SEA side

静けさの中で波の音だけが永遠に響きつづける。
美しいものとの出会いの記憶・・・・。

映画 「キャッツ&ドッグス 地球最大の肉球大戦争」

2010年08月25日 | 映画(カ行)
 動物がしゃべる、動物主役のスパイアクションだ。夏のファミリー映画で、犬猫ファンには良いかもしれない。声の出演はジェームズ・マースデン、ベット・ミドラー、ニック・ノルティと豪華だ。全体に007のパロディっぽく、本家ロジャー・ムーアも声の出演。人間の主役はクリス・オドネルだが、作品としては脇役だ。

 都内ではかなりの上映館があるものの、字幕版はここだけ、しかも夕方と夜の回のみ、という劇場で鑑賞。あえて字幕版を選んで見ようというのは限られた観客だ。日本人のお子様ではない外国kidsが休憩時間には英語で会話していた。

 動物の口は動くが、本格的に調教されて演技しているというよりは動かされている感じでチープな印象は否めない。

 ただし、冒頭のタイトルバックは007並に見事なCGアニメが美しい。モチーフは犬のくわえる骨だが・・・。

映画 「インセプション」

2010年08月23日 | 映画(ア行)

 2回目の鑑賞で理解が深まった。初見時は映像的な構造(時制といっても良い)に必死で付いて行くだけでかなり疲れた。

 夢の中で見る夢の中で、また夢を見る。誰かの設計した夢の世界にチームで入り込んで、何かをやり遂げようという物語だ。誰かの夢を共有するためのマシンというのがあって、これに繋がれてみんなで眠ろうという仕掛けだ。夢が層を成しており、より深い層では時間の流れが緩慢になる。

 一瞬のまどろみで、ストーリーのある長い夢を見た気になるのと似ている。

 しかし、夢の中でも人間は深い部分に抱えた悩みに翻弄され続ける。レオ様の抱えるその悩みが物語に深みを与えている。

 今年は「シャッター・アイランド」に続いて本作と、大作が続くディカプリオだが、悩みの種は常に家庭問題のようだ。

映画 「ゾンビランド」

2010年08月06日 | 映画(サ行)
 
 凄絶な死闘とサバイバルが描かれるのではなく、生き残った四人の男女の「生きるための生活の知恵」に視点を置き、ロマンスも絡めたコメディになっている。

 が、ゾンビ映画には違いないので表現のグロテスクは避けられない。苦手な人には苦手だろう。

 これまでのホラー系ゾンビ映画は出演者の記憶もないが、本作はゾンビが徘徊する世界を背景にしたドラマに仕上がっており、出演者もウディ・ハレルソン、ジェシー・アイゼンバーグ、アビゲイル・ブレスリンと名のある役者を配している。

 が、何といっても強烈な印象を残すのは、本人自身の役で出演するビル・マーレイで、得な役どころだ。

 四人が目指す遊園地がクライマックスの舞台となるが、タイトルはゾンビに支配された世界(ここではアメリカ)そのものをさしている。

映画 「ぼくのエリ 200歳の少女」

2010年08月04日 | 映画(ハ行)

 あえて分類してしまうとホラー映画になってしまう。しかし、静かな叙情さえたたえた胸にしみる作品になっている。

 スウェーデンの小さな町に住むイジメられっ子の初恋の物語でもある。同世代の女の子との出会いがあるが、「仮に自分が女の子でなくても好きでいてくれるか?」と彼女自身が男の子に問う。

 「女の子」ではないとしたら何者なのか、が徐々に少年にも明らかになっていく。日常生活の中に静かに異物が入り込んで来る。孤独と孤独が雪深い北の国の静けさの中で静かに寄り添っていく。

 時がたてば、成長した男と歳を取らない少女との関係は父と娘のように見えてくるようになるだろう。その時この物語は再び最初から繰り返されることになる。

映画 「ソルト」

2010年08月03日 | 映画(サ行)

 文句なく面白い、この夏見るべき1本。理屈でみるなら「インセプション」、理屈抜きで楽しむなら「ソルト」だ。

 それにしてもほぼノンストップのアクション、それを見事にこなすハードなボディのアンジェリーナ・ジョリーがすばらしい。

 生まれついたときからスパイとして育てられた人間が、自分の意思で生きる決意に支えられて行動を開始する。生涯ただ一度の愛を封印して耐える女の情感がほとばしる。

 冷戦時代にスパイとして教育を受けてきた人間たちが、冷戦後その存在意義を何処に見つけたら良いのかという、ダークサイドでうごめく人間群像の物語でもある。

 冒頭の人質交換シーンで、迎えに来た男が一瞬ブラッド・ピットに見えて苦笑してしまった。

映画 「ジェニファーズ・ボディ」

2010年08月02日 | 映画(サ行)

 久々にオカルトと呼べる映画だ。描かれるのは吸血鬼ではなく悪魔である。

 ラストのクレジットまで含めてストーリーをなしており、一種の復讐劇の体裁をとる。

 華やかな存在であったジェニファーのために復讐を果たすのが、風采の上がらない親友ニーディだが、ジェニファーを殺したのはそのニーディ、というところが屈折している。

 主人公の親友という脇役ながらやがて輝きを増して行き、次は彼女を主役にした続編が作られるかも知れない。が、本作に関する限り主役はミーガン・フォックス演じるジェニファーで、その体に何が起きたのかが主筋となる。

 冒頭で「キャリー」を思わせるような災害が発生する。がそれは単なる事故で、それが発端となってジェニファーに力が宿ることになる出来事へと発展する。

 結局、親友がその敵を討つことになるのだが、なぜジェニファーは級友の男の子たちを襲う前に自分で復讐しなかったのか?と思ってしまった。