冒頭、形見の指輪について囁きで交わされる会話に続いて、雪山で主人公が青年と会話を交わす。死をイメージさせるが詩的な映像である。青年は死神?でないとすれば天使?
一転して混沌と喧騒に溢れたバルセロナ下層の裏社会。男は麻薬や不法労働の手配をしながら生計を立てているが、一方で死者の声を聞くことが出来る不思議な能力も持っている。
妻との仲は崩壊、父として幼い姉弟を守りながら、自身が死の病に冒されていることも分かる。もう身も心もボロボロで、ビューティフルとは対極の世界が描かれる。
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督はオムニバス風に群像を描いた作風で手腕を見せてもらっていたので、本作はやや異色ながら力作だ。
冒頭の映像が、再びラストで異なったアングルから姿を見せる。人は死に際に、もっとも思いの残ったことが頭をよぎるのだろうか?
死ぬと人は年をとる事をやめる。いつの間にか、早くして死んだ父親の年齢をはるかに超えて、年老いた自分と若い父は天国の入り口で出会うのだろうか?
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