SEA side

静けさの中で波の音だけが永遠に響きつづける。
美しいものとの出会いの記憶・・・・。

映画 「ブラッド・ダイヤモンド」

2007年04月27日 | 映画(ハ行)
 レオナルド・ディカプリオがアカデミー主演男優賞にノミネートされた新作。同じ年に「ディパーデッド」の方はアカデミー作品賞を受賞しているわけだから、最も油ののった旬の俳優といえるだろう。もはやアイドル・レオ様の域は脱している。体つきも役もとても男っぽい。

 話の方は内乱に翻弄されるある黒人一家の話が中心に据えてあり、助演男優賞候補にもなったジャイモン・フンスー演じるその父親が主人公とも言える。
 それにレオの密売人と女性ジャーナリストが絡むのだが、このジェニファー・コネリーがなかなか良い。これまでで一番良いのではないか?

 ダイヤモンドの密売にからむ政府軍と反政府軍の紛争が描かれるが、これがなんとも凄まじい。特に少年を拉致して殺戮の戦士を作り上げていく「洗脳」が、ある東洋の島国で宗教団体が起こした事件を思い出させて怖い。

 密売という裏側の汚い世界のはずなのだがディカプリオが演じるからか、彼自身も悪人には見えないし、その職業も危険を伴うリスキーなビジネスではあるが悪いことのように見えない。むしろその生い立ちに起こった不幸な過去を告白されて、ジェニファー記者ととともに見ているこちらも同情してしまった。

 それにしても「ロミオ」も「タイタニック」も「ディパーテッド」も本作も、ディカプリオほど主役にして死んでしまう役者は他にいるかなぁ。そして、その死に役の時の作品ほど質が高いような気がする。

GW(ゴールデン・ウィーク)の映画

2007年04月25日 | 映画

 時間があったので銀座のソニービルをのぞいていたら、8階のホールで「スパイダーマングラフィック展」をやっていた。キャラクターを中心にしたヴィジュアル原画の展示と大型スクリーンによる予告+メイキング上映のイベントだ。

 まもなく公開になる「3」のプロモーション企画で、SONYの社運を賭けたかのような大広告戦略の一環だ。メイキングは字幕無しの英語版だったが、見ていて驚いたのは最後に出てくる公開日が5月4日になっていたことだ。

 当り前のことだがゴールデン・ウィークは日本だけの話なのだ。そして日本では普通、映画の公開日は土曜。それをあえて全世界に先駆けて5月1日の火曜日に設定したSONY・JAPANの心意気はどうだ。

 毎月1日はファンサービスデー、一般は1000円で鑑賞可能だ。それを新作初日にぶつけてくることで大挙動員を狙ってきたわけだ。続く2日は水曜日でレディスデー、女性は2日続きで割引の特典を受けられる。1,2日は連休の谷間の平日だがその勢いを続く4連休につなげる戦略なのだ。

 おなじゴールデン・ウィークねらいだった「ハンニバル・ライジング」はその強敵とのバッティングを避けて1週間早く4月21日に封切られた。
 「羊たちの沈黙」シリーズの第4作、こちらだって相当の話題作だ。有楽町マリオンでは東宝系最大のキャパを持つ日劇1で上映中だが、5月1日からはそこを「スパイダーマン3」に譲り、二回り小さい日劇3に移る。

 どちらも初回以外は全席指定なので今のうちから指定券を入手すれば、超話題作2本を2000円ではしごできる。ただし、1日が休みなら・・・・の話だが。

ホメて損した!!

2007年04月24日 | 日常生活・事件

 九州でのお話。

 福岡市内にも熊本市内にも「オークス通り」と呼ばれる道がある。
 洒落た並木がありそうだ。実際それらしき木が植わっている。熊本の方は大木で歴史が感じられる。オークスホテルというのも、そこにある。

 建材でオーク材というのがある。オークの木を切り出したものだ。
 並木で木が何本かあると複数形でオークスになるのかどうか?

 例えばりんごの木。「apples」と言えば複数の「りんごの実」だろう。木の場合はapple trees とでも言わないと区別がつかない。

 で、福岡の「オークス通り」を歩いていると「大楠小学校」というのがあった。

 オークって楠(くすのき)なのか?日本語と英語がこんなにうまくリンクするとは驚きだ。「スプーン」、「フォーク」などの外来語カタカナ表記や「スシ」、「ゲイシャ」とはレベルが違う。

 と、変に感心しながら辞書を見るとオーク(oak)はカシワ、カシ、ナラの類を指すそうだ。なんだ、なんだ?
 一方、楠は a camphor tree とある。

 結局、オークスは「大楠」をカタカナ書きしただけの話なのだ。それほど高いレベルの話ではなかった、ということだ。ホメて損した。

珍事 ~ 世の中ホントに面白い

2007年04月19日 | 日常生活・事件

 ある組織の設立シンポジウムに出席した。目当てはプログラム中の基調講演。「ホテルのホスピタリティ」がテーマだ。

 開始時間前に司会の自己紹介と携帯の処置など諸注意があり、開始までお待ちください、ということになった。

 さて、時間が来て一人の女性が壇上に上がった。歳格好から司会とは別に進行役がいるのかなと思った。

 しかし壇上で立ち位置に立ったが不思議な沈黙。ややあって「少し緊張しておりまして・・・・」と口火が切られ、あの沈黙は緊張感のためだったのだと観客は納得。初々しいというか人前で話すにしてはたどたどしく、緊張の息使いさえマイクから聞こえてくる。それにしても単なる進行役ではなさそうな雰囲気だ。

