[10月14日 昼の部 東京都豊島区 敷島エンター劇場]
前回の続きと行こう。
ナレーター:「一夜が明け、お城の中はもちろん、国中が大騒ぎでした。王子様はガラスの靴の片方を手に、シンデレラの一斉捜索を始めたのです。それは、王宮の近衛騎士団すらも動員されるほどのものでした」
騎士団長(エミリー):「皆の衆!緑色の髪をした女性だ!直ちに緑色の髪をした女性を捜し出せ!速やかに発見し、近くの兵士または騎士に通報せよ!無事に発見した者には褒美を与える!良いか?下手に隠し立てしたり、危害を加えた者は第2級国家反逆罪と見なし、捕縛する!」
ナレーター:「騎士団長が町の人々を集め、王子様のお触れを発表していました。シンデレラの捜索に当たっていたのは、何も兵士や騎士達だけではありません。王子様直属の召使も動員されていました」
召使(鏡音レン):「ふぇーっ!結構キツいなぁ!国中を捜すったって、結構広いもんなぁ……。しょうがない。ボクの担当する地域はここだし、この家々を片っ端から当たってみるか」
ナレーター:「召使の少年は、与えられた捜索地域を一軒一軒訪ねて回りました。そして、シンデレラの家に辿り着いたのです」
召使:「こんにちはー!ごめんくださーい!KAITO殿下の直属召使の者ですがぁーっ!どなたかいらっしゃいますかー!?」
継母:「何だい?朝っぱらから騒々しい」
召使:「お邪魔しまーす!」
継母:「邪魔するなら帰っとくれ」
召使:「はーい!……って、いやいやいや!ちょっとボクの話を聞いてくださいよ!」
継母:「新聞や浄水器なら要らないよ」
召使:「違います!妙観講の訪問折伏です!」
継母:「まずは日蓮大聖人がどうして御本仏なのか証明しておくれ」
召使:「騎士団長さーん!捜索に協力しない不届き者がいますけどー!?」
継母:「あっあっ、待っとくれ!姉さん……もとい、騎士団長さんは怒らせると怖いんだよ!今のはほんの冗談さ。で、何を聞きたいんだい?」
召使:「こちらのお宅に、緑色の髪をした女性はいませんか?」
継母:「みっ、緑色の髪だって!?」
ドサーッ!
義姉:「キャハハハハ!また灰かぶってるー!ほんとにドジなんだから!見て見て、お母様!シンデレラのヤツ、またかまどの掃除の最中に灰を被りやがったよ!」
継母:「ああ、うん……。お、お前はシンデレラを連れて、奥へ行ってなさい」
義姉:「えっ、どうして?」
継母:「いいから早くおし!」
義姉:「わ、分かったわよ」
召使:「あの人は……?」
継母:「う、うちの娘達だわさ!でも、全然似てないでしょ?1人は黒髪だし、もう1人は灰色の髪だわさ」
召使:「そりゃだって今、『灰を被った』って……」
継母:「と、とにかく、うちには緑色の髪の娘なんておりませんよ。ちょっと、立て込んでいる最中ですので、これにして失礼」
召使:「あっ、ちょっと……!」
ナレーター:「継母は慌てて召使を追い出してしまいました。しかし、これが却って不審を呼んだのです」
召使:「何だか今の家、怪しいなぁ……。うん。この辺りの家は粗方捜したし、一旦広場に戻ろう」
ナレーター:「広場に戻ると、騎士団長が待機していました」
騎士団長:「おお、レン。ご苦労だった。首尾はどうだった?」
召使:「いえ、あいにくと見つかりませんでした。ただ、1つ怪しい家が……」
騎士団長:「怪しい家?」
ナレーター:「と、そこへ騎士団長の部下の兵士達がやってきました」
兵士A(マリオ):「閣下!ご報告がございます!」
騎士団長:「何だ?」
兵士B(ルイージ):「付近住民に話を聞いたところ、あちらの地区より王宮へ向かった馬車を目撃したそうです」
