ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

ETCセットアップ減速

2005年08月21日 | ITS
最近ETCセットアップが減速していることで、国交省ほか関係団体は気をもんでいるようだ。
ETCは我が国のITS戦略の基軸であり、この普及が今後のITSに関わる全てのキーを握ると考えられているからである。

でも、いったい何がそんなに問題なんだろう?

消費者にとって、ETCとは料金所ノンストップ通行装置である。
消費者にとっての利便性は消費者が要否を判断することであり、さほど頻繁に高速を利用しないから不要だ、と思っている消費者に強要することは出来ないし、その意味も全くない。

一方、道路行政にとっては渋滞の軽減が第一の目的だろう。
渋滞軽減効果は既に現れているし、成長が鈍化したとはいえ、ETC利用率50%で渋滞が解消する、といわれていることから考えればもう目標達成は目の前に来ている。

ということは、第一の目的はすでに達成しつつあるのだ。

それに対して、国交省はETCの普及無くしてITSサービスの展開が出来ない、ということでさらなる普及促進をしたい様なのだが、ここに疑問がある。

一体なにが最終目的なのか?

ノンストップ料金収受以外のサービスとして、交通情報提供、DSRCサービスなどがあげられているが、それは本当に必要なのか。
ドライブスルーでのキャッシュレス決済が巨額を投じる国家プロジェクトの最終目的に値する事とはとても思えない。
目的ではなく、ETCを普及させるさせるための付加価値と考えるべきなのだろう。

では、交通管理や交通情報提供が最終目的なのか?

とすれは、新たな疑問が生じる。
交通情報提供ということは、安全に対する寄与であろう。しかし、いくら促進をしたってETCの普及は所詮絶対に100%にはならない。不要なユーザーは結構いると思われるし、必要でもクレジットの信用力がないためカードを作れない業務ユーザーもいる。
交通安全に関わる施策を、100%になる見込みのないデバイスに委ねて良いのだろうか?

だからといって、ETCは100%普及できないからDSRC付きスマートプレートを強制的に装着させようという動きもあるが、それはそれでおかしな話だ。
ITSありき、クルマへの通信機能ありきでみんなが考えているから、無茶な話が当たり前のように語られることになるのだ。

クルマに通信機能なんて要らないんじゃないか、という観点で見直すべきだ。
国交省はこの辺を一回原点に戻って整理する必要があるだろう。