報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“戦う社長の物語” 「劇団ロイド再開」 2

2017-10-25 19:43:03 | アンドロイドマスターシリーズ
[10月18日 午前の部 天候:晴 東京都豊島区内某所 敷島エンター劇場]

 第二幕では配役変更。
 警備兵(門番)→国家憲兵隊長。

 ナレーター:「一夜明けて、国中にお触れが出されました。それはシンデレラに対する呼び掛けでありました」

 憲兵A(マリオ):「……そういうわけで、シンデレラを発見次第、直ちに通報せよ!」
 憲兵隊長(鏡音レン):「おい、それじゃまるで犯人捜しだよ。殿下のお触れは、あくまで将来、妃殿下と相成られる女性の捜索だ。良いか?発見次第、通報だぞ?犯人みたいに手荒な捕まえ方をするなよ、皆の者!」
 憲兵B(ルイージ):「下手に隠し立てしたり、手荒に捕まえた者は第2級国家反逆罪の廉で逮捕する!」

 ナレーター:「城下に兵隊を送り、お触れを回らせる一方で、王子様自身も捜索に当たっておりました」

 王子:「シンデレラ!シンデレラはどこにいる!?このガラスの靴に合う唯1人の女性はどこだ!」

 ナレーター:「ですが、そのガラスの靴を狙う者達がいたのです」

 継母:「フン、ガラスの靴など証拠隠滅してやるわ。……スナイパー、やっておしまい!」
 スナイパー:「了解!」

 敷島俊介:「ん?キミの秘書が?どこにいる?」
 敷島孝夫:「ふっふっふ」

 すると、VIPルームのドアが開いた。

 シンディ:「はいはい、失礼しまーす!」
 俊介:「なにっ!?」
 孝夫:「頼むぞ、シンディ」
 シンディ:「了解でヤンス!」

 シンディ、手には狙撃用のライフルを持っている。

 俊介:「なに!?本物だと!?」
 孝夫:「シーッ」

 シンディ、VIPルームの窓を開け、ステージ上にいるKAITOに銃口を向けた。
 スコープで狙う。

 KAITO:「シンデレラ!シンデレラはどこだ!?皆、お願いだ!シンデレラを捜すのを手伝ってくれ!」
 憲兵隊長:「見つけた者には褒美があるぞ!」

 シンディ、一発のライフル弾を放った。

 KAITO:「うわっ!」
 憲兵隊長:「で、殿下!?」

 シンディは、ものの見事にKAITO王子が高く掲げたガラスの靴をピンポイントで撃ち壊した。

 俊介:「ほ、本当かね?」
 孝夫:「さすがはスナイパーだな」
 シンディ:「お褒めに預かりまして。……あー、もしもし。成功報酬はスイス銀行に振り込んどいてくださいね」
 継母:「よくやった。感謝するよ」

 シンディの役はこれだけなので、あまり目立たない役になってしまった。
 だがシンディにとっては……。

 シンディ:「それじゃ、失礼しました」
 俊介:「何だかスッキリした顔だね」
 孝夫:「国家公安委員会から銃器取り外し命令を受けて以来のライフル使用でしたからね」
 俊介:「……待て」
 シンディ:「はい?」
 俊介:「今日はたまたま私と孝夫がここを使っているから良いものの、千秋楽までの間にこの部屋で観劇するお偉いさんはいるはずだ。もしかして、公演の度にここからライフルを撃つ気かね?」
 シンディ:「それが何か?」

 シンディは、にこやかに答えた。

 孝夫:「一般客席の観客からは、シンディが撃つ所を見ることができません。正に、VIPならではの迫力ですよ」
 俊介:「全く。キミ達の手法には、ほんと冷や冷やさせられる」
 孝夫:「恐れ入ります」

 ナレーター:「継母達はシンデレラを家の奥に監禁していました」

 シンデレラ:「お願いです!放してください!私が何をしたって言うんですか!」
 継母:「フン、うちのコを出し抜いて何を図々しい。今、お前を王子様に会わせるわけにはいかないのさ」
 シンデレラ:「私を王子様に会わせてください!王子様は私をお捜しに……ンブッ!」

 義姉、シンデレラに灰をぶっかける。

 義姉:「こんなに灰を被っちゃ、王子様にお会いできないでしょ!」
 継母:「よくやったわ。てか、家ん中が灰だらけ。地下室へ監禁しておくんだよ!」
 義姉:「了解!さあ、さっさと来るんだよ!!」
 シンデレラ:「嫌です!放してくださいぃぃぃぃ!」