騎士団長:「昨夜は盛大な舞踏会だ。その参加者を乗せた馬車が国中から殺到した。それだけでは有力な情報ではないぞ」
兵士A:「ごもっともであります。ですが、更に詳しく話を聞いたところ、その馬車に緑色の髪をした女性が乗り込んでいたとの目撃証言があります」
騎士団長:「何だと!?場所はどこだ!?」
兵士B:「はっ、向こうであります!」
ナレーター:「その兵士が指さした所には、シンデレラの家があります」
召使:「あそこはボクが捜した地域ですよ!」
騎士団長:「レン。確か先ほど、怪しい家があったと言っていたな?」
召使:「はい」
騎士団長:「案内しろ!」
召使:「ははっ!」
騎士団長:「皆の者!捜索地域を絞る!我に続け!」
ナレーター:「騎士団は一斉にシンデレラの家に向かいました」
召使:「この家です!」
騎士団長:「ご苦労」
騎士団長エミリー、馬から降りてシンデレラの家の玄関の前に立つ。
騎士団長:「我々は王宮近衛騎士団の者である!ここを開けろ!話がある!」
ナレーター:「しかし、騎士団長がいくらドアをノックしても、誰も出て来ません」
騎士団長:「レン、この家で間違いないのだな?」
召使:「もちろんです」
兵士A:「入れ違いで、留守になってしまったのかな?」
召使:「……いえ、それは無いです。僅かに……微かに家の中から機体反応がします」
騎士団長:「うむ。私も感じる。これは明らかに居留守を使っている」
兵士B:「我ら崇高な王宮騎士団に対し、居留守を使うとは何たる無礼!」
召使:「団長さん、どうしますか?」
騎士団長:「聞くまでもない。我らは偉大なるKAITO第一王子殿下より命ぜられた内容を遂行するのみ」
ジャキッ!……ガチャガチャ……ガチャッ!
ナレーター:「何ということでしょう。騎士団長の右手が、見る見るうちにグレネードランチャーに変形したではありませんか」
騎士団長:「お前達、下がっていろ」
召使:「だ、団長さん、もしかして……」
兵士A:「もしかすると……」
兵士B:「もしかしなくても……」
騎士団長:「もしかするぞ!……ファイヤー!」
ズガァァァァァン!!
敷島俊介:「こ、これはやり過ぎではないのかね?」(;一_一)
敷島孝夫:「え、えーと……まあ、台本には書いてあったのですが……」(;´Д`)
俊介:「キミの秘書はドアの向こうを確認もせず、いきなりグレネードを発射するのかね?」(;一_一)
孝夫:「KR団との戦いの時は、そんなことしていたような……。そ、それにまあ、これはお芝居ですから……ハハハハ……」('◇')ゞ
騎士団長:「突入だ!皆の者、続け!」
ナレーター:「王宮騎士団は、シンデレラの家に強制捜索に入りました。すると何ということでしょう。家の奥に、継母と義姉がシンデレラを緊縛して監禁していたのです」
騎士団長:「2人とも!第2級国家反逆罪の現行犯で逮捕する!ひっ捕らえよ!」
兵士A:「ははっ!」
兵士B:「第2級国家反逆罪は尖閣諸島へ島流しだヨ」
継母:「ど、どうかお許しを!」
義姉:「尖閣諸島なんて嫌だーっ!」
兵士B:「それなら竹島送りだ」
騎士団長:「ええい、うるさい!後でたっぷり尋問してやる!連れて行け!」
召使:「団長さん!やっぱりこの人、あの緑色の髪の人ですよ!」
騎士団長:「そうか。……あなたが、シンデレラですね?」
シンデレラ:「はい……」
騎士団長:「此度はお騒がせしました。あなたを虐待していた不届き者共は、あの通り逮捕して連行しました。さ、こちらへ。あなたが本当に、昨夜の舞踏会で殿下と踊られていた女性かどうかの確認を致しましょう。レン、例の物をここへ」
