SEA side

静けさの中で波の音だけが永遠に響きつづける。
美しいものとの出会いの記憶・・・・。

映画 「春の雪」

2005年11月02日 | 映画(ハ行)
 三島由紀夫の「豊饒の海」四部作中第一部の映画化だが、映画の方はシリーズになるとは思えないのでこれ独自で完結したものとみなすべきだろう。

 したがって原作のテーマ「輪廻転生」はすっぽり抜け落ちて純粋なラブストーリーに仕上がっている。とはいえ三島作品だけにドロドロした駆け引きの中に話が展開していく。

 仕掛けたつもりの自分自身がその罠の虜になってしまう悲劇が描かれるが、主人公の心がとても屈折しており、若者のそこまでの屈折に納得がいくかどうかで好き嫌いが分かれるだろう。

 役者では脇の大楠道代、岸田今日子と久々の若尾文子がさすがの安定感で見ごたえがある。またパンを多用したカメラワークが大きな効果をあげているように思った。

 原作は「輪廻転生」なので主人公が死なないことには次に続かないのだが、映画はむしろその逆のような暗示で終わる。そしてラストに宇多田ヒカルなのだが、どうなのでしょう?


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