報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「魔道師が与えた怖い話」

2017-10-09 13:51:49 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[9月14日15:00.天候:晴 埼玉県さいたま市中央区 稲生家]

 稲生は自室のPCでネットサーフィンをやっていた。

 稲生:「ふぅ……」

 そして少し休憩の為に、1階に降りた。

 稲生:「ん?」

 ふと中庭を見ると、マリアが地面に魔法陣を描いていた。
 何か、新しい魔法でも覚えようとしているのか。
 今回はあくまで休暇で来たのではないから、イリーナから何か言われたのかもしれない。
 で、当のイリーナは……。

 イリーナ:「zzz……」

 縁側で舟を漕いでいた。
 弟子が若い魔女なら師匠は老魔女というのはベタな法則だが、見た目以外はデフォ過ぎる。

 マリア:「パペ、サタン、パペ、サタン、アレッペ。開け、魔界の入口よ。日の光を恐れず、我に暗黒の世界への入口を指し示せ」
 イリーナ:「あー、マリア。その呪文は違うわ」

 しかし、弟子が何かミスるとすぐに目を覚まして注意してくるところは、さすが師か。

 マリア:「あれ?この魔道書には今の呪文で良いことになっていますが?」
 イリーナ:「それは昔の呪文。今のは改訂版が出てるから」
 稲生:(魔道書に改訂版!?)
 イリーナ:「今はこう」
 マリア:「……あ、はい。パペ、サタン、パペ、サタン、アレッペ。開け、魔界の入口よ。日の光を恐れず、我に幻想郷の世界への入口を指し示せ」
 稲生:「幻想郷ですか!」
 イリーナ:「今はね。ほら、バァルの爺さんがもう魔王の座を降りたから」
 稲生:「あー……」
 イリーナ:「マリア!開けたら、すぐに入口を閉じて!むしろ、それが今回の修行のメインだから!」
 マリア:「は、はい!パペ、サタン、パペ、サタン、アレッペ!魔界の入口よ。ここは異界の地なり。如何に幻想郷と雖も、その開放は厳禁である。拠ってその暗き入口、速やかに閉じよ!」

 魔界の入口からブワッと突風が吹く。
 まるで入口が閉鎖されるのが名残惜しいように。
 因みにその風でマリアのスカートが捲れたことについては、【お察しください】。
 もちろん、某横田理事と違い、そこは見てて見てないフリをするというものが常識人であろう。

 イリーナ:「うーん……。まだちょっとスムーズじゃないねぇ……」
 稲生:「え、これで!?」
 イリーナ:「今の風を一切、そよ風さえ起こさせない程度に閉じられれば完璧ね」
 稲生:「はあ……」
 マリア:「キツ……」
 稲生:「マリアさんでさえキツいんですから、僕なんかとても……」
 イリーナ:「あー、もちろんもちろん。これはあくまで、マスターとしてのカリキュラムだから。マスターになったからといって、マリアの場合はまだまだ若葉マークなんだから、更に修行は必要なの」
 稲生:「はあ、そういうもんですか……」
 イリーナ:「じゃあ、少し休憩しましょう。ちょうど、3時のおやつの時間だわ」
 稲生:「紅茶とお菓子、持ってきますね」

 稲生は紅茶とお菓子を持って来た。

 稲生:「『3時のおやつの魔道師』……なんちゃって……」

 稲生がボソッと一発ギャグを言った。

 マリア:「ユウタ……」(-_-;)
 稲生:「あ、いや、すいません!」('◇')ゞ
 イリーナ:「いいのよ。案外、そういうものかもしれないわね」

 イリーナはズズズと紅茶を啜った。

 イリーナ:「『3時の魔道師』も、こうやって3時にはのんびりとお茶しているようなヤツかもしれないってこと」
 マリア:「大抵はそうですよね」
 稲生:「敵に回すと怖いというのが分かりますよ。サーシャもそんなこと言ってたな……」
 イリーナ:「魔界でユウタ君と一緒に旅した女戦士さんね」
 稲生:「ええ」

 パーティーを組むと、魔道師は後方支援に回ることが多い。
 前線に出る戦士の中には、そういう魔道師を弱虫と馬鹿にすることがある。
 根に持つタイプの魔道師だと、そんな戦士に仕返しをすることもある。
 サーシャの昔の仲間に、それでヒドい目に遭った者がいたそうだ。

 稲生:「ん?」

 稲生は紅茶を口に運んで何かを思いついた。

 マリア:「どうした?」
 稲生:「あの……質問があるんですけど……」
 イリーナ:「なぁに?」
 稲生:「さっきマリアさんが魔界の入口を故意に開けて、それを塞ぐという実験をしていましたけど……失敗することもあるんですよね?」

