SEA side

静けさの中で波の音だけが永遠に響きつづける。
美しいものとの出会いの記憶・・・・。

映画 「エンジェル・ウォーズ」

2011年04月20日 | 映画(ア行)

 核になるのはエンジェル軍団のコスチュームプレイで展開する、シチュエーションの異なる数回にわたるド迫力の戦闘シーン。RPGゲームの戦闘シーンのみを切りだして見せられているような感覚だ。

 が、これは並外れた身体能力を有するらしいヒロインのダンスのイメージを表現したものだ。彼女の踊りがこれらのイメージを見る者の心の中に想起する、という設定だ。したがって、これだけでも映像派監督のやりたい放題豪華映像が堪能できる。

 ストーリーはさらに複雑な重層構造になっており、つらい現実の中でヒロインが体験する最も過酷な試練の一瞬の間に見た幻想、という語り口になっていることが分かる。

 そしてヒロイン(と思って観客が見ていた少女)が実はこの映画の主役ではないのかも知れない、という意味深長なエンディングは続編の予兆なのか?

映画 「トゥルー・グリット」

2011年04月13日 | 映画(タ行)

 ある時代、西部のある場所で、3人の男女がある出来事を通じて確実に時間を共有した、という事実を成長した女性が確認する語り口がクールだ。

 西部劇特有のお尋ね者追跡劇をコーエン兄弟が監督している。2007年に監督した「ノーカントリー」も追跡劇の系譜だが、あの執拗な恐ろしさはない。

 主人公の少女を演じる14歳のヘイリー・スタインフェルドがジェフ・ブリッジス、マット・デイモン相手に一歩も引けを取らない堂々の演技だ。アカデミー助演女優賞候補になったが、限りなく主演に近い。

 役柄は健気というよりは、生意気な子供だ。「JUNO/ジュノ」や「インセプション」に出演したエレン・ペイジのような女優系列かな?

映画 「お家をさがそう」

2011年04月06日 | 映画(ア行)

 子どもを産むなら親の近くが便利と住んだは良いが、その親が出産目前に長年の夢がかないベルギーに移住するという。

 ならここにいる意味はないけど、ではどこに住もうか、というロードムービが始まる。同じ住むなら知人が近くにいた方が・・・・、と夫婦それぞれの兄弟・知人をめぐる。

 生活資金の心配さえなければ、これほど自由で楽しい旅はないだろう。当面彼らにその心配はないようで、まことに羨ましい。

 旅先で出会う知人たちの、ある意味では破綻した型破りな性格を描くコメディ、という趣向だ。この人達のいる街に住もうと思える人にはなかなか出会わない。最終的に見つけた理想の場所は・・・・まあ順当な、誰でも思いつく結論ではある。

 ただこのカップル、子供は産むが結婚はしない。普通と逆に男は結婚したがっているのに女の方は頑なに否定する。そこの理由がイマイチよく分からない。

 「アメリカン・ビューティー」のアカデミー賞監督サム・メンデスの作品。

映画 「わたしを離さないで」

2011年04月04日 | 映画(ラ行、ワ行)

 何かとんでもない秘密が明らかになる、という予告編だが、本編では冒頭でいきなりその秘密が明かされる。

 したがって、「秘密」を明らかしていくミステリー要素はなく、非道で過酷な運命を背負った子供たちが、その後どういう運命をたどるかを描くドラマになっている。

 時代設定は1900年代の終り頃なので、戦争中のナチスなどの話ではない、ついこの頃の話だ。こんなことがあったら大スキャンダルである。

 クローンの人間性をテーマにした近未来SF、という設定にもなりうる話だが、肉体的には再生できても、心がどうなっているのか実験している側も計りかねているようで、「彼らも人間なのか」と問うのは重い。

 近作では「私の中のあなた」が同テーマ。こちらはそのために自分の子をもう一人設けようというのだから、さらに複雑な思いになる。