みに・ミーの【みにスケール模型日記】

ミニスケールAFVを中心とした模型日記です。

王海著「我が闘いの生涯」(上)09

2013年12月01日 17時57分39秒 | 書籍
 やや経って、第二小隊3号機の周金声が小隊長機魏双禄に「左後方より敵機4機が接近中!」と知らせてきた。
 魏双禄は後方に味方はおらず、接近中の機体は敵機であると分かっていたので、直ちに私に「105号、左方向に敵機4機を発見!」と報告して来た。
 魏双禄の報告を聞いて私は「そちらで攻撃せよ。当方は援護する!」と命令を発した。続いて上昇角を付けて旋回し、第二小隊の支援に向かった。90度まで旋回した瞬間、小隊3号機の羅滄海が叫んだ。「105号機水平に戻せ、後ろに敵機だ!」
 横目で見ると敵機は既に接近していた。私が水平に戻した時、敵機一機が私の前方に飛び出した。後ろの敵機の脅威を気にすることもなく、直ちに前方の敵機に向けて発砲すると、敵機は下に待避した。この時右下方に更に2機の敵機を発見したので、再び機首を転じて敵機に向けて機関砲の発射ボタンを押した。激しい機動のため、残念ながら照準が安定せず、二度の射撃ともに命中しなかった。
 前方の敵機を攻撃しているさなか、斜め後方から上昇して来た敵機4機が旋回の内側に回り込んで私を攻撃しようとする。羅滄海が僚機を率いて支援に向かって来たため、気づいた敵機は離脱した。この時私の機体は既に被弾しており、右翼が損傷して振動していたが、まだ操縦は可能であった。私は隠語で「胡琴(機体に被弾)!」〔訳注:我被弾セリを表す無線通話コード。なお「胡琴」は日本語で通常「胡弓」と呼ばれる楽器〕を知らせながら同時に左旋回降下して、ここからほど近い大堡飛行場に向けて高度を下げ始めた。高度6000メートルまで降下した時、2機の敵機から3度の射撃を受けた。しかし幸い命中しなかった。敵機の攻撃から逃れて高度を得るために、私は右旋回して上昇したが、速度の優勢を失ってしまい、敵機がまた迫ってきた。敵機は下方から攻撃して来る。エンジンと左翼が損傷し、操縦席にも濃い煙が入って来る。たちまち視界を失う。(続)