雨の後に見える虹はレインボーだが、本作は月の光の中に現れる虹、ムーンボーが見えるというハワイ島の村ホノカアが舞台。
この地名からして、すでに癒し系の響きがある。
こののどかなホノカアの村の、のどかな映画館に映写技士として雇われる主人公のレオを岡田将生が演じる。
なぜホノカア村なのかと言えば、たまたま主人公がガールフレンドと旅をしたのがこの地だったから。分かれて当然という嫌な感じの女の子を、蒼井優がホントに嫌な感じに演じて見事。
ホノカアに暮らす、倍賞千恵子演じるビーさんという日本人老女とレオの出会いの物語で、親子と言うよりは祖母と孫のような関係だ。レオとビー、ライオンとミツバチの話である。
ほほえましく緩いハワイの田舎生活ながら、老いと孤独、病と死、若い男性に対する老女のときめきと嫉妬などがキチンと描かれ、深みを感じさせる。
端正な佇まいの好編だ。