SEA side

静けさの中で波の音だけが永遠に響きつづける。
美しいものとの出会いの記憶・・・・。

映画 「さよならドビュッシー」

2013年02月25日 | 映画(サ行)

 遺産相続したヒロインを狙って次々に襲いかかる怪事件、果たして犯人は・・・のミステリーの陰で、やがて驚愕の真実が明らかになる。そしてラストに訪れる感動・・・という運びが想定されたストーリー。

 これ面白い、と太鼓判を押すには、前半のミステリーがグイグイと観客の心を引っ張っていかなくてはならない。これはいわばミスリードでそのミステリーに心を奪われていたら、本筋はむしろそれに隠された真実の部分にあったという驚きであっと言わせる仕掛けに、観客は心躍らせるのだ。

 しかし、そのミステリーパートが弱い。演出の問題か演技の問題か、ヘタウマなのか本当にヘタなのか分からない役者がそろって推理も走査も淡々、この人が犯人でした、とあっさり決まってしまう。

 さて次は・・・で、ここからの後半はむしろヒロインのピアノにかけた情熱がどう結実していくかに焦点があり、ラストの演奏会シーンは見事で素直に感動できた。が、これで前半の不満を帳消しにできるかどうか?

 原作は第8回の「このミステリーがすごい!」大賞に輝いた作品だそうだ。原作者の感想が聞きたい。

映画 「みなさん、さようなら」

2013年02月18日 | 映画(マ行)

 パーティ会場となった豪邸から参加者が誰も出られなくなってしまう、ルイス・ブニュエル監督の「皆殺しの天使」のような趣向かと思ったら全く違った。

 同学年の全員が同じ団地から通っている。その107名の同期生が卒業後だんだん団地から離れ、「そして誰もいなくなった」という物語。最後の一人が濱田岳演じる主人公である。

 彼は小学生の時に一生を団地の中で暮らすと決心する。そのファンタジーのような世界を描いた話かと思ったら、途中でその理由が明らかになり、この部分はテレビの取材映像を使ってドキュメンタリー調にできており、これがシリアスな心のトラウマの問題であることが分かってくる。

 やがて、それから解き放たれるための試練の時が主人公にも訪れ、ここはアクション・ヒーロー風の味付けで、最後には大きな親の愛が溢れてエンディングの旅立ちへといたる。

 物語の面白さが詰まった、お得度の高い傑作だと思う。中村義洋・監督作品

映画劇場の閉館

2013年02月05日 | 映画
 都心の銀座では、今年3月にシネパトス、5月に銀座テアトルシネマが閉館となる。渋谷にほど近い三軒茶屋でも60年の歴史があるレトロな映画館が間もなく幕を閉じようとしている。三軒茶屋中央劇場だ。

 ロードショー公開後の作品を週替わり2本立てで上映する2番館であるが、いわゆるミニシアター系のセレクションで貴重な存在の劇場であった。

 最後の上映作品は邦画+洋画の取り合わせで「天地明察」と「ハンガーゲーム」の2本立てである。どちらも未見だったし、珍しく上映期間が2週間だったので劇場に行くと閉館のお知らせが掲出されていた。

 スクリーンが比較的大きく、天井が高い。最盛期は2階客席も使用されていたと思われる。スクリーン脇、左右には次週上映、近日上映掲示板がポスターも無く寂しく立っている。当然ながら予告がなく本編スタートとなる。

 入場時に解説チラシを渡され、それを10枚貯めると1回無料で鑑賞できるというシステムになっていた。それが、まさにちょうど10枚溜まって、いつ行こうかと思っていた矢先の閉館情報であった。

 最後の鑑賞がただというのもちょっと申し訳ないな、と思いつつの大満足2本立て鑑賞となった。2月15日まで。