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映画 「バベル」2 ~ 日本編に隠された謎

2007年06月04日 | 映画(ハ行)
 4つのストーリーが平行して描かれるが、日本編については他の3つほどの関連性がなく、あえて入れなくても・・・・という意見も一部にはあるようだ。しかし、果たしてそうだろうか?

 「バベル」とは旧約聖書に描かれる人間の神に対する不遜の象徴「バベルの塔」のことである。天に届かんばかりの塔を建て始めた人間に神は怒り、塔を破壊して人々の言葉を互いに通じ合わないようにしてしまう。そして、その地はバベル(混乱の意)と呼ばれるようになる。

 映画の中でそのような塔(高層マンション)に住むのが日本編の役所広司+菊池凛子の父娘である。その塔で神の怒りを買うようなどんな不遜な行為があったのか?

 日本編には多くの謎が隠されているのだ。

・そもそも娘は何をあんなに苛立っているのか?
 単に聾というだけなら彼女の周りの多くの友人も同じはずだ。
・娘は母親に死因について、なぜ刑事に嘘をついたのか?
・その母親はなぜ銃で自殺を図ったのか?
・そのとき使われた銃はどうなったのか?
・刑事の来訪は単なる確認に過ぎなかったのか?
・ラストシーンの全裸の娘をいたわる父親は何を意味するのか?

 特にこのラストシーンはどうやって撮ったのかと思わせるようにカメラがベランダを外部から写しながらズームバックしていく。あたかも神の視点を得たかのように。

 普通の父親ならベランダに裸でたたずむ娘を見たらどういう反応をするだろう。本作のような描写はありえない光景として目に映るだろう。そのありえない光景をかつて母親が見てしまったのだと考えたらどうだろう。
 上の多くの?に納得が行かないだろうか。

 忌まわしい思い出を持つ銃を父親はある方法で手放す。娘はそのことを知っており、刑事の来訪を深読みしてしまい、とっさに嘘をつく。

 神の怒りは深く、その連鎖が地上で多くの混乱と悲劇を招いたのだ。この日本編がないとそれらは意味のない出来事になってしまう。


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