SEA side

静けさの中で波の音だけが永遠に響きつづける。
美しいものとの出会いの記憶・・・・。

映画 「ニューイヤーズ・イブ」

2012年01月23日 | 映画(ナ行)

 少し前になるが、年が明けて初めて見た映画である。

 ニューヨークのタイムズスクエアを舞台に、大晦日のカウントダウンまでの出来事が群像劇で描かれる。

 クライマックスはそのカウントダウン・イベントなのだが、「ボール・ドロップ」というイベントの存在をこの映画で初めて知った。

 群像劇は複数のストーリーが並行して綴られるので、各エピソードの登場人物紹介的にスタートし、それが一通り終わると話が動き始める。
 ところが本作は8つも話が埋め込んであり、次から次に新たな人が登場して、うまく収束するのかと心配し出したら、さすがゲイリー・マーシャル監督の職人芸で、にぎやかなスター群像がそれぞれに見せ場を与えられて、正月に見るのにふさわしい幸福感で満たしてくれた。

 ラストのカップル誕生がサプライズでもあり、観客も誰と誰がくっつくのか楽しみにするわけだが、果たしてその組合せを目撃して「それはないだろう!!」と思った人も多かったのではないだろうか?

映画 「ナイト&デイ」

2010年10月27日 | 映画(ナ行)

 アクション映画の体裁だが、むしろラブストーリーと見るべきだろう。その味付けがスパイ系アクション、しかもピリ辛、という塩梅(あんばい)だ。

 テンションが高くすこぶる面白い。ヒットしない方がおかしいと言うものだ。コメディのさじ加減といい、トムの過去にまつわる秘密といい、ロマンチックなロケ背景といい、映画の醍醐味を堪能できる。

 トムの主人公と関わることになったヒロイン・ディアスの逃亡劇だが、肝心の場面で薬が多用される。眠りに落ちると、その間何が起こったかは分からないまま次のシーンで目覚めるのだ。

 ガラリと場所が変わっている。いきなり外国になったりするのだ。眠ったパートナーをどうやってそこまで連れて行ったのか?シリアスなアクション映画では見せ場になるかもしれない部分をあっさりとすっ飛ばして、それがラブストーリーと定義される理由でもある。

映画 「ねこタクシー」

2010年07月13日 | 映画(ナ行)

 ゆるい癒し系の映画だが、もう少しメリハリが欲しい。主人公が猫とのふれあいの結果、人生を取り戻していくという力強いテーマを描いているのだから。

 主役のカンニング竹山はうまいとはいえないが味がある。どんな味かというと、いかにもダメ親父ふうの味なのだが、それが最後に颯爽と変身するかというと、それほどでもないところが「ゆるさ」のゆえんだ。

 脇役は豪華で、そのおかげで映画としては安心して見ていられる。

 主人公は「あの猫でないとねこタクシーをやる意味がない」と言っている。猫が天命を全うしたから、タクシーをやる意味がなくなってまた教師に復帰したのか、その辺をきちんと描く必要があると思う。

 画質に関して、画面中の斜め線でギザが気になった。フィルム撮影ではないにしてもビデオの解像度の問題なのだろうか?

映画 「人間失格」

2010年03月12日 | 映画(ナ行)

 生田斗真・主演、荒戸源次郎・監督で映画化された太宰文学。

 津軽の旧家の若者が東京に出てくる話しかと思うと、実家は東京にあるようだし、空間的な設定が良く分からない。すべては、酒場で酩酊した老いた男の頭をよぎる回想と幻想であるかのようだ。

 主人公がひたすら堕ちていく話だが、どこまで落ちても美しい。「嫌われ松子」の堕ち方とはそこが違う。貫かれた美学は太宰のものなのか、監督のものなのか?

 ラストに幻想的な列車のシーンが用意されており、そこにすべての登場人物が乗り合わせている。主人公が関わる多くの女性は、まるでその車窓から見る景色のように、通り過ぎるだけの淡白な描写だ。

 女優陣が若手からベテランまで素晴らしい充実度で主役のデビューを支えている。

 冒頭の大木や線香花火や雪や花など、時折現れる心象風景が例えようもなく美しく撮られている。

 三島由紀夫の「春の雪」もこの監督で見たかったな、と思う。

映画 「ニュームーン / トワイライト・サーガ」

2009年12月03日 | 映画(ナ行)
 アメリカでは大ヒットだそうだ。WOWOWで見た前作「トワイライト 初恋」がなかなか良くできており続編にも期待したのだが・・・。

 「ドラキュラ vs. 狼男」の構図に「愛」を絡めて、三角関係のラブストーリーに仕立ててある。さらにヴァンパイアには敵対勢力もあれば、イタリアに総本山のような権力者グループもいる。とスケールはアップしているものの話の運びが少々もたついているのが惜しい。

 ロバート・パティンソン演じる主役の青年ヴァンパイアが恋にやつれて憔悴しきっているのだが、血を吸っていないのか青白い顔がさらに生気なく、23歳(役上は17歳)だそうだが老け顔に見えてしまう(ファンには怒られそう)。狼の方が若くて活きが良さそうだが、女性はやはり耽美系好みなのか?

