SEA side

静けさの中で波の音だけが永遠に響きつづける。
美しいものとの出会いの記憶・・・・。

映画 「サード・パーソン」

2014年06月30日 | 映画(サ行)

 「第三の男」とは違うが、こちらもなかなかの名作。3つの都市の3つの話が並行的に語られる群像劇になっている。中の一人がリーアム・ニーソン演じる小説家である。

 自分自身のことを小説に書いているが、作中では「彼」と三人称で表現している。タイトルはそこから来ている。3つの話は子供に対する親の責任、という共通項があり、どこかで奇妙にリンクし、別の場所の話のはずが、空間的に重なったりもする。

 ひょっとしたら観客は主人公が書いている小説の中身を見せられているのではないかという疑問もわいてくる。明快な説明はないが、観客はそんな迷宮に放り込まれて、自分がどこにどう立って物語と対峙しているのかを考えることになる、そんな不思議な鑑賞体験を味わえる作品である。

 脚本家の頭で緻密に構成された世界をフィルムに再現するには自分で撮るしかないだろう。というわけで、名脚本家にして、名監督のポール・ハギスの世界が堪能できる。

映画 「アナと雪の女王」

2014年06月26日 | 映画(ア行)
 ようやく鑑賞できた話題作。日本語吹き替え版での鑑賞となったが、ミュージカルナンバーも含めて全く違和感はない。

 姫君と邪悪な魔女に白馬の王子、で成立するディズニーの定番と言えば「白雪姫」「眠れる森の美女」である。それに、闇の世界が再び光に包まれるという「ライオンキング」のミュージカルエッセンスを加味して、ヒット間違いなしの愛すべき作品が生まれた。

 ただし、今の時代らしいひねりがある。まず、邪悪な魔女は出てこない。善悪の対立がここでは姉妹の葛藤に置き換わり、コントロールするすべを知らないために暴走してしまう超能力を身に付けてしまった姉の哀しみとして描かれる。

 白馬の王子は一応登場するが、実は・・・・という趣向になっている。最後の栄光は愛によってもたらされるが、それは男女の愛というよりは姉妹の間の家族愛である。という具合に、ディズニーの変奏が奏でられる。

 フルCGで描かれる氷や雪の質感と色彩の美しさには目を見張る。さらに楽しい楽曲も加わって至福の時を味わうことができる。