SEA side

静けさの中で波の音だけが永遠に響きつづける。
美しいものとの出会いの記憶・・・・。

映画 「ゼロの焦点」

2009年12月22日 | 映画(サ行)
 松本清張原作のミステリー。生誕100年を記念して映画化されている。

 清張ものには名作「砂の器」があるのでつい比較してしまう。警官が知るある人物の過去がもたらす悲劇、という共通項で括ることができる。が話も表現もまったく違う。

 赤いコートの女が鍵となるが、この描写がブライアン・デ・パルマ監督調のショッカーかホラーかという雰囲気で処理されていることに加え、中谷美紀の狂気の演出が全体のあるべきトーンを壊していないか気になるところだ。

 時代描写と、暗い日本海の迫力ある映像に期待は高まったのだが、やや淡白にサクサクとストーリーが進行してしまう。

 女たちが「時代を生きるためにとった行為の哀しさ」に焦点を当ててじっくり描いて欲しかった。

映画 「ニュームーン / トワイライト・サーガ」

2009年12月03日 | 映画(ナ行)
 アメリカでは大ヒットだそうだ。WOWOWで見た前作「トワイライト 初恋」がなかなか良くできており続編にも期待したのだが・・・。

 「ドラキュラ vs. 狼男」の構図に「愛」を絡めて、三角関係のラブストーリーに仕立ててある。さらにヴァンパイアには敵対勢力もあれば、イタリアに総本山のような権力者グループもいる。とスケールはアップしているものの話の運びが少々もたついているのが惜しい。

 ロバート・パティンソン演じる主役の青年ヴァンパイアが恋にやつれて憔悴しきっているのだが、血を吸っていないのか青白い顔がさらに生気なく、23歳(役上は17歳)だそうだが老け顔に見えてしまう(ファンには怒られそう)。狼の方が若くて活きが良さそうだが、女性はやはり耽美系好みなのか?

 監督のクリス・ワイツは「ライラの冒険 黄金の羅針盤」の監督で、だからなのか狼の描写はなるほどという感じだ。

映画 「風が強く吹いている」

2009年12月02日 | 映画(カ行)

 ピュアで爽やか、まさに心の中を風が吹き抜けていくような気分させてくれる映画だ。

 箱根駅伝に挑む10人の大学生の物語。「七人のサムライ」も「スターウォーズ」も仲間集めから始まる。この映画は最後の一人の参加から始まる。が、既に集まっている仲間たちも目的は知らないでいるところがユニークだ。

 野球のようなチームワークではなく、一人一人が主人公になってタスキを繋いでいく。メンバーの個性もそれぞれの見せ場もそつなく描かれ、クライマックスへと流れていく。

 小出恵介のリーダーが素敵だ。管理、命令で統率というのではない。徹底的に裏方に徹して、この人の為なら何か力になりたいと、メンバーの方が思ってしまう。

 天才ランナー役・林遣都の走りの美しさは一見の価値がある。天才ピッチャー「バッテリー」、ダイヤモンドの瞳を持つダイバー「ダイブ!!」と出演作を通してスポーツ万能になっていくかのようだ。


映画 「2012」

2009年12月01日 | 映画(ナ行)

 大作監督ローランド・エメリッヒの最新作。ビジュアルのスペクタクル度に驚嘆した。

 崩壊する世界からの逃亡劇は間一髪の連続で、そう都合よく行くはずがないなど野暮は言わずに、そのスリルを楽しまなくてはならない。

 地震と津波と洪水と火山の噴火、あらゆる災害のオンパレードで総集編の感がある。神の怒りに触れた「世界の終わり」はすでに旧約聖書の昔からあるので、そこにヒントを得た人類の再スタートが描かれる。

 本作が「ノアの箱舟」なら少し前に公開されたニコラス・ケイジの「ノウイング」は「アダムとイブ」だ。見比べるのも面白いだろう。旧作「天地創造」も合わせて見るとさらに良い。

 エメリッヒ作品はいつも、見た事のない世界を眼前に繰り広げてくれる。ただその圧倒的スケールにもかかわらず、鑑賞後のイマイチ感があったが、本作はこれまでのエメリッヒ作品を凌駕、文句無く面白い。