プラモデルの中でも、吹付け塗装で飛行機モデルを作る場合に、絶対に避けて通れないのが「キャノピーのマスキング」という作業です。
(「筆塗り一発で決める」という達人の方には無関係なお話です。)
今回は、この面倒なキャノピーのマスキング方法についてのお話です。
先ず「鉄則」は、
1.キャノピーパーツ(クリアパーツ)の上で、極力カッターは使わない。
理由は簡単で、万一余計なところに傷を付けてしまったら、修復は殆ど不可能だからです。
2.カッターの刃は絶対にケチらない。
繊維の多いマスキングテープを綺麗に切るのは、なんと言っても新しい「刃」が大切です。
次にマスキングする材料ですが、私の場合は市販の普通のマスキングテープ(大抵、黄色)とマスキングゾルです。
透明なセロテープが良いという方もおられますが、粘着力が強すぎることと、変に破れやすいので私は使いません。
セロテープの良さは透明なので、キャノピーのモールドを観ながら切り易いということのようですが、これは先に書いた「鉄則」に反するので、私にとってはメリットになりません。
では具体的なやり方ですが、私の場合は、キャノピーの枠のモールドが凸又は凹のいずれにしても「ハッキリ」しているかどうかで、方法を使い分けます。
1.枠のモールドがはっきりしている場合(型取り法)
①大き目のマスキングテープをキャノピーの外側に貼って、枠に沿って爪楊枝の先で密着させます。
②この状態でマスキングすべき範囲の外枠をボールペンで罫書いて型取りします。
③これを一旦剥がして、平らなアクリル板の上に貼って、罫書き線の外側に沿ってカッターで切り出します。
「外側に沿って」がコツですよ。
④カッターで切り終わったら、ピンセットで摘まんで、キャノピーパーツに貼ります。
下の写真はフジミの九九式艦上爆撃機(1/48)の例です。
このキットはキャノピー枠が凸モールドで非常にくっきりと表現されています。
ボールペンで書いた罫書き線の外側を切り出しているのがお判りになると思います。
2.モールドがはっきりしていない場合(細切りテープ法)
モールドがはっきりしていない場合は、上記の「型取り法」は使えませんから、1~2mm巾に切ったマスキングテープで丹念に枠取りしていく方法を使います。
マスキングテープの幅は、キャノピー枠の曲線のキツさや、ガラス面のアールの大きさなどを観て決めます。
曲線やアールがキツい場合は細く、緩い場合は太くです。
①マスキングテープを平らなアクリル板の上に綺麗に伸ばして貼り、1~2mm巾に切っていきます。
②この細切りマスキングテープをキャノピー枠に沿って丹念に貼り付けていきます。 端っこは、カッター刃を横に滑らせるのではなく、横に動かさずに押し切るような感じで切ります。
③真ん中の空白地帯はゾルを塗って埋めます。 勿論、マスキングテープで埋めてもOKですが、ゾルの方がはるかに作業が早いですし、テープの押さえにもなるので、一石二鳥です。
下の写真は1/48の九七艦上攻撃機とキングフィッシャー、1/72ロッキードベンチュラの例です。
いずれも非常に繊細な凸モールドでキャノピー枠の線だけが表現されています。
九七艦攻とキングフィッシャーの最前部は型取り法も併用しています。
最後に最もお手軽な方法として、市販のキャノピーマスクを使用する方法をご紹介します。
多少、お金は掛かります(200~1300円程度)が、お手軽・安全・確実な方法です。
エデュアルドなどが出している、「予めキャノピー枠の形にカットしたマスキングテープ」で、カットはかなり正確ですし、粘着力も理想的で糊成分の残存もほとんどありません。
エデュアルドが有名ですがお値段が少々高いです。
ホビーサプライツキムラ(http://masking.jp/index.html)やマスキング販売(http://masking.sub.jp/)なら200円~600円程度で購入できます。
ホビーサプライツキムラさんは、種類も豊富なのでお勧めです。
一番上の写真は、二式水戦の例(エデュアルド)ですが、この複雑な枠が、こんなに綺麗に貼れて、僅か15分程度で完了です。
二番目はマスキング販売のB-24の例です。
エデュアルドとマスキング販売は紙製のテープを使用しています。
3番目はホビーサプライツキムラのB-29の例で、このメーカーは樹脂製のテープなので曲面hの馴染みが良いです。
便利なものはどんどん活用しましょう。
この方法の欠点は、発売されている種類が限られているので適用範囲が非常に狭いということですが、枠の多い四発重爆なんかもの凄く重宝します。
私もプラモ屋さんへ行ったら必ずキャノピーマスクのコーナーはチェックし、自分のストックしているキット用のものを見つけたら、即ゲットです。
最後に肝心の塗装ですが ・・・
①胴体にキャノピーを接着してから塗装するか
②塗装してから接着するか
で迷われるかも知れません。
私の場合はキャノピーと胴体の「合い」の具合を見てから決めます。
合いが良くて、パテなど使わなくても隙間なく接着できるようなら、「塗装してから接着」。
合いが悪くて、調整してもパテの厄介になりそうであれば、「接着してから塗装」です。
理由は、お察しの通り、仕上がりの綺麗さの問題だけです。
最後になりましたが、塗装は、
機内色 → サフ → 機体外部色 の順でお願いします。
そうしないとキャノピーの部分だけ、機内の色が違うなんてことになってしまいますから・・・。