SEA side

静けさの中で波の音だけが永遠に響きつづける。
美しいものとの出会いの記憶・・・・。

映画 「エアベンダー」

2010年07月29日 | 映画(ア行)

 連作の第1部とは知らなかった。「アバター」の映画であることも知らなかった。

 キャメロン監督の「アバター」は自分の分身であるが、こちらは四つの力を統合したスーパーベンダーのような存在をアバターと呼んでいる。

 序盤のようなものがなく、いきなり超常世界に入っているので約束事をいちいち学ぶ余裕はない。四つの力をそれぞれに持つ四つの部族がいるらしいが、それがまた北や南に分散しており、どのような世界観を持った話なのかが分かりづらい。

 部族ごとに現世でいうインド系だったり、中国系だったりするが馴染みのない俳優ばかりで親しみがもてない。主人公も動作の型は見事だがちょっと感情移入できないタイプだ。

 シャマラン監督としては新境地だが、このあとの連作にお付き合いするかどうかは微妙だ。

 ミリオネアになったインドのスラムドッグが今回は王国の皇子に昇格していた。

映画 「パラレルライフ」

2010年07月28日 | 映画(ハ行)

 韓国のクライム・サスペンス。SFに出てくるパラレルワールドとは違う。

 別の時代の別の人物がまったく同じ運命をたどることを意味し、作中ではリンカーンとケネディの例が引かれ、登場人物の教授が書いた「平行理論」なる著作が出てくる。

 前半は、スリラーのタイトルバックに出てくるようなフラッシュバックと揺れを多用したショッカー狙いの映像がやたらと目立ち、物語の鍵となる殺人事件の描写があいまいで筋がつかみにくい。脚本と演出がスッキリしていないのだ。

 が、後半になるにつれてパズルのピースが一つずつそろうように、だんだん良くなってくる。

 30年前のある人物の運命を主人公がそのままなぞるのか、あるいはどこかでそれとは異なる展開になるのか、というサスペンス+殺人事件の犯人は誰か?の謎解きで見せてくれる。
 実は・・・という30年前の事件の真相も絡み、なかなか複雑な構成ではある。

 日本では「宮廷女官 チャングムの誓い」でおなじみのチ・ジニが主人公を演じるほか、「チェイサー」で驚愕の犯人を演じたハ・ジョンウが出ている。

映画 「ロストクライム 閃光」

2010年07月21日 | 映画(ラ行、ワ行)

 3億円事件の隠された真実を描く作品。

 奥田瑛二扮する停年間近の刑事の執念がその真相に迫る。若手エリートの渡辺大とコンビを組み、その成長物語も絡ませようという構成にはなっている。

 テーマは面白そうだし、役者の顔ぶれも新旧の、特に旧が厚い配役になっている。が、結局印象に残ったのは主題歌のみで、惨敗の様相だ。

 全体にもたついた展開で、脚本が悪いのか、編集が悪いのか、映像の積み重ねで伝わってくる事実があいまいなものになっている。

 仲間割れから生じた殺人と思っていたら真犯人がいた。という構成なのだが、そこにいたる犯人像の描き込みが不足しており、いきなり感がある。よく都合よくターゲットに行き着き殺害出来るな、と感心してしまう。そのプロセス描写が皆無だからだ。
 少なくとも前半の連続殺人は「仲間割れ説」の方がよほど説得力がありそうだ。

 いまどき、テレビのクライムムービーの方がよほどスマートで、よく練られているように見えるのだが・・・。

映画 「ザ・ウォーカー」

2010年07月15日 | 映画(サ行)

 核戦争後の殺伐とした近未来世界にさす一条の光を描いているが、テイストは西部劇であり、チャンバラ時代劇である。ただし、モノクロに近い色調も含め見事にスタイリッシュだ。

 デンゼル・ワシントンとゲイリー・オールドマンの配役だから、正義と悪の対立が予想される。それに加わる薬味が一冊の本だ。世界を滅ぼし、人心に強い影響を持つ本と言えば・・・。

 それを後世に伝えるための技術がテーマとも言える。すなわち口伝と印刷だ。これらがどこにどのような形で登場するかがお楽しみ、となる。

映画 「ねこタクシー」

2010年07月13日 | 映画(ナ行)