 確か始めは主催者側エライさんの挨拶があったはず。この人が代表?にしては・・・・。

 すると簡単に名前を名乗るだけの自己紹介に続いて「ホスピタリティとは・・・・」と始まった。主催者挨拶抜きでいきなり基調講演が始まったのだ。プログラムにあった基調講演者と同姓を名乗ったので、男性だというのは自分の思い込みだったのかと考えていた。

 ただ「ホスピタリティというのは終末医療のことでありまして・・・・」というところまで来て、何か変だと皆が気付きだした。ホテルの話のはずだから。

 そこに最初の司会者が登壇、「講演者」に近づき何やら話している。結局、話は最初の一文の最後まで行き着かず、「講演者」は舞台脇に退場することとなった。

 とんだハプニングだ。

 どういう偶然が重なるとこういう現象が起こるのだろう。すくなくともドッキリカメラではないようだった。帰りに会場の他の部屋の催し内容を見たが医療関係の会議なんてなかった。一体あの女性は誰だったのか・・・・。

 まさに春の珍事である。これだから世の中ホントに面白いのだ。

ありえない! ~ オークション顛末

2007年04月18日 | 日常生活・事件

 どうしても欲しいというものでもなかったので、ダメで元々と、冷やかし半分に安い値段で入札しておいた。

 ○○オークションだ。(Yフーではありません。)

 品物10個に対して20人が入札した場合、上位から10人が落札できる仕組みだ。逆に5人しかいなければ1円でも落札できることになる。ただし、ある時点での応札人数はわかるが、いくらで入札しているかは開札まで分からない。

 なりすましとか色々トラブルもあるので、このオークションは商品到着時に代金引換という制度になっている。

 で、その安い価格で落札できてしまったのだ。送料+代引手数料は900円足らずだ。落札価格は約その半分。したがって落札価格の3倍近い総額を支払うことになる。それでも店頭でその商品を買おうとすればもっと高いだろうと思われるので、かなりお得だ。

 その商品と言うのはジャンルで言えばアクセサリーだ。いろんな色があったが落札したのは赤。宅配で商品が到着し、代金を支払って、さて開封。しかし、中身はグレーだった。

 さっそくクレーム。新たに商品が届いたら折り返し、間違った商品を着払いで送ることになった。

 そしてそれが到着。今回は当然ながら送料もすべて相手方の負担。

 さて開封。アレ!今度は緑だ。

 あと何回これを繰り返すんだろう?

 一回ならまだしも二度続けてというのは確率的にも普通ならありえない。だけどこの会社の場合はそれが起こっている。けして一人じゃない顧客に対して同じ様な間違いが頻発しているとすれば、この会社は送料負担でそのうちつぶれるだろう。

 まさか、つぶれる前の在庫処分で全商品をオークションに出してるわけじゃないよね?

映画 「弓」 ~ 現代の神話

2007年04月17日 | 映画(ヤ行)
 小さな船の上のみが舞台の男と女の物語。と言えば、南海の孤島を舞台にした「流されて」のようだが、男女は老人と孫娘のようだし、老人は釣り客を舟に連れてきて食いつないでおり、まったく社会から途絶しているわけではない。

 その主役二人には台詞がない。ただ耳元で言葉を伝えているシーンはある。他の役者の台詞で「口がきけるのか?」と言っているくらいだからほとんどしゃべらない、という設定なのだろう。

 そのサイレントに近い二人の世界に外の若者がやって来て・・・・、という物語が起承転結鮮やかに語られる。

 どこの国のいつ頃の話かも定かではないが、それがどうであれほとんど不都合のない骨太の骨格がある。
 ただ、平穏な二人の生活に暗雲をもたらすデジタルオーディオ機や若者が耳にピアスをしていることからも紛れもない現代の話だし、拾われた孤児と思って見ていた少女は老人に拉致監禁された被害者らしいことも分かってきて、実は極めて現代的な問題を内包していることに観客は気付かされる。

 主筋を解き明かせば単純な三角関係の話で、基本的にはどちらかに傾いてもう一人は泣きを見ることになるわけだが、本作に関する限りその神話的といっても良い話法で、限りない祝福が恋人たちに与えられ、同時に悲しい思いをする人もいないという至福が訪れる。

