以前放送されたNHKテレビ版も良かったが、映画もまた良かった。庄内の豊かな自然が大スクリーンで堪能できる。
テレビ版では時間が長い分だけ各エピソードがじっくり描かれていた。映画版ではそれを短く、どう収めているかも興味があった。ただ黒土監督はテレビ版でも脚本を書いているだけに、そこは自在に、渾身の作品を作り上げている。
省略には二つの方法がある。一つは大きな影響のないエピソードを丸ごと落としてしまう方法。もう一つはある行為をあえて見せずにその前後の役者の表情や何気ない情景のカットで語らせる方法。こちらの方は文学的である。小説なら「行間を読む」にあたる。観客もボーっと見ていると気付かないかもしれない。しかしそれが言いようのない余韻を生み、藤沢文学の映画化に当たってとても良い香りを添えているように思われた。
脇の役者陣も豪華で手堅い。長じてからの主人公の親友二人の配役が意外な抜擢だが味があった。(木村佳乃は必死の逃亡中にもちょっと落ち着きすぎ。)
殺陣の演出では、実戦で初めて人を切る恐怖、多くの人を切ることによる刀の損傷をどう補うかなどリアルに描かれている。
山田洋二監督ならこの作品をどう撮っただろう。
テレビ版では時間が長い分だけ各エピソードがじっくり描かれていた。映画版ではそれを短く、どう収めているかも興味があった。ただ黒土監督はテレビ版でも脚本を書いているだけに、そこは自在に、渾身の作品を作り上げている。
省略には二つの方法がある。一つは大きな影響のないエピソードを丸ごと落としてしまう方法。もう一つはある行為をあえて見せずにその前後の役者の表情や何気ない情景のカットで語らせる方法。こちらの方は文学的である。小説なら「行間を読む」にあたる。観客もボーっと見ていると気付かないかもしれない。しかしそれが言いようのない余韻を生み、藤沢文学の映画化に当たってとても良い香りを添えているように思われた。
脇の役者陣も豪華で手堅い。長じてからの主人公の親友二人の配役が意外な抜擢だが味があった。(木村佳乃は必死の逃亡中にもちょっと落ち着きすぎ。)
殺陣の演出では、実戦で初めて人を切る恐怖、多くの人を切ることによる刀の損傷をどう補うかなどリアルに描かれている。
山田洋二監督ならこの作品をどう撮っただろう。