SEA side

静けさの中で波の音だけが永遠に響きつづける。
美しいものとの出会いの記憶・・・・。

映画「プレイ 獲物」

2012年07月30日 | 映画(ハ行)

 フランスの犯罪映画。あちらの刑務所では面会に来た夫人とベッドを共にすることができる個室が用意されている、という驚きの冒頭シーンで始まる。

 男は強奪した金を独り占めし、獄中でも仲間だった男から責め立てられている。家族にも危害が及びそうになり、冤罪で釈放になる同室の男に家族を託す。ところが彼がとんでもない危険人物だったことが分かり、家族を守るために脱走する、というお話だ。

 主人公が犯罪者で、犯罪者対犯罪者の話に追っての警察が絡み、迫力の逃亡劇にサスペンスが盛られる。

 この一途な主人公にすっかり感情移入してしまい、彼が悪人であったことを忘れそうになる。

 言葉に障害がある彼の幼い娘は可愛いし、女性刑事は美しいにもかかわらずタフでカッコいい。主人公の妻も、同室の男の妻も含めて、女性で見せてくれる作品だ。

映画 「へルタースケルター」

2012年07月19日 | 映画(ハ行)

 今年一番の話題作であることは間違いない沢口エリカ主演作。極彩色のファッション映画だ。

 時代のアイコンのような全身整形美女の堕ち方が描かれる。最先端医療機関が裏で臓器売買にもかかわっているらしく、こちらの告発型ミステリーで見せることも可能だった。が、本作は主演の沢尻を見せるヒロイン映画に徹している。

 監督の蜷川実花は写真家なので、一枚の写真にストーリーを語らせることは得意でも、映画になると言葉に頼っている。
 画はひたすら華やかに暴走し、物語の深部は大森南朋のセリフに凝縮されていて、歯の浮いたような美文調の台詞は劇中でも「詩人」と冷やかされているほどだ。

 これで終わりかと思ったらその後が長く、堕ちるところまで堕ちたその醜態をさらす終景にもいささかのみじめさはなく、あくまでスターとして君臨している様に女優沢尻エリカの実像が重なるようであった。

 アイコンと言っても彼女を崇めているのはひたすら女子高生で、そのガーリートークがうるさい。元祖ガーリーのソフィア・コッポラとはやや趣味の違う映画になっている。