 悲惨だったり、陰湿だったり、ギラギラした現代の日常を描きながら、いつかそれが崇高な高みに上り詰めている事を確認できるところにキム・ギドク作品を見る喜びがある。

 「弓」が人を射る武器であると同時に、たえなる調べを弦楽器から引出すものであることに改めて気付いた。

映画 「情痴 アヴァンチュール」

2007年04月16日 | 映画(サ行)
 ガッカリした。配役もテーマも面白くなりそうな素材だけに。

 それなりに見る気にさせる、そそられる予告編だったのだ。しかし、話は淡々と進む。

 夢遊病がテーマで、劇中、ビデオテークにエンジニアとして勤務する主人公の職場のモニターに、怪奇映画「ノスフェラトゥ」の吸血鬼に操られて夢遊病状態になった女性が映ったりする。
 ビデオという素材の一種いかがわしさや夢遊病の得体の知れなさ、夜のパリ、とムードを演出する素材は揃っている。

 近所に住む女性(リュディヴィーヌ・サニエ)が夢遊病らしいと気付いて、それがまた美人なものだから、何とかしてあげたいと近づく主人公は家宅侵入に近いことまでやっている。

 それぞれの人間関係が訳ありで、だけどそれが何なの?、どうなるの?というメリハリがなく、なぜそうなるのか良く分からないがとにかくこうなりました、という面白くも何ともない結末で終わる。

 お勧めしません。予告でそそられた方だけ行って下さい。

「鈍感力」のすすめ?

2007年04月12日 | 日常生活・事件

 新社会人が増えたせいか、学生の春休みが終わったせいか、今朝の急行車内の混みようは普通じゃなかった。もう一台あとの普通に乗れば楽なのは分かっていながら乗ってしまった。

 首から下はほぼ周囲と密着状態。鞄を持つ手を離しても床に落ちることはないだろう。ただ車体のゆれで体をまっすぐ保てないのが困る。上体が傾いても足を動かせないので倒れてしまいそうになる。それを耐え忍んで、さらに何度かゆれ解消するのを待つしかない。

 こんな車内でまさかとは思うが、立って本を開いている人がいるのだ。よく読めるものだと感心もするが尋常ではない。本を手で持って入るものの、密着状態なのだから前の人の体はまるで書見台がわりで、相手はさすがに迷惑げだ。本を開いているのはそう若くはない女性で、一見キャリアウーマン風の出で立ち。花粉症なのか大きなマスクをしている。

 格好だけで中身は「知性」というより「痴性」だ。人を思いやることもしばらく我慢しようという気持ちもない。もはや回りの無言の非難も感じない、ここまで「鈍感力」を身につけてしまって良いのか。

 誰だ「鈍感力」を薦めたりしたのは?(影の声「小泉だ。」)

映画 「ラストキング・オブ・スコットランド」

2007年04月10日 | 映画(ラ行、ワ行)
 優しげな黒人俳優という面影が一変、さすがに役者だ、フォレスト・ウィテカー。アカデミー主演男優賞受賞にも素直に納得した。

 アミンという男、良いか悪いかは別として、とてもテンションの高い男だ。そしてその高いテンションを保ったまま善良と邪悪の間を行き来する。そのカリスマ性が見事に演じられている。

 若い白人医者が人間としては何の経験もないまま、あれよあれよという間にアミンの主治医に取り立てられる。しかし人間としての大きさが違う。まして後半、アミンは巨大にして邪悪だ。偶然地球儀を回してウガンダ行きを決めたにすぎない若者の薄っぺらさなど見通しているのだ。

 かくして蜘蛛の巣に捕らえられたがごとき若者の脱出サスペンス劇となる。ラスト近くの残酷描写は「羊たちの沈黙」にも近い緊迫感があり、思わず引いてしまった。

 アミンの実録ものなどではなく、娯楽サスペンスとしてのフィクションに実在のアフリカ大統領と当時の社会背景、事件がまことにうまく取り込まれていると見るべきだろう。エンテベ空港のハイジャック事件と人質解放の顛末をフィクションに引きずり込んだ時点で、すでに素晴らしい物語が約束されていたといって良い。

映画 「蟲師」

2007年04月05日 | 映画(マ行)

 オダギリジョーの主演。物々しい出で立ちの割には普通の若者のように演じている。

 原作は未読。ヴィジュアルは面白いし、日本の現風景のようなロケハンの魅力も大きい。加えて役者陣も豪華に揃っている。でも何故なんだろうこの今イチ感は。結局、脚本に無理があったのだろうか。

 冒頭、阿・吽(あうん)の蟲退治はエピソードとして分かりやすくまとまっている。中盤で、蒼井優演じる「淡幽」が絡んで来る辺りから、全体像とエピソードの関係性がとらえ難くなる。江角マキコ扮する「ヌイ」が全体のトーンを形成する要の役なのだが、うまく像を結べていないのは、脚本が原作の持つ独特の世界観をとらえきれなかったせいか?

 蟲の引き起こす不可思議な現象を「妖怪」という形で視覚化したらこれは「ゲゲゲの鬼太郎」の世界ではないだろうか。銀髪に片目という主人公の設定もそっくりなのだ。
 さすがに今回、目玉オヤジの出番はなかったが。

 毎回日本各地の蟲退治をしていく連続ドラマだったら、面白いシリーズになるかもしれない。