旧一月十三日。今年の「立春寒波」は強力です。本当に地球温暖化が進行しているか、と思ってしまうほど。春を予感させる低気圧は、南岸を通過するために、関東でも珍しく大雪に見舞われました。今度の週末もひょっとすると、という予報になって来ましたが、どうでしょう。
恒例の"食"のイベント【手前味噌仕込みの会】。今年で9回目となりましたが、2月11日に無事開催しました。寒い中、ご参加頂いた皆さん、ありがとうございました。
今年の味噌は、参加者からのリクエストがいくつか寄せられたので、麦こうじ十割で仕込みました。こうじの原料となる麦は、佐賀県産の二条大麦でサチホゴールデンという品種です。主にビールの原料となる麦です。なるほど、真空パックで届くこうじの袋を開けると、ビール工場を見学した時の記憶が蘇る独特の香りが広がります。
麦こうじと塩をよく混ぜるところから作業がスタート。麦こうじは水分が適度にあって、しっとりしています。真空パックでしっかり固められていたので、丁寧にほぐしてゆきます。続いて、こうじと塩をムラなく混ぜ合わせてゆけば、第一段階は終了(写真左上)。大豆が茹で上がるのをしばし待ちます。
麦こうじはなかなかお店などで市販されておらず、珍しいので、ここで一品作ってみました。『もろみ納豆』です。納豆と、松前漬けなどで使われる粘りが強い「がごめ昆布」(千切りで乾燥しているもの)、調味料(みりん・酒・醤油)、麦こうじを合わせてよく混ぜ、3~4時間慣らします。こうじ菌と納豆菌の相乗効果やネバネバ食感は、食べて美味しく、体にも良さそうです。打ち上げのお楽しみです。
今年の大豆はちょっと固かったのでしょうか。茹で上がりまで2時間ほどかかりました。ここからは力仕事です。ボウルにいれた大豆をポテトマッシャーで潰してゆきます。厚手のポリ袋の入れて、ビール瓶で潰すというのも、簡単なようです。(写真右上)
すべて潰し終えたら、先ほどのこうじと塩に合わせてゆきます。そのままでは固いので、大豆の茹で汁を少しずつ加えて、味噌の固さを調整してゆきます。固過ぎると熟成が遅くなってしまい、反対に柔らか過ぎると熟成の途中で水分が溢れ出てしまうこともあり、この加減が一番難しいポイントです。完成品の味噌の固さを想定し、皆さんの意見を聞きつつ良い加減を決めました。(写真右下)
最後は、皆さんの1升瓶に2kgずつ詰めてゆきます。空気が入らないように、蓋が浮かずにしっかり密閉できるように注意します(写真左下)。と、これで作業は完了。お疲れ様でした。
作業の後は、片付けをして打ち上げ&宴です。結構体を使った作業の後、咽を潤すビールは格別です。
居酒屋ニュー信州特製の味噌料理が振る舞われました。料理の味噌は、もちろん手前味噌です。まずは、サクラマスの西京焼きと蒸かし里芋の手前味噌乗せ(写真左上)、そして「もろみ納豆」(写真左下)です。絶妙な甘みと旨味の西京焼きは絶品でした。もろみ納豆は、混ぜて3時間くらいでしたが、もう1~2時間置くと、こうじが柔らかくなって美味しいかと思います。続いて、ふろふき大根(写真右上)。寒い日の大根と柚子味噌はご馳走です。そして、手前味噌の味噌汁(写真右下)。王道ですね。
宴もたけなわ、ここで余興をひとつ。仕込作業の最年少参加者、千夏ちゃん(小学校2年生)のお兄ちゃん、龍一君(5年生)が勉強中の落語を一席。「子ほめ」を披露(写真→)してくれました。修業の成果を聞かせて、暖かい拍手を貰っていました。
秋には、皆の家で熟成した味噌を持ち寄って、【手前味噌自慢の会】という名の宴をやります。どうぞ、お楽しみに。お疲れ様でした。
旧正月八日。昨日は正月七日。五節句の最初【人日】の節句でした。節句はぜひとも旧暦で季節感を味わいたいものです。
このところにわかに暖かい日があったと思い、ちょっと気を緩めていたら、【立春】を迎えた2月4日の午後には東京でも雪が舞いました。。
春の気 立つをもってなり。
『暦便覧』(天明八年/1788年出版)
暦どおりの立春寒波の到来です。日差しはたいぶ強さを感じるようになって来たのですが、それでも気温が上がらない。この寒さ、まだ数日は続くそうです。
【人日の節句】といえば【七草粥】です。そもそも、旧暦の人日の頃には、日当りの良い野原に春の七草が芽吹きます。それでも北国や雪国ではまだまだ。夏や秋に収穫して塩漬けや乾燥で保存していた青物、あるいは小豆などの豆類で七草粥を炊いたとされています。現代においては、旧暦に合わせて七草セットを売る店もなく、在り合せの青物で七草粥を作りました。青物は、かぶの葉・カリフラワーの葉・セロリ・青葱・大根・大根葉のぬか漬け。一つ足りませんが、まあ良しとしましょう。陽が傾くと一気に冷え込む早春の頃、粥を口にするとひと時でも暖まります。
このブログでは、毎年この時期になると登場するのが【まんさくの花】です。先ず咲くからこの名がついたとされるほど、早くに開く木の花。よーく見ると、折り畳まれた花びらが、帯を解くように長く伸びようとしています。梅の花の季節になると、すぐに忘れられてしまう存在ですが、まずひとつ、春を感じてみましょう。
