SEA side

静けさの中で波の音だけが永遠に響きつづける。
美しいものとの出会いの記憶・・・・。

エターナル・サンシャイン ~ 「永遠の愛」の迷宮

2005年06月30日 | 映画(ア行)

 映画の基本的な話法の一つに回想形式がある。ある場面から回想シーンに入り、再び元の場面に戻って以降、現実の時制で物語が動き出すというものだ。コンピュータで言うならサブルーチンに当たる。

 この構造が分からないと観客は混乱する。したがってその出入口の部分は、分かりやすく表現されることが多い。
 しかしそこをあえて映像のトリックとして利用したのが本作である。時制のジャンプに気付かないとそのうち辻褄が合わなくなって映像の迷路に放り出されてしまう。

 それでは可哀想と、製作する側もヒントを与えてくれる。一つはヒロインの髪の色、もう一つはタイトルである。
 普通はタイトルから始まったり、ワンエピソード後にタイトルが入る。または一番最後にタイトル、というスタイルもある。が、本作は実に不思議なタイミングでタイトルが挟まっていてアレッと思わせる。これが観客に対するメッセージなのだ。

 でも、出来れば時間をおいて2度見ることだ。2度目はいろいろなものが見え始めて、このラブ・ストーリーに対して格段に理解が深まるはずである。


宇宙戦争 ~ 興行の裏事情

2005年06月29日 | 映画(ア行)

 いよいよ「宇宙戦争」が本日6月29日(水)より公開された。通常新番組は土曜公開なのできわめて異例のことである。世界78カ国同時公開という事情に日本興行界も足並みをそろえたことになる。

 初日水曜日は女性が1000円で鑑賞できるサービスデーに当たる。また2日後の7月1日は映画ファンサービスデーで誰でも1000円で見られる。黙っていても客の入る映画は絶対にこういうタイミングでは封切らないからこれも異例中の異例である。

 世界同時ということは「スターウォーズ EP3」のようにアメリカ先行の話題は伝わってこない。これは公開前の徹底した秘密主義による情報管理で各国の公開日まで調整されたということだ。たぶん試写会もごく限られた範囲でしか行われていないから、ファンサービスデーを有料の試写会と考えれば得はしても損にはならないということか。

 それにしても早く見たい。原題で"WORLDS"と複数形になっているのは何か深い意味があるのだろうか。


サハラ ~ 夏は飲み水に気をつけよう

2005年06月28日 | 映画(サ行)

 夏の大作が押し寄せる前の弱気の公開だが以外に面白い。
 砂漠の太陽光 集光装置など007シリーズを思わせるメカも登場するがそれはごく一部で、むしろ人によるアクションが前面に出ている。

 悪役のランベール・ウィルソンも「権化」ではなく、自ら誘発した環境汚染にたじろいでいる。戦闘は敵味方とも将軍自らが最前線で戦う「キングダム・オブ・ヘブン」の世界。主人公はどんな過酷な状況でもバディとジョークを飛ばしている。過去の話がうまく現在につながってくるが財宝をめぐるアドベンチャーというわけでもない。と、中途半端なところはある。

 また、南北戦争の装甲艇がいくらなんでもアフリカまで行ってしまうだろうかとか、話の発端の奇病が伝染病ではなく水の汚染が原因ならその地域は全滅しないのかとか、いろいろあるが、難しいことを考えなければアクション映画として楽しめる作品。


ザ・インタープリター ~ 母音の前では「ジ」と発音する

2005年06月27日 | 映画(サ行)

 一度はパスしかかったが、監督としては久々のシドニー・ポラック作品なのでやはり見ることにした。犯行計画を聞いたために犯人に狙われる通訳、というような単純な役どころでニコール・キッドマンが出るはずは無いだろうと思うが、まさにそのような展開する。

 台詞を追う字幕のテンポが速いので、謎解きの「何故?」の部分を読み落とさないように注意しないと、よく分からないまま終わってしまう。相変わらず美しいキッドマンだが少し頬がふっくらしたかな、という感じ。

 それにしても母音の前のtheは「ジ」と(舌をかんで)発音すると中学でも教えるのに、このタイトル「ザ・インタープリター」はいかがなものか。字幕翻訳の戸田奈津子さんはなんとも言わなかったのだろうか?


