SEA side

静けさの中で波の音だけが永遠に響きつづける。
美しいものとの出会いの記憶・・・・。

映画 「アジャストメント」

2011年05月31日 | 映画(ア行)

 人間の運命を操るのが仕事、という男達が登場する。マフィアのような裏稼業ではなく、むしろ「神」の領域が可視化されたかのように、その仕事を行う集団がいて、オフィスまで構えている。

 この映画では、合衆国大統領になるべき運命を背負った男が道を踏み外さないように、人生の所々でアジャストする行為が描かれている。

 人間のことは人間に任せていたのが、第2次世界大戦以降、任せていたら大変なことになると、再び人間操作を開始したようだ。

 しかし、その世界観と仕事のスケールの大きさの割には、愛にかまけて道を間違えるな、という程度の説教譚に終始する。

 運命を冷徹に執行する、絶対的なクールさがあるのかと思ったら、あまりに熱心に愛を貫こうとする態度を見て情にほだされ、しょうがない運命を書き換えてやるか、と変に甘かったりする。

 建物の扉を開けると、どこか他の場所へ行けるという「どこでもドア」のアイデアは面白いが、どの扉がどこにつながるか事前に解説書で調べておく必要があり、結構面倒なんだな、これが。

映画「まほろ駅前 多田便利軒」

2011年05月13日 | 映画(マ行)

 町田を思わせる「まほろ」駅前の便利屋が舞台となる。

 瑛太の便利屋と中学時代の同級生だった松田龍平の偶然の出会いから、奇妙な同居が始まる1年間が暦のように描かれる。

 2,3カ月おきに示される「○月」のタイトルで章立てされ短編小説のような味わいになっているが、各パートの登場人物が全体として響きあい、一つの流れをつくっている。

 脇の配役がなかなかに豪華だし、ボケと突っ込みというわけではない主演二人の、絶妙というわけでもないコンビぶりが味わい深い。

 便利屋への依頼をこなしていく中で、それぞれが心に抱えた痛みがジワッと伝わってきて、観客も彼らへの愛着が深まり、愛おしくなってくる。