 ナレーター:「意地悪なお義姉さんは、シンデレラのきれいな緑色の髪を掴んで地下室へと連れて行こうとしました。その時、シンデレラの髪留めが片方1つ床に落ちたのです」

 継母:「いいこと!?あなたはこの灰を片付けて、何食わぬ顔で庭掃除しておくんだよ!分かったね!?」
 メイド(鏡音リン):「かしこまりました。奥様」

 ナレーター:「何も知らぬ、メイドさん。まずはお義姉さんがシンデレラに掛けた灰を片付けます。一方その頃、王子様達は……」

 憲兵隊長:「ダメです、殿下!こちらの街区にも未来の妃殿下はおられません!」
 憲兵B:「まさか、国外逃亡!?」
 憲兵A:「バッカ、オメェ!だったら国境警備隊から報告があるべ!」
 王子:「一体、どうしたら……」

 ナレーター:「その時、憲兵隊長は1人の指名手配犯の似顔絵が目に入りました」

 憲兵隊長:「そうだ、似顔絵だ!殿下、ただお触れを出して捜し回るだけでは埒が空きません。似顔絵を描いて、御触書に添えるというのは如何でしょう?」
 王子:「そうだな。それはいいアイディアだ。だが、似顔絵描きの出来る者が……」
 憲兵A:「できました!」
 憲兵B:「同じく!」
 王子:「なん……だと?」

 ナレーター:「憲兵隊の超高速似顔絵描きにより、新たなお触れが出されました。そして、捜索の手はシンデレラの家の近くにも及んで来ました」

 憲兵隊長:「この似顔絵に見覚えのある者は、直ちに通報せよ!隠蔽したり、手荒に連れて来た者は逮捕する!」
 メイド:「あれは……?」

 ナレーター:「庭掃除をしていたメイドさん、憲兵隊長の捜索の声が聞こえてきました」

 憲兵隊長:「美しい緑色のツインテール!濃いピンク色の髪留めを付けている女性を王子様がお捜しです!心当たりの方は直ちに最寄りの兵士まで通報を!」
 メイド:「あれは……。ちょっと、すみませーん!」
 憲兵隊長:「何か?」
 メイド:「濃いピンク色の髪留めって、これでしょうか?」
 憲兵隊長:「むっ、これは……!この髪留めを付けていたのは、緑色の髪をした女性でしたか?」
 メイド:「はい、そうです」
 憲兵隊長:「! その女性の名前、シンデレラと仰いませんか?」
 メイド:「はい、そうです!」
 憲兵隊長:「その家とは!?」
 メイド:「こちらです!」
 憲兵隊長:「た、大変だ!すぐに殿下にお知らせせねば!」

 ナレーター:「憲兵隊長は急いで乗っていた馬を駆り、王子様の元へ報告に行きました。王子様もその報告を受けて、急いでシンデレラの家に向かったのであります」

 シンデレラ:「助けてくださいぃぃぃぃっ!」
 継母:「逃げるんじゃない!」
 義姉:「今逃げられたら私達、国家反逆罪で島流しよ!」

 バンッ!(シンデレラの家の玄関が勢い良く開けられた)

 憲兵隊長:「お前達、何をしている!」
 王子:「シンデレラを放せ!」
 継母:「お、王子様!?」
 義姉:「ひぇぇぇっ!!」

 ナレーター:「継母とお義姉さんは、第2級国家反逆罪の現行犯で逮捕されました。その後、尖閣諸島へ島流しになったことは言うまでもありません」

 王子:「シンデレラ、ずっと捜していたよ。さあ、私と一緒に来ておくれ。そして私の妃となってくれ」
 シンデレラ:「いけませんわ。あなた様は将来、この国の王となる御方。対して私は没落貴族の娘です。きっと、お城の人達が許しませんわ」
 憲兵隊長:「それでしたら、御心配要りませんよ」
 シンデレラ:「隊長さん?」
 憲兵隊長:「実は先ほど部下から連絡が入りまして、国王陛下が既に殿下方の結婚式の準備をされておられると……」
 王子:「あ、あの父上はーっ……!」
 シンデレラ:「それってつまり……?」
 王子:「父上が私達の結婚をお認め下さっているということです。国王たる父上の公認なのです。これでもう反対者はいませんよ」
 シンデレラ:「ああっ、王子様!」
 王子:「シンデレラ。必ずキミを幸せにする。約束するよ。さあ、帰って結婚式の準備だ!」

 俊介:「おおっ、ラストはちゃんと感動で終わったね」
 孝夫:「ええ。だいぶ、冷や汗かきましたけど……」

 尚、楽屋では継母役で最上位機種エミリーを連行するに辺り、憲兵役で下位機種のバージョン5.0であるルイージが後ろから蹴っ飛ばした疑惑が上がり、鋼鉄姉妹による厳しい尋問が行われていたという。
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“戦う社長の物語” 「劇団ロイド再開」

