ITSを疑う

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首都高の距離別料金制 価格見直し?

2008年02月10日 | 高速道路
ちょっと前になるが、首都高の距離別料金制について、その料金幅400円~1200円を500円~1000円にすることで首都高速㈱は検討に入った、と産経新聞が報道した。

この真偽はわからないが、運輸業界の激しい抵抗をうけて最高料金の引き下げを検討していたことは事実であり、まあそんなところなのだろう。
上限をおさえたから、下限も持ち上げてバランスをとろうということなのだろうが、これには疑問もある。

首都高の距離別料金は、上限と下限ではその性格がまったく異なるということをわすれてはいけない。
首都高速には、一般道路という無料の代替サービスがある。
下限に近い領域においては、消費者は費用対効果で首都高の利用を判断する。
現在の料金でいえば、「700円」 対 「節約できる時間と運転の手間」、ということだ。
(もうひとつ、これはユーザーにはほとんど認識されていないが、交通事故のリスクも大幅に軽減するというメリットがある)

一方、上限に近い領域、たとえば千葉方面から東名や中央とか、埼玉から臨海新都心といった、首都を横断・縦断するルートに関しては、一般道路を使うという選択肢はあまりないだろう。
つまり、下限に近いあたりでは利用は価格弾性があり、上限ではあまり価格弾性がない、ということだ。

利用の7割が上限料金だと主張する運輸業もこうしたケースだ。現実問題として都心を横断・縦断する大型トラックが一般道路に下りてくるというのも歓迎されないだろうから、これは実質値上げであるといわれても仕方がないのかもしれない。

逆に、最低料金が500円では短距離でも使おうという需要増は限定されるように感じる。
むしろ最短一区間200円くらいからスタートした方がいいようにも思える。
引き下げはやり方によっては総収益にプラスに働くと思うのだが、どうなのだろうか。

さて、それ以上に不可解なのは、上限を引き下げることによる収入減を例の暫定税率で補填する、というのがこの話のオチだということなのだ。

国庫から補填するくらいなら、今のままにしておいてはいけないのか?
そうすれば、例の複雑なパッチ当て解決策「首都高X」だって不要だし。
そもそも距離別料金制導入に対して首都高㈱が説明に使う「全路線を均一料金とすることに対し、短距離しか利用しないドライバーの不公平感が増している」というのはどうしても信じられない。

短距離ばかり利用するユーザーがいないとは言わないけど、「短距離は費用対効果で利用を判断し、長距離は700円を享受する」というのが大多数のユーザーの感覚だとおもうのだが。