召使:「はい!」
ナレーター:「召使が差し出したガラスの靴が、シンデレラの足とピタリはまったのは言うまでもありません」
大臣:「あの……殿下。本日の公務、そろそろ専念して頂けませんでしょうか?本日は国境警備隊の視察がございます。その後で隣国大使との会談、その後……」
王子:「やりたくない」
大臣:「は?」
王子:「あの緑の美しい女性。あの方が見つかるまで、何も仕事が手に付かぬ。全て予定はキャンセルしてくれ」
大臣:「で、ですが、殿下!」
王子:「くどい!何の為に国中捜索に当たっていると思うのだ!?見つかるまで私は一切ここを動かぬ!」
大臣:「殿下……」
そこへ、王子専属のメイドが入って来る。
メイド(鏡音リン):「失礼します!殿下、大変です!」
大臣:「これ!騒がしい!宮中であるぞ!静かにせんか!」
メイド:「も、申し訳ありません!」
王子:「まあ良い。何があった?」
メイド:「朗報にございます!殿下と昨夜お踊りになった女性が見つかりました!」
王子:「何だと!?」
大臣:「おおっ、見つかったか!でかしたぞ!」
王子:「すぐ迎えに行く!馬を引けい!」
大臣:「ははっ!」
メイド:「それには及びません、殿下。既に同僚のレンと、騎士団長のエミリー様がお連れしてございます」
王子:「すぐにホールへ案内しろ!私も向かう!」
俊介:「おお、いよいよ大団円だな」
孝夫:「脚本によれば、宝塚にも負けないとても印象的なラストを迎えることになっていますよ」
俊介:「ほおほお。……おおっ、既にドレスを身にまとい、ガラスの靴をはいたシンデレラが!」
孝夫:「劇の内容によっては王子様がシンデレラの家に迎えに行き、灰かぶり姿のシンデレラにそのままプロポーズして終わるというやり方もあるようですが、こちらはもう少しベタな終わり方にしました」
俊介:「まあ、こちらの方が分かりやすいかな」
孝夫:「さあ、いよいよ感動の御対面です!」
王子:「シンデレラ……。おお、正にあの時の貴女だ。会いたかったよ……」
シンデレラ:「王子様……私もです……。私も会いたかったです……」
王子:「さあ、私の胸に飛び込んできておくれ!」
シンデレラ:「王子様ぁぁっ!!」
シンデレラ役の初音ミク、王子様役のKAITOに向かって走る。
が!
グキッ!
ミク:「!!!」
KAITO:「!!!」
ハイヒール型のガラスの靴は、ミクにも履き慣れていないものだ。
それでバランスを崩したミク、危うく転びそうになる。
ミク:「わっ、たっ、たっ……!たっ!」
ドーン!(舞台セットの王宮の柱に激しくぶつかる)
メキメキメキメキ……!(王宮の柱が傾き始める)
平賀:「ああっ、ヤバい!」
ガーン!(ミクがぶつかった王宮の柱が倒れ、隣のもう片方の柱に激突する)
メキメキメキメキ……!(もう片方の柱もショックで倒れて来る)
村上:「い、いかん!こっちに倒れて来るぞ!」
平賀:「村上教授、逃げましょう!」
舞台袖でロイド達の動きの監視と調整をしていた場所に、セットの柱が倒れて来た。
ズゥゥゥン!
ズズゥーン!!
ガラガラガラ……ガッシャーン!!
バリーン!
孝夫:「オーマイガッー!!」
俊介:(ムンクの叫びを上げる俊介)
ロイ:「こ、これは反乱だ!ついに民衆の怒りが爆発し、王宮を破壊するに至ったのだ!何と恐ろしいことだ!!」
村上:「やめさせろ!幕じゃ!早く幕を下ろすんじゃ!」
急いで幕が下ろされる。
あまりの事態に、客席も静まりかえっていたという。
シンディ:「初音ミク……きさま……!!」
ミク:「は……はい〜……」
プシューッ!
