SEA side

静けさの中で波の音だけが永遠に響きつづける。
美しいものとの出会いの記憶・・・・。

映画 「ナイト&デイ」

2010年10月27日 | 映画(ナ行)

 アクション映画の体裁だが、むしろラブストーリーと見るべきだろう。その味付けがスパイ系アクション、しかもピリ辛、という塩梅(あんばい)だ。

 テンションが高くすこぶる面白い。ヒットしない方がおかしいと言うものだ。コメディのさじ加減といい、トムの過去にまつわる秘密といい、ロマンチックなロケ背景といい、映画の醍醐味を堪能できる。

 トムの主人公と関わることになったヒロイン・ディアスの逃亡劇だが、肝心の場面で薬が多用される。眠りに落ちると、その間何が起こったかは分からないまま次のシーンで目覚めるのだ。

 ガラリと場所が変わっている。いきなり外国になったりするのだ。眠ったパートナーをどうやってそこまで連れて行ったのか?シリアスなアクション映画では見せ場になるかもしれない部分をあっさりとすっ飛ばして、それがラブストーリーと定義される理由でもある。

映画 「キャタピラー」

2010年10月07日 | 映画(カ行)

 寺島しのぶがベルリン国際映画祭で最優秀女優賞に輝いた話題作。

 「セプテンバー11」の今村昌平編がまったく同じテーマでコメディにしているのが興味深い。洋画では「ジョニーは戦場へ行った」があり、江戸川乱歩の「芋虫」も主人公の状況は同じだ。

 映画の中で寺島が「いもむしごろごろ・・・」と童謡を口ずさむシーンがある。

 四肢をなくした男の帰還から始まり、どういう状況でそうなったかなど細かい説明は省略、いきなり本題に入る重さだ。

 男は食欲と性欲の本能のみにしたがって生きているように描かれ、その内面に立ち入ることがないので、知性も失なわれたのかどうかは分からない。

 ただ、犯し犯される関係が身体の損傷で逆転してしまったことと、「軍神」と祭り上げられるが、そのバックボーンである戦争そのものが終わってしまうと意味をなくしてしまう空しさが象徴的に描かれる。

映画 「TSUNAMI-ツナミ-」

2010年10月06日 | 映画(タ行)

 中国の台風のあとは韓国の津波だ。ド迫力のパニック映画である。台風の後で良かったと思う。見るならこの順番だ。

 韓国映画らしくドラマのツボを良く押さえている。

 3組の人間ドラマをコメディと人情でじっくりと見せ、なかなか津波は来ない。まだ来ないのか、もう来るんじゃないかとヤキモキするが、いざ来たらこれが凄まじい。ものすごい被害だなと思っているとそれ以上の2波、3波がやって来るのだ。これでもかの世界だ。

 中国映画「超強台風」のような熱血ヒーロー市長は登場しない。自然の猛威の前に人間は無力だ。逃げることが出来るかどうかにかかっている。主要登場人物も明暗を分ける。皆助かるんじゃご都合主義だが、そのバランスは良い。

 しかし、超高層の屋上にいる人たちが波に飲み込まれる一方、地表付近を漂っていた人たちがどうやって生き残ったのかは、ただ不思議としか言いようがないが。

 それにしても恐ろしいのは一人の喫煙者が招いた二次災害だ。この男が一方で人を助けたことにより表彰されるのだから人生は分からない。

映画 「超強台風」

2010年10月05日 | 映画(タ行)

 中国製のパニック映画。主役は中年の市長で、市民を守るため自ら最前線に出て大活躍する。

 暴風雨の中で孤立した離島での出産や、あの手この手のエピソード満載で楽しめる。が、全体としてチープな印象を受けるのは作り込みが浅いことによる。

 車ごと波にさらわれた外国人写真家が、大波に乗って再び避難所に流れつくがたいした怪我もしていないとか、鮫との格闘も用意されている市長は元特殊部隊にいたとか、その場の辻褄合わせのように言い訳が用意されている。

 しかし、ミニチュア特撮だが迫力はあるし、冒頭とラストに登場する宇宙規模のCGは地球の直面した環境問題を高らかに歌い上げて、これが中国映画なのだと思わせてくれる。ただし、B級。