自己満足日記

クラキンのささやかな道楽三昧  2009年3月14日開設

最近思ったこと

2016年09月14日 05時51分35秒 | ブログ
先日、模型サークルの飲み会でイギリスに10日間余り旅行されて、各博物館やミリタリーショーを観てこられた方から、お土産話を聞かせて頂いたり、写真・動画を堪能させて頂きました。

彼の地では、お金持ちや政府が大戦当時の兵器や装備の保存や展示に非常に熱心で、その成果が無料または格安で一般市民に提供されているということです。

このことを聞いていて「メセナ」という言葉を思い出しました。
現代ではメセナというと企業が文化や芸術を資金や施設の提供などの様々な方法で支援する活動のことを指しますが、元々は、古代ローマの初代皇帝アウグストゥスのブレーンであったガイウス・マエケナスのが経済的に恵まれない若い詩人たちを支援したことに由来するものです。(マエケナスの仏語読みがメセナの語源)
つまり、文化や芸術を支援するのは本来は「企業」に限ったことではなく「個人」からなのです。

マエケナスは芸術の分野で支援活動を行ったので有名になりましたが、この精神はマエケナスに限ったことではなく、遥かそれ以前から古代ローマに根付いていた精神です。

つまり、

成功を得た者は、個人の努力だけではなく、社会があってこそのことである。
故に成功者はその恩を自らの知力・体力・財力を以って社会に還元するのが当然である。

とする考え方です。

この精神に基づき、元老院や執政官などの政治職は全て無報酬のボランティアでしたし、公共事業(例えば、当時ヨーロッパ中に張り巡らされたローマ街道)の殆どが経済的に成功した者が個人として成した事業なのです。

この精神はローマ帝国の拡大と共に欧州全域に広がり、現代の欧米諸国の基本的な精神になっていると思います。
例えば欧米諸国の政治家の報酬は驚くほど少ないですし、成功して財を成した人が寄付や基金などの形で社会還元するのは当たり前になっています。

話を元に戻します。
イギリスでお金持ちが私財を投じて昔の兵器を保存し公開するのはコレクター的な趣向も当然あると思いますが、富の社会還元、恩返しという精神が背景になっているのではないかと感じました。

一方、わが国では元々このような精神は存在しませんから、メセナという概念が持ち込まれたのは1990年頃のことですし、政治家(「政治屋さん」と言った方が相応しい方が大半のように思えますが・・・)の報酬やその使途は既にご存知の通りです。
成功した個人が、その知力・体力・財力を以って社会に還元するという例も極一部に限られたことで、冒頭のイギリスのようなことは滅多に耳にしません。

でも・・・最近暴露されたパナマ文書などを見ていると、メセナ精神も廃れたものだとも思いますが・・・。

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コメント (6)
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