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”Alone in Iz World ”by Israel Kamakawiwo'ole
昨日のケアリィ・レイシェルに関する文章は、長いばかりで意味不明だったかなあと反省しきりなのであります。
まあ要するに、インテリのミュージシャンが「大衆音楽、かくあらねばならぬ」なんて導き出した理論の元に伝津音楽の再生とかやると、なんかちょっと無理が出る場合があるなあ、というだけのオハナシでした。
プライベートでは愛聴盤はモーツァルトで、時には家族そろってスーツにネクタイ締めてディナーに出かける人が、仕事だってんで裸になって褌締めて「ウケレレハヤマカ、ハレウォウッ!」とか、アダモちゃん(なんてたとえ、”ひょうきん族”を見てた人でなけりゃ通じないか)みたいなノリで”チャント”とかやっても、なんか見ている側も辛いものがあったりするでしょう?
アメリカン・フォークっぽい音が好きならそういう音楽をやればいいじゃない、無理して伝統回帰なんかせずに。とか言ってしまいますが、その一方、そんなインテリの表現者のやせ我慢からクリエイトされるなにものかもあるってのもまた、認めておかなければならないんだけれど。
で、本日はそんな心配もない、同じくハワイ音楽界の、これは天然の鬼才、イズラエル・カマカヴィヴォオレのアルバムなど。彼をここで取り上げるのは2度目です。
まあとりあえず上に掲げましたジャケ写真をご覧ください。CGとかじゃないよ、ほんとにこんな体型をしているの。相撲取りも顔負けの偉丈夫だったんだけど、実は彼の場合は単に不健康に太っていただけで、ついに体が耐えられず、1997年、38歳という若さでこの世を去ってしまった。自分の体型を支えきれなかったというか、心臓が耐え切れなかったみたいね。
ハワイというかポリネシア方面には、こんな具合に驚異的に太った人ってのがよくいるんだけど、ただ太っているからって、ポリネシア文化を深く理解し、身に付けた表現者であるなんて考える理由はどこにもない。けど、もしかしたらそうなんじゃないかなんてふと思わせてしまうミュージシャン、それが”イズ”でありました。
さすがにその体型ならでは、という、もうソウル・ミュージックの歌手とサシで十分張り合えそうな野太い声が、まるでそれに不釣合いに思える非常にデリケートな歌いまわしでハワイ伝統のフラの小曲など歌い上げる。こいつがなかなか風情のあるものだったんだなあ。
何も無理して作り上げることはない、”イズ”という歌手のフタを開ければ、そこには古きハワイ文化のエッセンスが流れ出して来た。いや、実情はそんなもんじゃない、イズラエルも自らの表現を求めて悩んだ日々もあったかも知れないんだけど、でも、その巨体を見ると、なんだかはじめからポリネシア音楽の才能は彼の体に刷り込み済みだったみたいに思えてならないのであります。
これはそんな歌手・イズラエルの死後、4年ほどたってから彼を偲んでリリースされた未発表録音集。ハワイ民謡の定番もあれば、ナット・キングコールのヒット曲、”モナリザ”のハワイアン・ヴァージョンなんてのも収められています。
スタジオでテスト版として吹き込まれたものなのかも知れない。非常にリラックスした表情のイズラエルの歌が聞ける。音の方も、ほとんどがイズラエル自身によるウクレレの弾き語りがメイン。何曲かで、簡単なギターの伴奏が付けられていたり、静かにストリングスがかぶっていたり。
紺碧のハワイの海の広がりを前に、気ままにハワイの神々と対話を交わすイズラエルの姿が浮かんできて、こいつは非常に気持ちのいいハワイ音楽のアルバムです。