旧一月朔日。旧暦のお正月です。
ということで、旧暦の初日の出を拝みに行ってきました。1月1日から31日。日の出もかなり早くなったのかな、と思って暦を見ると、意外にも8分しか早まっていません。それでも、新元旦と比べて、日の出のポイントがいくらか東に動き、昇った朝日の眩しさは、瞬く間に力強さを増しました。まだ寒中ですが、春に向けて季節は確実に進んでいます。東京は暖かく穏やかな旧元旦でした。
(写真は永代橋の少し下流。新川の土手から臨む旧暦の初日の出)
その寒中も、月曜日の「節分」まで。あと3日間です。週間天気予報によると【立春】頃から、また寒さが戻るそうです。少しずつ「三寒四温」の気配がしてきましたが、焦らずじっくり春の日を待つことにしましょう。
旧十二月二十三日。日曜日(1月19日)に二十四節気の【大寒】に入りました。
冷ゆることの至りて甚だしきときなればなり。
『暦便覧』(天明八年/1788年出版)
東京では、1月10日から20日までの11日間、連続で最高気温が10℃未満の寒中らしい陽気が続いて来ました。それもどうやら一段落。これからは、少しずつ寒気の出し入れがあって、厚手のコートがいらないような日もあるようです。日差しも少し強さを感じるようになり、まだ寒中後半ですが、春の匂いがしてきました。
写真は、隅田川土手。とても日当りの良い場所に咲く寒梅です。あまり花つきは良くないのですが、放つ香りは春そのもの。このような暖色系の花を目にすると、気分も軽やかになります。
旧十二月十一日。『鏡開き』です。拙宅では略式で鏡餅は供えていないのですが、正月用に用意していた餅の残りを雑煮にしていただきました。正月の行事が一つずつ済んでゆき、小正月の「どんと焼き」(左義長)が過ぎると一段落となります。それにしても寒さが身に凍みる今年の寒中です。
昨年10月23日に初めて開催したイベント【猫と落語の宵噺】。立川志の春さんによる猫が登場する落語と、イラストレーター/エッセイストの浅生ハルミンさんとのトークに一杯のご来場をいただきました。
お客様からお送り頂いた「自慢猫画像」を背景に投影するなど、特に"猫好き"の方には楽しんで頂けたことと思います。お陰様でご好評を頂き、第2弾を開催することになりました。
開催日の2月22日は、折しも「猫の日」。会場に猫はおりませんが、落語とトークでたっぷり猫を愛でて頂きたいと思います。また、土曜日ということもありますので、昼夜2回の入替え公演を行い、ご都合のよろしい回にお運び頂けるようにいたしました。お誘い合わせの上、お運び頂けると幸いです。
出演は、前回同様、立川志の春さんと、浅生ハルミンさんのお二人。
志の春さんは、この会にインスパイアされたという猫落語のオリジナル新作落語を披露して下さります。古典一席と併せてお楽しみ下さい。
ハルミンさんは、京都の美術系出版社、青幻社から刊行した『猫のパラパラブックス(4巻)』が只今大ヒット中。製作秘話などをお話頂けるそうです。
「自慢猫画像」の募集はもちろん、他にもお客様参加企画を考え中。どうぞ、お楽しみに。
【猫と落語の宵噺(よいはなし)】
出演:立川志の春・浅生ハルミン
2014年2月22日土曜日・猫の日
第1部15:00開場・15:30開演
第2部18:30開場・19:00開演
(第1部・第2部共にほぼ同内容です)
光塾 common contact 並木町(JR渋谷駅新南口すぐ)
2,500円 (席数限定・要予約)
立川志の春
昭和51年大阪府豊中市生まれ。平成14年立川志の輔に入門。平成23年1月に晴れて二
つ目昇進を果たす。IVYリーグの名門~大手商社勤務という経歴を持ちながら、通りがかりにふと立ち寄って聞いた立川志の輔の落語に魅せられ入門を決意。
醸し出す落ち着いた雰囲気で、古典から創作までをじっくり聞かせる。最近は、英語の落語でシンガポール公演を定期的に開催。昨年12月にはCDブック『誰でも笑える英語落語』をリリース。日比谷コンベンションホールで月例独演会を、他にも錦糸町・柏で定例会を開催している。愛猫とら・たまと暮らす。
『立川志の春のブログ』
浅生ハルミン
三重県生まれ。イラストレーター、エッセイスト、作家。NHK-BS「こころがこどもになる」オープニングタイトルのアニメーションを手がける。著書に『私
は猫ストーカー』『猫座の女の生活と意見』『ハルミンの読書クラブ』『猫の目散歩』『三時のわたし』などがある。『私は猫ストーカー』は2009年に映画化され、今もなお各地で上映されている。資生堂『花椿』本誌で「美肌歳時記」を連載中。平成24年には初の絵本『キッキとトーちゃん
ふねをつくる』を発表した。京都の青幻社から出版した『猫のパラパラブックス(4巻)』がヒット中。三重の実家にキッキ、東京の住まいでトーちゃんと暮らす。
『浅生ハルミンの「私は猫ストーカー」 passage』