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韓国映画の秀作。
楽しいこともない、どちらかというと重い日常が淡々と描写され、ハッピーなエンディングがあるわけでもないのに清清しい印象が残る。
その理由はこの映画の語り口にあると思うのだが確信はない。
ヒロインは中学生になる孫の男の子と二人暮らし。暮らしは楽とは言えず、ヘルパーの仕事をしている。物忘れも意識し始め、検査を勧められたりしている。そんな時に孫のグループがクラスメートの自殺事件に関わったことがわかり、示談に持ち込むためにヒロインも他の子供の父親に混じって奔走することとなる。
これがストレートに描かれたら普通の映画だ。ところが、一方でヒロインはカルチャースクールの詩作教室に通い始める。修了までに一編の詩を書くという課題で、そこで自分の周囲の世界を改めて見る、その「視点」の映画でもあるのだ。
老いた命と亡くなったクラスメートの命がいつの間にか重なり、死者の目で世界が捉えられたときの輝きで映画は語られていたことが分かる。ヒロインの作った詩の朗読とともに写されるラストの解釈は観客にゆだねられる。
だからという訳ではなく、映画そのものが切なく美しい詩のようだ。
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