"暮らしのリズム"的できごと

先人が培った暮らしの知恵を通じて今を楽しむ【暮らしのリズム】のブログ。旧暦、落語、音楽、工芸品、食、民俗芸能などをご紹介

職人技に触れる・指物師、田中清八さんとの再会

2007年06月17日 00時14分25秒 | まち歩き

 旧五月三日。梅雨入りが発表された途端に、それをあざ笑うかのような好天が続いている東京。爽やかな風と夏の元気な陽差しは嬉しいのですが、夏場の水瓶となる水源が気になりませんか。今年の夏は暑くなりそうです。普段より意識を高めて水は大切に使いたいものですね。

 北千住で行われている「足立区伝統工芸品展」を見に行ってきました。区内の伝統工芸師が集まり、工芸品の展示、実演、即売を行うこのイベントには、初めて行ったちょうど一年前の前回以来です。その時にお話しをしたご縁で、江戸指物・建具工芸師の田中清八さんの工房を訪ねたのがついこの間のことのようです。その時の模様はぜひこちらをご覧下さい。
616sashimono  今回、田中さんは会場での実演は行わず、漆塗りの行灯と、衝立障子を出展しておられました。工房を訪ねたときに見せていただいた衝立障子には、写真の通り色が着けられています。「漆のような朱色に塗って貰おうとおもったのだけど、まっ赤になってしまって・・・。黒にすればよかったかな」とちょっと照れくさそうに残念がっています。この一年、田中さんは故郷、青森県六戸で、
616nabeshiki中学生に指物について教える機会があったそうです。 その際に六戸の中学三年生を一緒に作ったという、鍋敷きになる工芸品をプレゼントして頂きました。ありがとうございます。精巧で美しく檜のとても良い香りがします。小さくても手作りの価値を感じる工芸品を実際に作ってみることで、故郷から指物をやってみようという若者が出てくるといいですね。
 田中さんは、今一つの夢を持っています。「江戸時代に殿様が乗っていた駕籠を作ってみたい」とのことです。以前、江戸時代の駕籠の修繕と漆塗りを頼まれた際に、パーツの採寸とそれぞれの素材を調べたそうです。これは楽しみですね。ぜひ作業中のところも含めて見せていただきたいと思います。受注した仕事だけでなく、納得のいく作品を作り上げたいという探求心は、これぞ職人魂というものなのでしょうか。とても感銘を受けます。

 まだまだ陽差しが残り空が高い夕方の宿場町。616kappoukuzusi一歩路地に足を踏み入れると、そこここに歴史を感じさせる風景があります。喉が渇いたのでビールでも一杯。料亭の割烹料理を気軽に、と立ち飲みスタイルで提供する“割烹崩し”のお店に立ち寄りました。ここもまた、ひと仕事、ふた手間の技が素晴らしいです。写真が本日のメニュー。この肴がこの値段で頂ける、千住の名店です。古い町は細い道までもが侮れません。