ワールドミュージック町十三番地

上海、香港、マカオと流れ、明日はチェニスかモロッコか。港々の歌謡曲をたずねる旅でございます。

鋼の荒野にも

2011-05-15 02:47:09 | ヨーロッパ

 ”Translucida”by Qntal

 どうもアレですねえ。放射線性鬱病とでもアダ名すればいいんでしょうか、なにかというと事故を起こした東京電力の原発が頭の隅に出てきて、どうも気持ちが沈んでならない。「なにをしてもしょうがないだろうなあ、事故を起こした原発があそこにあるんだもの」なんて、そんな気持ちの下降線傾向がデフォとなってしまっている私です。暗い諦念と申しましょうか。
 地震全体のことも含めて、同じような不調と言うか「3・11ショック」で気持ちが落ち込んだままなんて述べている人も多く、まあ私もその一人ということなんでしょうね。

 しかしふざけた話です。原発に関する皆の不安と言うのは「政府が本当の事を言っていないのではないか?」って疑いが生んでいると思うんですが、そして私もそう疑っているんですが。
 原発利権を守ることのほうが国民の健康や命よりも大事だって、そりゃひどすぎるだろうがよ。原発利権を貪る側にいる人々もさあ、すべての日本人が死に絶えた荒野を廻って電気料金集めて歩いて楽しいか?どうなんだ。

 と言う次第で音楽の話も滞り勝ちなんですが、いや、負けちゃいかんなと。引っ張り出しましたるはドイツの。これはどう紹介すれば良いのかな、エレクトリック古楽のバンドです。ヨーロッパ中世のあたりの音楽を、シンセなどの電気楽器とサズみたいな民族楽器を併用して聴かせるバンド。
 クラシック色の濃い女性ボーカルが粛々と歌声を響かせ、打ち込みのリズムが冷たい拍動を刻む、いかにも温度の低い光の少ない結晶化したみたいな世界で東洋と西洋が交錯し、氷点下で燃え上がる秘められた情熱が一閃する。こういう硬質の美学は好きですねえ。