松山ケンイチ主演の、生と死が同居する不思議な世界の物語だ。
主人公のハチャメチャな行動に戸惑いを覚えるが、映画の中の他の登場人物はうるさい奴だとは思っているようだが、日常生活の一こまととらえている。精神に障害があることが後で分かるが、それを個性の延長上に位置付けているところに共感が持てる。
ここでは健常者も障害者も、死者さえも同じ地平を共有し、心臓が止まった人間と首の無い人間がなんでもないことのように会話をする。エネルギッシュでラテン的な世界観が青森を舞台に描かれている。
全編青森弁(津軽弁?)で理解できない部分もあるが、あえて標準語字幕は付けられていない。東京からきたという設定の、麻生久美子演じる保育園の先生が理解できないのと同じレベルで、観客は映画を見ることになるわけだ。
母一人、子一人で息子が精神障害をもつ、という設定はウォンビン主演の韓国映画「母なる証明」と同じだが、まったくテイストの違う傑作がここにもあった。