 監督のクリス・ワイツは「ライラの冒険 黄金の羅針盤」の監督で、だからなのか狼の描写はなるほどという感じだ。

映画 「2012」

2009年12月01日 | 映画(ナ行)

 大作監督ローランド・エメリッヒの最新作。ビジュアルのスペクタクル度に驚嘆した。

 崩壊する世界からの逃亡劇は間一髪の連続で、そう都合よく行くはずがないなど野暮は言わずに、そのスリルを楽しまなくてはならない。

 地震と津波と洪水と火山の噴火、あらゆる災害のオンパレードで総集編の感がある。神の怒りに触れた「世界の終わり」はすでに旧約聖書の昔からあるので、そこにヒントを得た人類の再スタートが描かれる。

 本作が「ノアの箱舟」なら少し前に公開されたニコラス・ケイジの「ノウイング」は「アダムとイブ」だ。見比べるのも面白いだろう。旧作「天地創造」も合わせて見るとさらに良い。

 エメリッヒ作品はいつも、見た事のない世界を眼前に繰り広げてくれる。ただその圧倒的スケールにもかかわらず、鑑賞後のイマイチ感があったが、本作はこれまでのエメリッヒ作品を凌駕、文句無く面白い。

映画 「20世紀少年 最終章 ぼくらの旗」

2009年09月15日 | 映画(ナ行)

 完結編のみ劇場で見た作品はこれまでなかった。1章、2章はテレビで鑑賞、原作コミックは完読で劇場に向かった。

 子供のまま大人になってしまった少年の妄想に、世界が翻弄される。終幕の「ともだち」の告白により、リアルな世界で演じられていた「ゴッコ遊び」にみんなが気付いてしまう。

 膨大な原作なので読んでもすべては記憶できず、途中何度後戻りして確認をしたことか。そうやって読んだので、映画は初めてみるシーンも既視感がある。壮大な世界が頭の中でごっちゃになっている。

 話がサクサクと進み過ぎてコクはないのだが、問題のエンドロール後の10分間で得点が上昇した。原作で示唆されてどういう意味か測りかねていた部分が、とてもよく理解できたからだ。

 ただヴァーチャル世界で何かをやってもタイムマシンとは違う。過去が実際に精算できるわけではないし、現実は何も変わらないのだ。

映画 「南極料理人」

2009年09月11日 | 映画(ナ行)

 南極には昭和基地以外にも基地があることを初めて知った。昭和基地から1000kmも離れた、富士山より高い標高の地が舞台だ。想像を絶する。

 あまりの低温のため菌すら生息できないから風邪は引かない、と言っているが本当だろうか?熱くらい出ることもあるだろうが、それは風邪ではないということなのか?

 1年以上も狭い基地の中に8人ほどの男だけが顔を付き合わせることになるのだが、時間の感覚も、基地の作りもうまく表現されていない。
 各々のエピソードが今ひとつ各個人の個性をクッキリと浮き立たせず、閉塞空間のいらいらだけが募ってくる感じだ。知らない役者さんの区別がつかないことも原因か?

 澄んだ青空と吹雪は出てくるが、極地の朝焼けも、夕焼けも、星空も、オーロラも出てこない。同時期に公開されている「30デイズ・ナイト」はホラーで南北の違いはあるものの「極地」の絵が格段に深みを感じさせる。
 南極ロケまではやらなかったにしても、チープ感はいかんともしがたい印象だ。

 あんな豪華なものを食べるのだという驚きはあるものの「かもめ食堂」の簡素な日本食の方がよほど美味しそうに見えた。

映画 「ナイト・ミュージアム2」

2009年08月28日 | 映画(ナ行)

 夏休みに家族で楽しむには最適の映画だろう。娯楽に徹しているが、キチンと作られており、好感が持てる。

 博物館の展示物が魔法で動き出す、という基本設定は変わらないが、前作で夜警だったベン・スティラーが今は・・・。という新しい設定で、どう展開させるかに脚本の工夫がある。

 博物館も客足を伸ばすために展示を目新しくしておく必要があり、その展示替えに絡む顛末が描かれる。

 画面後ろの焦点が合わずボケた展示物もちゃんと動いており、手を抜いていないことが分かる。

 面白いのは絵画や写真の展示で、額縁が窓枠のようになり、そこから出入りができる。古い写真の中に主人公が飛び込むと、一種のタイムトリップ状態になるのだ。

 過去に置き去りにされたあるエピソードがラストのクレジットになって解決するが、現代文明が過去の歴史を変えたことになる。

映画 「ノウイング」 ~ 知ってどうなる?

2009年07月23日 | 映画(ナ行)

 地球滅亡規模の災害映画で、だけどこれまでの同種の映画のように何らかの方法で助かる道が用意されている、という期待は見事に外れた。

 まず、単純にディザスター・ムーヴィーと言ってしまうことはできないし、期待するような救いもない。どう終わるかというと、半ば旧約聖書の印象だ。「ノアの箱舟」か「アダムとイヴ」。それに「未知との遭遇」がからんでくると言えば、だいたい話を網羅したことになる。

 この意外な展開を面白いと見るか、それはないだろうと白けるかで評価は二分する。

 未来に関する予言が、ある時点まですべて的中していればそこから先も逃れようはないのだ。それを知ってしまっても、もはやどうしようもない。

 不幸にして実現してしまう3つの大惨事はこれまでにない凄まじい映像で描写される。これだけでも劇場の大画面で見る価値は十分にある。絶望的気分を抱くことにはなるが・・・。