平賀:「あ……ミクのバッテリー上がった……」(-_-;)
前回の続きと行こう。
ナレーター:「一夜が明け、お城の中はもちろん、国中が大騒ぎでした。王子様はガラスの靴の片方を手に、シンデレラの一斉捜索を始めたのです。それは、王宮の近衛騎士団すらも動員されるほどのものでした」
騎士団長(エミリー):「皆の衆!緑色の髪をした女性だ!直ちに緑色の髪をした女性を捜し出せ!速やかに発見し、近くの兵士または騎士に通報せよ!無事に発見した者には褒美を与える!良いか?下手に隠し立てしたり、危害を加えた者は第2級国家反逆罪と見なし、捕縛する!」
ナレーター:「騎士団長が町の人々を集め、王子様のお触れを発表していました。シンデレラの捜索に当たっていたのは、何も兵士や騎士達だけではありません。王子様直属の召使も動員されていました」
召使(鏡音レン):「ふぇーっ!結構キツいなぁ!国中を捜すったって、結構広いもんなぁ……。しょうがない。ボクの担当する地域はここだし、この家々を片っ端から当たってみるか」
ナレーター:「召使の少年は、与えられた捜索地域を一軒一軒訪ねて回りました。そして、シンデレラの家に辿り着いたのです」
召使:「こんにちはー!ごめんくださーい!KAITO殿下の直属召使の者ですがぁーっ!どなたかいらっしゃいますかー!?」
継母:「何だい?朝っぱらから騒々しい」
召使:「お邪魔しまーす!」
継母:「邪魔するなら帰っとくれ」
召使:「はーい!……って、いやいやいや!ちょっとボクの話を聞いてくださいよ!」
継母:「新聞や浄水器なら要らないよ」
召使:「違います!妙観講の訪問折伏です!」
継母:「まずは日蓮大聖人がどうして御本仏なのか証明しておくれ」
召使:「騎士団長さーん!捜索に協力しない不届き者がいますけどー!?」
継母:「あっあっ、待っとくれ!姉さん……もとい、騎士団長さんは怒らせると怖いんだよ!今のはほんの冗談さ。で、何を聞きたいんだい?」
召使:「こちらのお宅に、緑色の髪をした女性はいませんか?」
継母:「みっ、緑色の髪だって!?」
ドサーッ!
義姉:「キャハハハハ!また灰かぶってるー!ほんとにドジなんだから!見て見て、お母様!シンデレラのヤツ、またかまどの掃除の最中に灰を被りやがったよ!」
継母:「ああ、うん……。お、お前はシンデレラを連れて、奥へ行ってなさい」
義姉:「えっ、どうして?」
継母:「いいから早くおし!」
義姉:「わ、分かったわよ」
召使:「あの人は……?」
継母:「う、うちの娘達だわさ!でも、全然似てないでしょ?1人は黒髪だし、もう1人は灰色の髪だわさ」
召使:「そりゃだって今、『灰を被った』って……」
継母:「と、とにかく、うちには緑色の髪の娘なんておりませんよ。ちょっと、立て込んでいる最中ですので、これにして失礼」
召使:「あっ、ちょっと……!」
ナレーター:「継母は慌てて召使を追い出してしまいました。しかし、これが却って不審を呼んだのです」
召使:「何だか今の家、怪しいなぁ……。うん。この辺りの家は粗方捜したし、一旦広場に戻ろう」
ナレーター:「広場に戻ると、騎士団長が待機していました」
騎士団長:「おお、レン。ご苦労だった。首尾はどうだった?」
召使:「いえ、あいにくと見つかりませんでした。ただ、1つ怪しい家が……」
騎士団長:「怪しい家?」
ナレーター:「と、そこへ騎士団長の部下の兵士達がやってきました」
兵士A(マリオ):「閣下!ご報告がございます!」
騎士団長:「何だ?」
兵士B(ルイージ):「付近住民に話を聞いたところ、あちらの地区より王宮へ向かった馬車を目撃したそうです」
