を売却しようとするとき、買主が、少数株主を排除して100%保有したいと希望する場合があります。特別決議でなくても、過半数保有株主が売却するときも(別の言葉でChange in Controlが生じるときなどという言い方をするときもあります)、少数株主排除を求める買主が出てくるかもしれません。会社の売買が頻繁な米国等では、そのときに少数株主保有の株式を、契約上強制的に売却させるように、道連れ条項としてDrag Along条項を入れます。<o:p></o:p>

n the event that the holders of more than 67% of the outstanding Ordinary Shares (the “Dominant Holder”) accept an offer to purchase their Shares from a bona fide third party, the Dominant Holders shall send a written notice (the “Drag-Along Notice”) to the other Shareholders (the “Drag-Along Sellers”) specifying the name of the purchaser, the consideration payable per Share and a summary of the material terms of such proposed purchase. Upon receipt of a Drag-Along Notice, each Drag-Along Seller shall be obligated to sell all of its Ordinary Shares, free of any Encumbrance, in the transaction contemplated by the Drag-Along Notice on the same terms and conditions as the Dominant Holders.<o:p></o:p>

 

<o:p></o:p>

 

 

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