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第二次世界大戦の支払った代償に学ぶ

2007-05-18 | ラジオ
先週一週間、歴史上の大きな記念日である、ナチス・ドイツに対する勝利
の日が世界中で祝われた。
この戦争で支払われた代償に付いて、ロシアの声の政治評論委員は、次
のようにコメントしている。
ロシアごとき第二次世界大戦がナチス・ドイツに対する勝利に終わらず、ヒ
トラーの第三帝国が、その計画を実現していたとすれば、今日の世界は全
く違うものとなっていただろう。
また民社主義、人権、民族の自由、平等と言ったものも、この世に存在して
いなかったはずだ。

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ロシアにとってこの大勝利は、気の遠くなるような高い代償を払って得られた
ものだ。これによって2200万人近くの人々が命を奪われ、それに続く世代の
運命も大きく歪められてしまったからだ。
またこれはロシアだけのことではない。同じくアメリカ、イギリスフランスなど
反ヒトラー同盟の国々が、ファシズムとの戦いのために何十万人もの人命、大
きな物質的損害を支払った。
これだけに多くの人々が亡くなり、犠牲となった戦いを経た私達はその痛みを
記憶を刻み、全世界が経験した大きな悲劇に多くのことを学ばなければなら
ないのだ。
ファシズム時代に行われた蛮行はあまりにも大きく、またドイツによるその戦力
は、とてつもなく強力だったため、これを一国で打ち負かすことは到底不可能だ
ったからだ。

ヒトラーVS.スターリン 独ソ開戦―盟約
から破約へ


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今日世界は別の深刻な脅威にさらされている。その一番至近な例として挙げら
れるのは、国際テロリズムの脅威だ。
その犠牲となったのは2001年9月11日の同時多発テロで、恐怖に震えたアメリ
カだけではない。同じようにモスクワも、一般住民の住むマンションが爆発され、
スペインでも頻繁に人質事件が起きていることから、この国際テロリズムは国際
社会にとって、今や一番手ごわい脅威ととなっていることが判る。

ところが残念にことに、この国際テロリズムが現在の世界にとって、唯一の脅威
とは限らない。新たな脅威となっているのが環境破壊の問題だ。
環境破壊はその危険も益々顕著になり、人類の文明を脅かしているだけでなく、
地球上に住む全ての生き物の命がこれによって危険にさらされている。
環境破壊が拡大する理由は、人間の活動が原因であることは間違いない。
過去二世紀半に亘る産業は、地球に到底力の及ばぬ負荷を掛けたといえるだろ
う。
環境は悪化の一途を辿り大気汚染、海洋汚染は、もはや我慢できない段階まで
達してしまった。
また森林破壊や土壌の侵食も範囲を拡大し続けている。
これに関して世界中の大学で権威ある専門家達が論議を戦わせている。
状況を楽観的に見守る人々は、環境破壊が恐ろしい結果を招くのは100年後から
150年後のことだと断言し、これに対し悲観論者達は今、緊急な手立てを打たな
いと、30年から50年後に危機的な状況が訪れると主張して譲らない。

こうした脅威は一国だけで解決し得るものではない。今から65年前に戦争を終わ
らせるため各国が力を合わせた様に、先ず最も産業の発達した国が、そうした問
題の解決に力の及ぶ国が先頭となって、全ての民族の力を集結せねばならない。
国際社会の力を一つに合わせ、解決を図らなければならないのは環境問題だけ
ではない。
ここ数年、淡水が地球上でだんだん少なくなっている状況。そして死に至る恐ろし
い病が広がっている状況。
こうした人類がまだ解決手段を持たない、恐ろしい脅威に勝つためには、あの戦
争で勝利を得るために国々が協力し合った時の経験を、具体的に生かす必要が
あるのだ。

今日の世界でロシアを抜きに、こうした大きな協力を行うことが出来るかどうか、こ
こで議論する必要は無いだろう。
ロシアが活発に参加しなければ、国際テロリズムの脅威と戦うことも、環境問題や、
その他恐ろしい脅威に立ち向かうことも出来ない。

戦争の歴史的意義は、その経験や代償が今日、人類の人間社会が直面する問題
を解決するために、唯一の正しい方法を見つける上で非常に役に立っていることに
もなるのではないか。

5月14日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル