園子温監督の新作。
主人公の彼女はある意味ではうっとうしいかも知れないが、その誠実な付きまとい方に主人公とともに観客も感謝したい気持ちになる。
舞台は震災被災地に近い、ある水辺。主人公の家はその辺でボートハウスを営んでいる。とは言え、父も母も家を出て不在、という複雑な環境だ。震災で家をなくした人たちが吹き溜まりのように周囲に集まり、テント暮らしをしている。
主人公とその彼女の肩には世界のあらゆる苦悩と悲惨がのしかかっているかのようだ。谷将太と二階堂ふみ、若い二人は健闘しており、ヴェネツィア映画祭の新人賞ダブル受賞は大いにうなずける。脇を園監督作品常連の不適な面々が固める。
「うっとうしい彼女」のエールがズタズタになった主人公の精神を再生に向かわせる。そのエールは震災被災地へのエールのようにも聞こえてくる。
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