クリント・イーストウッド監督の最新作。アンジェリーナ・ジョリーの力演が光っている。
子供の失踪劇が大きな事件へと発展していく。そのミステリーと権力側の腐敗による人権無視の恐怖がダブルコアになって複眼的構造の大作に仕上がっている。
アカデミー賞のお膝元、ロサンゼルスの腐敗が摘発されるのだ。
その二つの裁きが平行して進行する法廷がクライマックスとなる。が、ここで終わりか、と思う個所がいくつかありながらそこでは終わらず、事件が起こした波紋が隅々まで描かれて「その時代」が検証される。
陰湿な事件を引き起こす腐敗した社会体制の絶望の中で、一人の女性の意思が世界に光を取り戻す。ロス市警は腐敗しているが、もう一方の事件を解決したのもまたロス市警なのだ。
アメリカの良心再生の希望が込められているようだ。