ITSを疑う

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首都高距離別料金 なぜ無理して導入するのか?

2007年09月25日 | 高速道路
首都高の距離別料金制度は、ETC未装着車の扱いや長距離利用者をどう納得させるか等、極めてハードルが高い-見方によっては無理筋ともいえるような内容だ。

なぜこんなに困難な施策を首都高速道路は強行する必要があるかがわからない。

広報資料にある「一部のお客様から利用料金の長短にかかわらず同じ料金であるのは不公平だ」という声が寄せられたから、という主張を真に受ける者はいないだろう。

実は民営化の時点で、首都高は資産を保有する(独)日本高速道路保有・債務返済機構との間で距離別料金制への移行を約束しているのだ。

では、何故そんな約束をしたのだろう?

首都高速は2050年までに償還するために15.9兆円の通行料を集めなければならない。で、どうやら現在の定額料金ではそれが実現できないらしいのだ。

ところが、首都高は距離別に移行しても平均料金は700円とかわらず、値上げではないとしている。

ここからは私の想定だが、以下の事情があると思う。

・距離別料金の導入で、低額区間の利用は増大するが高額区間の利用はさほど減少しない、と見ている。

・中央環状線の整備は首都高速の使い勝手を向上させる事になるだろうが、この路線開通は長距離利用を促進する。来年以降、700円以上の区間利用は現状よりも増えることになる。

・今回の料金改定はある程度の強制力をもってETCを普及させることになる。現金利用者をゼロには出来ないだろうが、料金収受員の絶対数は確実に削減できる。

はっきりいって、実質値上げでなければわざわざこんなに苦労をしてまで導入するわけがない。

そもそも高速道路の利用区間距離、特にゾーン内料金の場合は、通常の財とは異なり長短が効用の大小にリニアに関係するものではない。「利用者の不公平感」なんて言い訳はちょっとなんだかなぁ、と思う。