騎士団長:「昨夜は盛大な舞踏会だ。その参加者を乗せた馬車が国中から殺到した。それだけでは有力な情報ではないぞ」
兵士A:「ごもっともであります。ですが、更に詳しく話を聞いたところ、その馬車に緑色の髪をした女性が乗り込んでいたとの目撃証言があります」
騎士団長:「何だと!?場所はどこだ!?」
兵士B:「はっ、向こうであります!」
ナレーター:「その兵士が指さした所には、シンデレラの家があります」
召使:「あそこはボクが捜した地域ですよ!」
騎士団長:「レン。確か先ほど、怪しい家があったと言っていたな?」
召使:「はい」
騎士団長:「案内しろ!」
召使:「ははっ!」
騎士団長:「皆の者!捜索地域を絞る!我に続け!」
ナレーター:「騎士団は一斉にシンデレラの家に向かいました」
召使:「この家です!」
騎士団長:「ご苦労」
騎士団長エミリー、馬から降りてシンデレラの家の玄関の前に立つ。
騎士団長:「我々は王宮近衛騎士団の者である!ここを開けろ!話がある!」
ナレーター:「しかし、騎士団長がいくらドアをノックしても、誰も出て来ません」
騎士団長:「レン、この家で間違いないのだな?」
召使:「もちろんです」
兵士A:「入れ違いで、留守になってしまったのかな?」
召使:「……いえ、それは無いです。僅かに……微かに家の中から機体反応がします」
騎士団長:「うむ。私も感じる。これは明らかに居留守を使っている」
兵士B:「我ら崇高な王宮騎士団に対し、居留守を使うとは何たる無礼!」
召使:「団長さん、どうしますか?」
騎士団長:「聞くまでもない。我らは偉大なるKAITO第一王子殿下より命ぜられた内容を遂行するのみ」
ジャキッ!……ガチャガチャ……ガチャッ!
ナレーター:「何ということでしょう。騎士団長の右手が、見る見るうちにグレネードランチャーに変形したではありませんか」
騎士団長:「お前達、下がっていろ」
召使:「だ、団長さん、もしかして……」
兵士A:「もしかすると……」
兵士B:「もしかしなくても……」
騎士団長:「もしかするぞ!……ファイヤー!」
ズガァァァァァン!!
敷島俊介:「こ、これはやり過ぎではないのかね?」(;一_一)
敷島孝夫:「え、えーと……まあ、台本には書いてあったのですが……」(;´Д`)
俊介:「キミの秘書はドアの向こうを確認もせず、いきなりグレネードを発射するのかね?」(;一_一)
孝夫:「KR団との戦いの時は、そんなことしていたような……。そ、それにまあ、これはお芝居ですから……ハハハハ……」('◇')ゞ
騎士団長:「突入だ!皆の者、続け!」
ナレーター:「王宮騎士団は、シンデレラの家に強制捜索に入りました。すると何ということでしょう。家の奥に、継母と義姉がシンデレラを緊縛して監禁していたのです」
騎士団長:「2人とも!第2級国家反逆罪の現行犯で逮捕する!ひっ捕らえよ!」
兵士A:「ははっ!」
兵士B:「第2級国家反逆罪は尖閣諸島へ島流しだヨ」
継母:「ど、どうかお許しを!」
義姉:「尖閣諸島なんて嫌だーっ!」
兵士B:「それなら竹島送りだ」
騎士団長:「ええい、うるさい!後でたっぷり尋問してやる!連れて行け!」
召使:「団長さん!やっぱりこの人、あの緑色の髪の人ですよ!」
騎士団長:「そうか。……あなたが、シンデレラですね?」
シンデレラ:「はい……」
騎士団長:「此度はお騒がせしました。あなたを虐待していた不届き者共は、あの通り逮捕して連行しました。さ、こちらへ。あなたが本当に、昨夜の舞踏会で殿下と踊られていた女性かどうかの確認を致しましょう。レン、例の物をここへ」
召使:「はい!」