紫陽花の群舞

2005年06月26日 | 日常生活・事件

 今日、すばらしい紫陽花の群生を目にした。これだけのものを植え込むのにどのくらいの意気込みが必要だったことかと頭が下がる。ここで画像をお見せできれば良いのだが。

 場所は都内、渋谷と吉祥寺を結ぶ京王帝都・井の頭線の沿線。すべての駅というわけではないが、駅周辺と鉄道の軌道沿いに見事な紫陽花の群生が展開している。さまざまな色彩が楽しめる。
 が、止まっているわけではないので、それこそ流れるように紫陽花の色彩を堪能できる。

 ただし、問題点が二つ。今年は雨が少なく色味がイマイチで立ち枯れてしまった株も散見されること。もうひとつはこの10年くらいの間で、線路沿いの落書きがひどい有様になっていること。
 一部の不心得者が自己表現のあり方を履き違えている。嘆く人はいても賞賛する人などいないことが分からないらしい。

 それにもかかわらず紫陽花はけなげに咲き続けている。雨の多い例年の梅雨時ならば、滴るような緑の中を列車が駆け抜けて行く。


マイ・ブラザー ~ ハングルの美

2005年06月24日 | 映画(マ行)

 ウォンビン主演作で、「ブラザーフッド」に続く兄弟もの。韓流の文化=家族間の絆をもはや日本人はノスタルジアをもって鑑賞するようになってしまったようだ。最近の殺伐としたニュースを見るにつけその感が強い。

 文化という意味ではタイトルバックがとても見事で、ハングル文字の美しさがよく生かされている。ペ・ヨンジュン主演作「スキャンダル」のタイトルバックでもそれを感じた。

 郵便局に行ったら「マイ・ブラザー」の公開メモリアルとして、場面入り写真入り切手シートの通信販売パンフレットが置かれていた。6月30日が申し込み期限なのでファンの方はお早めに。


女性専用車輌

2005年06月23日 | 日常生活・事件

 一部の会社線に女性専用車輌が登場してから一月以上になる。導入された線も平日の始発から午前9時30分までと限定的である。
 中には「○○駅に午前9時20分までに到着する列車について」などという会社もある。○○駅が目的駅でもない限りこの列車が何時にそこに着くかは知らないことの方が多いだろう。こういう運用を考える人の気が知れない。

 9時31分以降到着する駅では「これまで女性しかいなかった車輌に最初に乗り込む男性」がいるわけだ。経験は無いが、これはかなり勇気がいるのではないだろうか。

 見た目の悪い食べ物に関して、「人類の歴史の中で最初に○○を食べたのはよほど勇気のある人だったに違いない」というが、毎日のようにこの勇気ある男性が世の中に増えているわけだ。
 それがどうした、と言われても困るが・・・。


リチャード・ニクソンの暗殺

2005年06月22日 | 映画(ラ行、ワ行)

 本稿のタイトルは原題をそのまま訳したが、実際に暗殺が実行されたわけではないので、邦題はより正確に「~を企てた」を入れやたら長くなっている。(→邦題:リチャード・ニクソン暗殺を企てた男)

 何をやってもうまくいかないのを誰のせいにするか。その矛先にたまたまニクソンがいたというだけで、「ジャッカルの日」のようなクライム・サスペンスではない。むしろ93年のマイケル・ダグラス主演作「フォーリング・ダウン」を一回り小さくしたような印象を受けた。八方ふさがりの小市民の苛立ちを丁寧に描いている。

 「暗殺計画」は短絡的かつムチャクチャで、したがって当然未遂に終わるが、そういう男がいたことを知って欲しいという彼の望みは叶えられたことになる。事実をベースに映画化までされたわけだから。 


サボテンの花

2005年06月21日 | 日常生活・事件

 鉢に植えてほとんど手入れもしない、水も思い出した頃にやるくらい(むしろあまりやりすぎない方が良いと言うが)でまことに申し訳ないのだが、毎年律儀に花を着けてくれる。

 大きめの鉢だが、増えすぎて本来なら植え替えをしなくてはならないところ、とげが痛いので何年もそのまま、文字通り(鉢が切れそうに)はちきれそうになっている。

 花の寿命は長くて2日、桜より短くはかない。花は大輪でゴージャス。一輪でも見ごたえのある花が、今年はつぼみがいっぱい出来てこんな感じで開花した。

 きれいに咲いてくれてありがとう とお礼を言っておいた。


アジサイの詩

2005年06月20日 | 日常生活・事件

 雨の少ない梅雨はアジサイの色づきが良くない。十分に水を吸ってこそアジサイの淡い濃淡のあるボリュームが息づいてくる。

 特に夕闇が迫る頃、シトシトと降る雨の中でほのかなパステル色が美しい。水色の定番はなんと言ってもそのすがすがしい清涼感が良いが、他の色合いを眼にするとまたそれぞれに良さがある。以前、ある大学の構内でオレンジ色のアジサイを見たことがある。

 梅雨が明けると夏、昔ながらのカキ氷はアジサイの色感と似通っているように感じる。