 ゆるい癒し系の映画だが、もう少しメリハリが欲しい。主人公が猫とのふれあいの結果、人生を取り戻していくという力強いテーマを描いているのだから。

 主役のカンニング竹山はうまいとはいえないが味がある。どんな味かというと、いかにもダメ親父ふうの味なのだが、それが最後に颯爽と変身するかというと、それほどでもないところが「ゆるさ」のゆえんだ。

 脇役は豪華で、そのおかげで映画としては安心して見ていられる。

 主人公は「あの猫でないとねこタクシーをやる意味がない」と言っている。猫が天命を全うしたから、タクシーをやる意味がなくなってまた教師に復帰したのか、その辺をきちんと描く必要があると思う。

 画質に関して、画面中の斜め線でギザが気になった。フィルム撮影ではないにしてもビデオの解像度の問題なのだろうか?

映画 「レポゼッション・メン」

2010年07月09日 | 映画(ラ行、ワ行)

 悪徳金融の取立て屋を主人公にしたような映画だ。違いは、金ではなく移植した人工臓器を、支払いが滞ると回収してまわるということだ。

 回収とは臓器摘出のことだから全編、血と死で彩られる。

 舞台は「ブレードランナー」を思わせる未来社会。医療が行き着くところまで行っており、悪いパーツはすべて工業製品に置き換えて健康を維持する世界だ。どこまで置き換えれば人がサイボーグになるのかという問題もあるだろう。

 取立て中の事故で回収人自身が人工臓器のお世話になり、やがて滞納・・・そこで主客逆転、取立て、回収の対象になる。

 ジュード・ロウとフォレスト・ウィテカーが幼馴染で、ペアで回収作業を行っているが、事故を境に追う者と追われる者になるところが見所だ。

 しかし以外にあっさり解決、ハッピーエンド。そんな簡単な映画なのかと思ったらもう一段先の仕掛けがあるものの、そもそもなぜ事故が起こったか、というその理由があまりにお粗末な印象がある。

 移植を受けた人が金融業者から借りて代金を支払っておけば、厳しい取立てはあっても摘出まではされないだろうに・・・?

映画 「アイアンマン2」

2010年07月06日 | 映画(ア行)

 パワースーツの開発に関するダークサイドが描かれる復讐劇になっている。

 悪役がミッキー・ローク。「レスラー」を廃業してこんなことをやっていたのか、と思わせる。モナコ・グランプリレースの登場シーンは圧巻だ。

 その怨念のこもったダークサイドの主人公が中盤から研究に没頭しているのか、あまり見せ場がない。唯一ラストのバトルシーンでは正義のアイアンマン・チームが二人協力してビームを発したらあっさり方が付いてしまう。

 女優陣もスカーレット・ヨハンソン登場で強化、豪華配役とパワー軍団の激突等見所満載なのだが、ダークサイドの深さが描写しきれず、サム・ロックウェルも含めた悪役の最後のあっけなさで多少の減点は付く。

 でも、この度派手な活劇は十分に面白い。

 エンド・クレジット後の次作への伏線は意味が分からなかったが、ファンならこれで期待を膨らませるのだろう。

映画 「シーサイドモーテル」

2010年07月02日 | 映画(サ行)
 このブログのタイトルと共通している。

 今どきの豪華配役は・・・生田斗真、麻生久美子、山田孝之、玉山鉄二、成海璃子、古田新太、温水洋一、・・・と見事にそろっており、話も面白ければ、冒頭とラストをまったく同じ写真でリンクさせた語り口もなかなか凝っているのだが・・・、映画としてはイマイチ感がある。

 山の中のいかがわしいモーテルの4つの部屋で別々に進行する群像劇風の物語が、微妙に絡み合う。

 脇役まで含めた個性的な俳優陣は健闘、たぶん絶妙の間の演技を披露しているはずだ。だけど舞台と違って、映像は編集される。そのリズムが意外と単調でメリハリに乏しく、山場がない。終わったと思ったらまだ話が続く、という繰り返しでなかなか終わらない。

 アナザーバージョンを作ったらとびっきり面白くなった!という可能性もありうる、もったいないほどの素材だ。