ナレーター:「召使が差し出したガラスの靴が、シンデレラの足とピタリはまったのは言うまでもありません」
大臣:「あの……殿下。本日の公務、そろそろ専念して頂けませんでしょうか?本日は国境警備隊の視察がございます。その後で隣国大使との会談、その後……」
王子:「やりたくない」
大臣:「は?」
王子:「あの緑の美しい女性。あの方が見つかるまで、何も仕事が手に付かぬ。全て予定はキャンセルしてくれ」
大臣:「で、ですが、殿下!」
王子:「くどい!何の為に国中捜索に当たっていると思うのだ!?見つかるまで私は一切ここを動かぬ!」
大臣:「殿下……」
そこへ、王子専属のメイドが入って来る。
メイド(鏡音リン):「失礼します!殿下、大変です!」
大臣:「これ!騒がしい!宮中であるぞ!静かにせんか!」
メイド:「も、申し訳ありません!」
王子:「まあ良い。何があった?」
メイド:「朗報にございます!殿下と昨夜お踊りになった女性が見つかりました!」
王子:「何だと!?」
大臣:「おおっ、見つかったか!でかしたぞ!」
王子:「すぐ迎えに行く!馬を引けい!」
大臣:「ははっ!」
メイド:「それには及びません、殿下。既に同僚のレンと、騎士団長のエミリー様がお連れしてございます」
王子:「すぐにホールへ案内しろ!私も向かう!」
俊介:「おお、いよいよ大団円だな」
孝夫:「脚本によれば、宝塚にも負けないとても印象的なラストを迎えることになっていますよ」
俊介:「ほおほお。……おおっ、既にドレスを身にまとい、ガラスの靴をはいたシンデレラが!」
孝夫:「劇の内容によっては王子様がシンデレラの家に迎えに行き、灰かぶり姿のシンデレラにそのままプロポーズして終わるというやり方もあるようですが、こちらはもう少しベタな終わり方にしました」
俊介:「まあ、こちらの方が分かりやすいかな」
孝夫:「さあ、いよいよ感動の御対面です!」
王子:「シンデレラ……。おお、正にあの時の貴女だ。会いたかったよ……」
シンデレラ:「王子様……私もです……。私も会いたかったです……」
王子:「さあ、私の胸に飛び込んできておくれ!」
シンデレラ:「王子様ぁぁっ!!」
シンデレラ役の初音ミク、王子様役のKAITOに向かって走る。
が!
グキッ!
ミク:「!!!」
KAITO:「!!!」
ハイヒール型のガラスの靴は、ミクにも履き慣れていないものだ。
それでバランスを崩したミク、危うく転びそうになる。
ミク:「わっ、たっ、たっ……!たっ!」
ドーン!(舞台セットの王宮の柱に激しくぶつかる)
メキメキメキメキ……!(王宮の柱が傾き始める)
平賀:「ああっ、ヤバい!」
ガーン!(ミクがぶつかった王宮の柱が倒れ、隣のもう片方の柱に激突する)
メキメキメキメキ……!(もう片方の柱もショックで倒れて来る)
村上:「い、いかん!こっちに倒れて来るぞ!」
平賀:「村上教授、逃げましょう!」
舞台袖でロイド達の動きの監視と調整をしていた場所に、セットの柱が倒れて来た。
ズゥゥゥン!
ズズゥーン!!
ガラガラガラ……ガッシャーン!!
バリーン!
孝夫:「オーマイガッー!!」
俊介:(ムンクの叫びを上げる俊介)
ロイ:「こ、これは反乱だ!ついに民衆の怒りが爆発し、王宮を破壊するに至ったのだ!何と恐ろしいことだ!!」
村上:「やめさせろ!幕じゃ!早く幕を下ろすんじゃ!」
急いで幕が下ろされる。
あまりの事態に、客席も静まりかえっていたという。
シンディ:「初音ミク……きさま……!!」
ミク:「は……はい〜……」
プシューッ!
平賀:「あ……ミクのバッテリー上がった……」(-_-;)