SEA side

静けさの中で波の音だけが永遠に響きつづける。
美しいものとの出会いの記憶・・・・。

映画 「ニューイヤーズ・イブ」

2012年01月23日 | 映画(ナ行)

 少し前になるが、年が明けて初めて見た映画である。

 ニューヨークのタイムズスクエアを舞台に、大晦日のカウントダウンまでの出来事が群像劇で描かれる。

 クライマックスはそのカウントダウン・イベントなのだが、「ボール・ドロップ」というイベントの存在をこの映画で初めて知った。

 群像劇は複数のストーリーが並行して綴られるので、各エピソードの登場人物紹介的にスタートし、それが一通り終わると話が動き始める。
 ところが本作は8つも話が埋め込んであり、次から次に新たな人が登場して、うまく収束するのかと心配し出したら、さすがゲイリー・マーシャル監督の職人芸で、にぎやかなスター群像がそれぞれに見せ場を与えられて、正月に見るのにふさわしい幸福感で満たしてくれた。

 ラストのカップル誕生がサプライズでもあり、観客も誰と誰がくっつくのか楽しみにするわけだが、果たしてその組合せを目撃して「それはないだろう!!」と思った人も多かったのではないだろうか?

2011 映画ベスト10(邦画&洋画)

2012年01月12日 | 映画
 2011年はいろいろありましたが、映画に関しては秀作が多かったと思います。特に洋画は10本選ぼうとすると迷うほどでした。
 それでも、意を決して付けた序列は以下の通りです。もう一度やり直すとまた順番も変るかもしれません。そもそも甲乙付けがたしの世界なのです。

(邦画)
1 一枚のハガキ
2 ツレがうつになりまして
3 まほろ駅前 多田便利軒
4 GANTZ
5 恋の罪
6 僕たちは世界を変えることができない。
7 大鹿村騒動記
8 奇跡
9 アントキノイノチ
10 探偵はbarにいる

 「一枚のハガキ」はほとんど100歳の現役最高齢、新藤兼人監督の作品でこれを最後に引退を宣言しています。みずみずし表現で力強いメッセージ(反戦の)が発せられていますが、それがユーモアに包まれているのが凄いところです。2、3位作品には癒し系の元気をもらいました。人生捨てたものではない、と思えてきます。4位はSFアクション、5位は成人映画ながら文学の香りを発する力作・・・とバラエティに富んでいます。

(洋画)
1 4月の涙
2 ヤコブへの手紙
3 人生、ここにあり!
4 リアル・スティール
5 アリス・クリードの失踪
6 愛する人
7 ツリー・オブ・ライフ
8 ミッション・8ミニッツ
9 マネーボール
10 未来を生きる君たちへ

 1、2位はともにフィンランド映画です。内戦を背景にした異色のラブストーリーと氷のような女囚の心を溶かしていく神父の大きな愛の物語に心を打たれました。3位はコメディの体裁で精神病患者の自立を描いた事実に基づく物語。4位はロボット格闘技に父子の愛情を絡ませた娯楽感動大作。5位はいきなり拉致された若い女性と二人の犯人の立場の逆転が意表をつく、片時も目を離せないミステリーの傑作・・・、といずれも力作が揃いました。

 ここに載せられなかったのがクリント・イーストウッド監督の「ヒア アフター」です。2月後半に公開され、3月1日のファンサービスデーに1000円で鑑賞しました。その10日後が3.11でした。

 この映画のテーマは「死」です。3人の主要登場人物の人生が「死」によって交錯します。そのうちの一人、ヒロインはスマトラを思わせる南国のリゾートで津波に遭遇し臨死を体験します。一度死の世界に足を踏み入れそこから引き戻されて、その後の彼女の人生はあるわけです。
 この津波の描写は本当にリアルで、東日本大震災により日本での上映は打ち切られました。

 震災では多くの方の命が失われました。が、残された家族は、その誰かのいない世界を日常として受け止め、生きていかなくてはなりません。この映画に描かれたのもまさにそこで、死をどう受け止めどう自分の中に受け入れていくかということが3人それぞれの異なる状況下で描かれます。
 今は無理でも、いずれ何らかの形で再公開されて良い作品だと思います。