2017-10-25 10:42:55 | アンドロイドマスターシリーズ
[10月18日10:55.天候:晴 東京都豊島区某所 敷島エンター劇場]

 公演:劇団アンドロイド(仮称)

 演目:初音ミクのシンデレラ・改

 配役:シンデレラ…初音ミク 王子様…KAITO 継母…エミリー 義姉…MEIKO 魔法使い…巡音ルカ 国王…ロイ 警備兵…鏡音レン メイド…鏡音リン スナイパー…シンディ ナレーター:アルエット
(※太字は従来との変更点)

 1ベルが鳴り響く劇場内。
 1ベルとは開演5分前に鳴らすベル、またはブザーのことを言う。
 最近ではベルやブザーではなく、BGMや音声で行うことも多い(映画館など)。
 敷島エンター劇場では1ベルとしてその演目のメインテーマのインストゥルメンタルを流し、2ベルをブザーとしている。

〔「御来場の皆様に、お知らせ致します。開演5分前となりました。ロビーなどでお待ちのお客様は、お席にお戻りください。開演に先立ちまして、お客様方にお願いを申し上げます。……」〕

 観客A:「脚本と配役が微妙に変わってるけど、一体何がどうなったのかねぇ?」
 観客B:「初音ミクの階段落ちと柱倒しの対策じゃね?」
 観客C:「逆にあれ、結構面白かったのにw」
 観客D:「つか、このシンディ嬢のスナイパーって何だよ?シンデレラにそんなもんいたっけ?」

 そしてVIPルームでは……。

 敷島俊介:「今度は大丈夫なんだろうね?」
 敷島孝夫:「大丈夫だと思います。昨日の通し稽古は、かなり上手く行きました。(敷島峰雄)会長が心配して来て下さいましたが、大絶賛でしたよ」
 敷島俊介:「それならいいが……。ちっ、私も出張さえ無ければ通し稽古を見れたのに……」

 こうして、劇団アンドロイドの再演が始まった。
 変更点の無い所に関しては省略する。
 1番最初、シンデレラが継母と義姉に暴言を受けるシーンについては殆ど変わらない。
 シンディがエミリーに変わっただけだ。
 元が同型の姉妹機、エミリーも遺憾なく継母の意地悪ぶりを発揮した。
 底意地の悪い義姉役のMEIKOも変わっていない。
 要するに、継母の配役が変わっただけで、序盤のストーリー展開は変わらないということだ。
 実は脚本だけだと、継母役すら変更は無かった。
 後半のストーリー大幅改変に伴い、騎士団長の役が無くなったエミリーがスナイパー役だったのである。
 しかし、スナイパーと言えば遠距離からのライフル射撃を得意とする。
 如何に同型の姉妹機と言えど、射撃の性能は大きく異なる。
 エミリーはハンドガンやショットガンなどの近接攻撃を得意とし、遠距離からの狙撃を得意としていたのはシンディであった為(前期型では暗殺もよくやっていたからだろう)、敷島が変更させた。
 変更させても設定を変えるだけですぐ対応可能のロイドは、そこが長所だった。

 警備兵:「はい、並んで並んで!ここから先は王宮です!招待状を確認します!招待状が無い方は入れませんよ!」

 召使から警備兵役となったレン。
 よく中世ヨーロッパの兵士の鎧などを用意できたものだと思うが、そこは映画制作なども行っている四季グループ。
 そこから衣装を借りて来れたわけだ。

 義姉:「お母様、渋滞してるわ。こんなことなら、もっと早く出てくれば良かった」
 継母:「慌てちゃいけないよ。まだ舞踏会には時間がある。もっとも、あの灰かぶりが、もっとテキパキとあなたのドレスの着付けができたら、早く出て来れたのにねぇ……」

 ナレーター:「兵士達による招待状の確認や、手荷物検査が終了した継母達は、ようやく王宮の中へと馬車を進めることができました」

 警備兵:「ふぇ〜っ、これで全部入ったかなぁ?……あー、疲れた。おーい!そろそろ城門を閉めてくれ!」
 シンデレラ:「ま、待ってください!」
 警備兵:「ん?あれ?まだいたのか?……おい、門を開けろ!」
 シンデレラ:「遅れてすみません!」
 警備兵:「舞踏会参加者の方ですか?」
 シンデレラ:「はい!」
 警備兵:「招待状の確認をします。招待状は?」
 シンデレラ:「こ、これです!」

