振り返ってみれば、浴衣会や舞い初めの会では踊って来ましたが、本格的な舞台は南座の襲名公演以来踏んでいないことになります。どんな分野でも練習だけをいくら積んでも、やはり本番経験を積んでいかないと、自分のやる気も上がっていかないし、勘もすこしずつ鈍っていくのではないかと思います。
このコロナ禍の中では仕方のないことですが、今必要なことは舞台に立つことだと思い、「舞踊の会」に出演することを決めました。
ところが、この状況の中では東京から地方さんに来ていただくことが無理だということで関西在住の方々でするということになりました。西川流は、西川鯉三郎と清元栄壽郎先生の名コンビで素晴らしい作品が数多生み出された経緯からか、清元の作品がとても多いのが特色です。色々な流派の先生方が出演される舞踊協会関西支部の会である「舞踊の会」では、できれば西川流ならではの作品を踊らせていただきたいと思い苦慮しました。
そんな中で漸く思いついたのが常磐津「山めぐり」でした。この曲は西川流独自のものではありませんが、鯉三郎先生が得意とされていた演目の一つであり、又千代先生が名古屋をどりに出演された演目であることから映像も持っていましたので、何とかそれを頼りに勉強しようと考えました。
でも、なかなか厳しい道であることを今痛切に感じています。私は幸いなことにいつも助言して下さる先生に恵まれて来ました。今皆さんがいらっしゃらなくなって自分一人になってみて、何と今までの自分が幸せであったか、今後の茨の道を考え、しばし茫然としました。後ひと月、何とか自分のものにしたいと孤軍奮闘?中です。