 するとイリーナは笑みを浮かべた。

 イリーナ:「マリアのあの危なっかしいやり方、見たでしょ?スカート捲り上がるくらいの大風引き起こしちゃって……」
 マリア:「悪かったですね。下手くそで」
 稲生:「失敗したらどうなるんですか?」
 イリーナ:「んー、まあ、大抵は魔道師が魔界に引きずり込まれるかな。あと、周囲の人達も」
 稲生:「それだけですか?」
 イリーナ:「まあ、私もいることだし、魔界に引きずり込まれたところで、すぐに戻って来れるけどね」
 稲生:「因みに魔法で故意に開いた魔界の入口って、塞ぐ魔法を使わなくても自然に塞がるものですか?」
 イリーナ:「そんなことないよ。その魔道師本人か、或いは同じくそういう魔法を使える者が故意に塞がないと塞がらないよ」
 稲生:「そうですか……」
 イリーナ:「ん?なに?どうしたの?さっきの穴なら大丈夫だよ。危なっかしかったけど、ちゃんと塞がったことは確認はしたから」
 稲生:「いえ、そうじゃないんです。僕の母校の東京中央学園上野高校……。あそこで大量の怪奇現象が発生した理由は、学校が魔界の入口に建っていたからということでした」
 イリーナ:「うん、そうだね」
 稲生:「でも、果たしてそうだったのだろうかと」
 イリーナ:「どういうこと?」
 稲生:「魔道師の誰かが故意に魔界の入口を開けて、それを塞がなかったのが原因だったとしたら……」
 イリーナ:「面白い仮説だね。私もあれは不自然だと思ったよ。最初、教育資料館(旧校舎)の鏡と何か関係があるのかなと思ったんだけど、あれは単なる魔具の1つであって、あの鏡が魔界の入口ってわけじゃない。強いて言えば、入口のドアといったところかしら」
 マリア:「ユウタ、どうしてそう思ったんだ?」
 稲生:「この日本を拠点にしたのは、イリーナ先生やマリアさんが初めてだと思っていました。後からエレーナやリリィも来たわけですが……」

 アナスタシア組に関しては、あくまで中継点として考えているだけで、日本を拠点にしているとは考えていないようだ。

 稲生:「だけど日光に行った時、既に日本を訪れていた魔道師がいたとマリアさんから聞きまして……。もしかしたら、僕が知らないだけで他に日本を拠点にして、あの学校に魔界の穴を開けた者がいるのではないかと思いまして……」
 イリーナ:「ふむふむ。それは私も考えなかったね。着眼点としては面白いと思うよ」
 稲生:「これについて、調査してみてもいいですか?」
 イリーナ:「多分、調査するまでもないんじゃない?」
 稲生:「どうしてですか?」
 イリーナ:「ユウタ君の学校に関わって、魔界の穴を開けた記憶のあるヤツを探せばいいんだったら、私が探しておくよ」
 マリア:「それは手っ取り早いですね」

 と、そこへリビングの電話が鳴った。

 稲生:「この時間、誰もいないことになっているのに珍しいな」

 稲生は立ち上がって、電話の受話器を取った。

 イリーナ:「……!?」
 稲生:「はい、稲生です」

 それまで目を細くしていたイリーナが、右目だけカッと見開いた。
 そして……。

 稲生:「あっ!?」
 イリーナ:「はいはーい!お電話代わりましたー!イリーナでーす!」
 稲生:「せ、先生!?まだ相手が誰か……んっ?!」

 そんな稲生の口を右手の人差し指で塞ぐ。

 イリーナ:「……あら、そう。だったら、黒歴史になんかしないで、堂々とこちらの前に来てくれればよろしいではありませんこと?」
 マリア:「くっ……!」
 稲生:「マリアさん?」
 マリア:「どうやらユウタの推理、半分以上当たっていたらしい」
 稲生:「ええっ!?」
 マリア:「脅迫して来やがった。多分あのまま師匠が取らなかったら、『呪い針』を撃ち込まれてユウタが死んでた」
 稲生:「ええーっ!?」
 イリーナ:「はいはい。でもこうしてタイムリーに電話してきたってことは、弟子の推理が当たっていると見てよろしいのね?……分かったわ。じゃあ、この調査につきましては不許可にしましょう」
 稲生:「なっ……?」
 イリーナ:「その代わり、取引と行きませんこと?……簡単よ。『3時の魔道師』と人間に呼ばれた人を、週末うちの拠点まで連れて来てくれない?あなただったらできるでしょ?……まさか、本人じゃないわよね?」

 電話の向こうから怒鳴り声のようなものが聞こえた。
 それは男とも女とも、或いは若いのか高齢なのかも分からないくらいだ。

 イリーナ:「はい、交渉成立」

 イリーナは軽く笑って電話を切った。

 稲生:「先生、今のは?」
 イリーナ:「うん。正しく、かつてユウタ君の母校の敷地内に魔界への入口を開け、そのまま放置プレイして被害を拡大させたアホ魔道師よ」
 稲生:「誰ですか、それは!?」
 イリーナ:「ゴメンねぇ。それは言っちゃいけない約束させられちゃった。ユウタ君がいきなりとんでもない推理をしたものだから、慌てて電話してきちゃったみたい」
 稲生:「『3時の魔道師』を連れて来る約束はしたんですね?」
 イリーナ:「そう。それは間違いない。今週末、屋敷に連れて来てくれるらしいから」
 マリア:「本人が連れて来たらマズいんじゃ?」
 イリーナ:「だから、使いの者を寄越すってことでしょ」
 マリア:「あー……。(使いの者。使い魔を持つことができるマスター以上ってことか。或いは弟子を抱えることができる師匠クラスか……)」
 イリーナ:「いずれにせよ、真相は週末に分かるってことね」
 稲生:「はあ……」

 それでも稲生は半分くらい納得できない様子だった。
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昨日の私の動向を写真のみでお伝え致します。

2017-10-09 00:40:38 | リアル旅行記
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
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