とのさま不経済新聞 by 雲葉

「よるのとのさま」から改題(2013年2月1日)

鉄道⇔理不尽

2008年03月29日 | とのさまの休日
§ 妹からいたく立腹のメールが来た。彼女は東急~都営~トーチカの経路で通勤しており、以前は定期券が磁気式のでしか発行できなかったため不便を感じていたという。

  そこへ今月15日からICカードでの発売範囲が拡大されると伝えたところ、いたく喜んでいた。

  ところがいざ申し込みに行くと発券できないという。サイトや駅のポスターでも案内しているのになぜ?と思い、実家へ行ったついでに駅で質問してみた。

  すると、「東急~トーチカ~都営」は発売できるが、「東急~都営~トーチカ」は不可だという。理由を尋ねても一介の駅員に分かるはずもなかろうから、その場は礼を述べて立ち去った。

  事業者の順番が違えば発券できないというのは不可解でしかない。南武線東横線山手線などの特例運賃もICカードは対応していないが、プログラムが複雑になりすぎれば改札機の処理時間が増えて面倒が起こりかねない。そこはやむを得ないだろう。しかし今回のケースは理解しかねる。東急だけでなく他の事業者から都営~トーチカと乗り継ぐ人も同じように憤慨しているのではないか。

  聞くところによると、国電でも会社境界付近ではICカードが利用できない区間があるという。利用者の利便よりも鉄道側の都合に合わせて乗ってもらおうというムシのいい考えがはびこるようでは困る。


§ 岡山での突き落とし事件で、ホームドアを設置していれば防げたなどと主張し、またぞろ設置を推進しろという動きがあるらしい。拙者もそれ自体の有用性は否定しない。しかしなにがなんでもとか、ホームドアが万能という狂信的な考えを抱くつもりもないのは過去に何度も述べてきたとおり。『刃物がない国では刺殺事件は起こっていない』というのと同じほど馬鹿げた話だからだ。

  このところ妹のケースを含め、ホームドアに関連した事故が少なくない。そこで国交省にメールで安全基準はどうなっているのかと質問してみたところ、開いた口が塞がらない回答が寄せられた。一部を引用すると…

  『ホームドアは開発途上にあるため、改善の余地が残されていると考えております。(中略)加えて、国土交通省では、ホームドアの諸問題解決のため、東京メトロも含めた鉄道事業者や有識者を交えて検討を行っております。

  これではまるっきり信用できないシステムを野放しにしていると白状しているのと同然ではないか。トーチカ南北線が部分開業して17年、都営三田線などに設置されてからも8年になろうとしているというのに、今もって“改善の余地”を“検討中”とは呆れ果てたものだ。しかも問題を残しながら6月には10両編成でのホームドアワンマン運転が開始されようとしている。

  通常の工業製品なら欠陥があればリコールがかけられるし、運用に問題があれば解決されるまで運用を中止するのが常だ。なぜ鉄道だけ例外なのだろう。そしてひとたび大事故になれば、一様に「安全対策が不十分だった」とか「安全基準がなかった」という釈明が繰り返される。横浜市での事例のように警察沙汰にしていくしか糸口はないのかと思うとやりきれない。

  例えば東急の白楽や梶が谷のように、駅員からの合図がないとドアを閉められないようにするとか、乗降の多い駅ではホーム要員の配置を義務付けるなど、事業者の“お手盛り”にしないようにする方策はある。“有識者”の中に自称アナリストホームドア教の信者が交じっていないのを願わずにはいられない。

  そのメールには『今後このようなトラブルを目撃なさった折には是非またお知らせ下さい。』ともある。安全確保のためには泣き寝入りすることなく、声を大にしていこうではありませんか!