人間の運命を操るのが仕事、という男達が登場する。マフィアのような裏稼業ではなく、むしろ「神」の領域が可視化されたかのように、その仕事を行う集団がいて、オフィスまで構えている。
この映画では、合衆国大統領になるべき運命を背負った男が道を踏み外さないように、人生の所々でアジャストする行為が描かれている。
人間のことは人間に任せていたのが、第2次世界大戦以降、任せていたら大変なことになると、再び人間操作を開始したようだ。
しかし、その世界観と仕事のスケールの大きさの割には、愛にかまけて道を間違えるな、という程度の説教譚に終始する。
運命を冷徹に執行する、絶対的なクールさがあるのかと思ったら、あまりに熱心に愛を貫こうとする態度を見て情にほだされ、しょうがない運命を書き換えてやるか、と変に甘かったりする。
建物の扉を開けると、どこか他の場所へ行けるという「どこでもドア」のアイデアは面白いが、どの扉がどこにつながるか事前に解説書で調べておく必要があり、結構面倒なんだな、これが。