 ナレーター:「招待状はカボチャの馬車の中に入っていました。それを確認した兵士ですが、偽物と気づくはずがありません」

 警備兵:「なるほど。確かに国王陛下のサインもある。……何か聞いた話より、参加者の数が多いような……?」
 シンデレラ:「ギクッ!」
 警備兵:「まあ、ボクの勘違いかな。招待状は本物だし。まあいいや。じゃあ、どうぞ中へ」
 シンデレラ:「あ、ありがとうございます!」

 ナレーター:「こうして、シンデレラもまた舞踏会へと足を運ぶことができたのです。……しかし、当の王子様は乗り気ではありませんでした」

 王子:「父上!何故このような下らないことを!?結婚相手くらい、後で探します!」
 国王:「まあ、そう言うな。これはお前の誕生日パーティーなんだぞ?そのついでに、『志あらん者は、我が息子の恋心を射止めよ』と触書に添えてみたまでだ」
 王子:「それが余計だと申しているのです!私にはあなたの第一王子として、国政の課題を解決しなければならない責務があります!誕生日を祝って下さるそのお気持ちはありがたく頂戴致しますが、婚活などという滑稽な余興は必要ありません!」
 国王:「まあ、いいからいいから。いいですかー?見てごらんなさい。どうでしょう?……触書を見た『志あらん者』達が、続々と集結している。お前も今宵は好みの女性と踊って来い」
 王子:「何を仰いますか、父上!好みの女性など、あの中には……」

 ナレーター:「するとどうでしょう?王子様の目がギラリと光り、1人の女性をロックオンしたではないですか」

 俊介:「どうしてもアンドロイドとして、ロックオンするあれだけはやりたかったのだね?」
 孝夫:「え、ええ……まあ……はい」

 王子:「いたっ!」
 国王:「なにっ!?」
 警備兵:「ぬねの!」
 国王:「うわっ!?な、何かね、キミ!?」
 警備兵:「失礼しました。殿下、至急お耳に入れたいことが……」
 国王:「後にしたまえ。今、殿下は好みの女性の所へ高速移動中だ」
 警備兵:「ええっ!?」
 王子:「失礼。そこの貴女、私と踊って頂けませんか?」
 シンデレラ:「わ、わた、わた、私とですか!?ね、ね、願っても無い光栄ですっ!」

 プシューッ!(ミクの両耳から煙が出る)

 村上:「平賀君、またヒートアップしてるぞ!」
 平賀:「そろそろミクのボディも交換の時期なのかなぁ……」

 ナレーター:「あの王子様が会場の片隅にいたシンデレラを直接指名したことで、会場はどよめきました。そして、それは継母と義姉も見ていたのです」

 継母:「あ、あれはシンデレラ!?な、何故!?」
 義姉:「くぅーっ……!!」

 ナレーター:「驚愕と嫉妬を隠し切れない2人をよそに、王子様とシンデレラは時を経つのも忘れて、楽しく踊りました。しかし、時間は止まってくれません。ついに、まもなく12時を知らせる鐘が城中に鳴り響きました」

 シンデレラ:「はっ、いけない!もう時間だわ!」
 王子:「心配要らないよ。舞踏会は、まだまだ続くさ」
 シンデレラ:「そうじゃないんです!私、早く帰らなくちゃ!王子様、ごめんなさい!」
 王子:「ま、待ってくれ、シンデレラ!」
 シンデレラ:「王子様、さようなら!」
 王子:「待ってくれ!MX深夜アニメ観たかったら、うちで観てけば!?」

 村上:「何ゆえ、Tokyo MXの深夜アニメ???」
 平賀:「KAITOの方を先に修理しないとダメだ、これ!」

 そして、ついにあの因縁のシーンの前触れに差し掛かる。

 シンデレラ:「きゃーっ!」

 何とミク、前の通りに階段落ちをやらかす。

 俊介:「お、おい!あれもNGではないのかね?」
 孝夫:「いえ、大丈夫です。演出家さん達もなかなか強かなもので、あえて安全を確保した上で、わざと階段落ちをやらせるということになりました。その証拠に、前回と違って、ミクが頭から落ちてはいません」
 俊介:「な、なるほど……!」

 そうしているうちに王子様役のKAITO、階段の下に残された片方のガラスの靴を寂しそうに拾い上げる。

 王子:「おお、シンデレラ……。私の恋心を初めて掴んでくれた人……。何故、私から逃げるようにして去ったのか……。必ず……必ずや私は貴女を捜し出し、結婚を申し込もう!」

 俊介:「う、うむ。さすがに、今回は終電とか深夜急行バスとかは言わなかったな」
 孝夫:「と、当然ですよ。うちのボーカロイド達は皆優秀ですから……ハハハハハハ……」

 と言いつつ、何故か冷や汗びっしょりの敷島孝夫だった。
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