ワールドミュージック町十三番地

上海、香港、マカオと流れ、明日はチェニスかモロッコか。港々の歌謡曲をたずねる旅でございます。

あの日、コンゴのディスコでは

2009-08-10 01:35:51 | アフリカ
 ”THE WORLD IS SHAKING”
 (Cubanismo From The Congo,1954-55)

 独立前の”両コンゴ”における都市型大衆音楽の記録という事で。つまりは、コンゴが独自のルンバ世界を確立してブラック・アフリカを席巻、”アフリカン・ポップスの総本山”とまで言われる以前、まだアフリカに里帰りをしたアフロ・キューバン音楽のコピーなどにコンゴの人々が夢中になんっていた頃の記録なのだろう。
 リンガラ・ポップスの夜明け前、神話時代のレコーディング。こういうのってワクワクしてしまうよなあ。失われた歴史のページを開けるって感じかな。

 当時のコンゴの社交界、いやいや盛り場の雰囲気を伝える中ジャケの写真群が興味深い。これもズート・スーツの流れを汲むものといってしまっていいのか、独特の幅のパンツを履いた伊達男どもと、アフリカの伝統衣装で着飾った女たちが踊りを楽しむダンスホールが泣ける。
 ステージの上のバンドの足元に置かれた優雅なほど古臭いスピーカーが嬉しい。当時は、「そんなものはジャンゴ・ラインハルトしか弾きたがらないだろう」と突っ込みたくなるようなF穴のギターが愛用されていたようだ。バンドのメンバーには革靴を履いている者も、サンダル履きもいる。

 そして聴こえ来るは、物悲しくも懐かしい、アフリカ式キューバン音楽の鄙びた響き・・・・と言ってしまうのは簡単だが、なんか聴いているうちに「今も昔も変わらないんじゃないのか」なんて気がしてきてしまったのだった。
 だって、このギター群の響き。こいつはそのまま今のキンシャサに直結するものとして聴こえるんだもの。この”ギター・愛好会”ぶりが、さあ。「ほら、あのフレーズが出たじゃないか、あ、これは」と、入り込んで聴いているとそんなに昔の音楽を聴いている気分でもなくなってくるのだった。

 さすがに途中でブレイクしてリズムが変わりダンス・パートに突入、なんて事にはならないし、パーカッションの大々的な参加もなく、カチカチとクラーベを打つのんびりとした拍子木の音が響くのみではあるのだが。それでもともかく複数のギターが技巧を凝らして絡み合いつつバンドをガシガシと引っ張って行くのだ、リンガラ・ポップスに向って。

 親指ピアノが前面に出た曲もカッコいいし、あちこちで濃厚に漂うアフリカ臭(あって当たり前なんだが)には、やっぱりドキドキさせられる。
 この頃からすでにコンゴは一歩前に出ていたと思わせる前のめりの創造性が刺激的だ。カッコ良いっス。
 
 (さすがに試聴は、You-tubeにはありませんでした)




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