ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

ORSEの報告書を読んで

2011年01月13日 | ITS
馬淵国交相のORSE見直し発言に絡んで、ORSEのWEBサイトの事業報告をチェックした。
事業報告は大きな問題はないように思えるが、実態は報告書ではわからない。しかしいずれにしても事業収入40億円、事業支出が30億円程度の公益法人であり、固定費や投資、業務内容などをみても、巷間いうような巨悪が潜んでいるようには思えなかった。

しかし、現状で収支はバランスしており、もしセットアップ手数料525円を徴収しているとしたら21年度でプラス40億円(セットアップ約800万件)の収入増となっていた。
公益法人なんだから、これを還元することは至極当然のことだろう。

むしろ、私はORSEよりもITSスポットと称するETC技術を利用した路側機設置を問題にしてほしい。
今年の1月から3月の間に250億円をかけて高速道路の1600か所に設置されるが、これが250億円に値するものだとは到底思えない。第一、肝心のそれを活用するための車載器の普及について見通しは全くない。
証拠がないのにこれはITS関連機器メーカーとの利権だ、と憶測で軽々しく言うつもりはまったくない。
でも、ITSがらみでメーカーにここまで開発投資をしてもらった以上は導入しないとまずい、というような事情は容易に想像できる。

しかし、それでも税金の無駄使いであることには違いがない。

ORSEに戻るが、その報告書には「ETC多目的利用の推進」という項目がある。駐車場などにおけるETCの民間決済利用であるが、平成21年までの累計でわずか10社としか契約をしていない。これには複数のフェリー会社と、箱根ターンパイクが含まれる。ほとんど実績はないに等しく、ビジネスとしては失敗だったと言わざる得ないだろう。

ITSスポットといい、この多目的利用といい、ETCのその他アプリケーションはどれもうまくいかないだろう。そりゃそうだ。ETC技術でこんなことができる、という発想だけで無理やりすすめた結果だ。
そこにはきちんとユーザー目線での検討がされた形跡がない。

もうDSRCは高速道路料金ノンストップ収受だけに使う、ということで割りきって、ビジネス拡大よりもコスト低減にフォーカスした方がいい。