瀬戸際の暇人

今年も偶に更新します(汗)

2011年、クリスマスには歌を歌おう♪その10

2011年12月30日 21時08分17秒 | クリスマス
はぁい♪ミス・メリーよ♪
大晦日のイブに紹介するクリスマス文学は「若草物語」――と言ったら貴方は首を傾げるかしら?
白い手が自慢の美しい長女メグ、男勝りな作家志望の次女ジョオ、優しいけど引っ込み思案な三女ベス、見栄っ張りで芸術家肌の末娘エイミー…貧しくとも明るく仲が良いマーチ家の4姉妹は、理想的な家族として世界中から愛されてるわ。
映画や劇やアニメ等にも採り上げられてるから、観た事1度も無い人は少ないでしょうね。
アメリカの女流作家、ルイーザ・メイ・オルコットは、自身の家族をモデルに、この作品を書いたと云われてるの。

物語の始まりはクリスマス――

「『プレゼントの無いクリスマスなんて意味無いな。』炉辺の敷物の上に寝そべっていたジョオが、不平らしく言った。
 『貧乏は辛いものね。』とメグは自分の着古した服を見回して溜息を吐いた。
 『ある人は良い物を沢山持っていて、ある人は何も持っていないなんて不公平ですわ。』
 小さいエミイも姉達の不平に参加した。
 『でも私達にはお父様とお母様と、それから姉妹がありますわ。』ベスは隅の方から満足そうに言った。
 ストーブの火影を受けた少女達の顔は、ベスの楽しい言葉に輝いたが、ジョオが急に、
 『私達父さんを持ってないも同然よ、しかも長い間お会いできないんだ。』と言ったので再び暗くなった。
 ジョオは永久にとまでは言わなかったが、戦地に居る父の事を考えて心の中でその言葉を付け加えたのであった。
 暫く誰も口をきかなかったが、メグが前とは調子を変えて妹達を見渡しながら言った。
 『あなた方解っているでしょう、お母様がクリスマスのプレゼントを止めると言いなすったのは、今年は兵隊さん達が戦地で苦労し、世の中の人が皆辛い思いをしている時に、私達が楽しみの為にお金を使っては申し訳無いと考えていなさるからなのよ。私達はお国の為に何もできないんですもの、僅かでも犠牲的精神を発揮する事ができたら、喜んでしなければならないのよ…そうは思うものの私には難しいわ。』
 彼女は欲しいと思っている美しい品々を心に浮かべて首を振るのであった。」

貧しい生活に不平を鳴らしてた姉妹達、けれど母より戦地に居る父からの手紙を読み聞かされ、彼女達は善良な貴婦人となって大好きな父を迎えようと誓ったの。
姉妹は最初、自身に贈ろうと考えていたクリスマスプレゼントを、母親に日頃の感謝を篭めて贈る事にしたわ。
そして普段から貧しい者への慈愛を説いてる母から提案を受け、クリスマスの朝のご馳走を近所の貧しい家庭に分け与えたの。
この善行は4姉妹に思い掛けないクリスマスプレゼントをもたらした。
召使の口伝えで話を聞いた隣の富豪、ローレンス老人は心を揺さぶられ、マーチ家の晩にクリスマスのご馳走を届けさせたのよ。

「アイスクリームが有った、しかもピンクと白のと。
 それからケーキと果物に、気が遠くなる様な素晴しいフランス・ボンボン。
 その上温室咲きの花束が4つ!
 実に息の根が止る程の驚きであった。
 姉妹達は先ず食卓を見詰め、次に母の顔を見守った。
 母はその光景を大層楽しんでる様であった。
 『妖精が持って来たんでしょうか?』とエミイが言った。
 『サンタクロースよ。』とベスが言った。
 『お母様ですわ!』メグはまだ(劇に出演したままの)白髭に白い眉毛を付けた姿で、この上も無い優しい表情で微笑した。
 『(親戚で金持ちの)マーチ伯母が善良な発作を起してこんなにご馳走を届けたのかな!?』とジョオが叫んだ。
 『皆違います。ローレンス様が贈って下すったのです。』と母が答えた。
 『きっとあの男の子が入れ知恵したのよ!あの子実に好漢だわ!私、友達になりたいなあ!あの子私達と友達になりたがっているんだけれど、とてもはにかみやで、それにメグ姉さんときたら気取っていてあの家の前を通りかかっても、私にあの子と口をきかせてくれないのよ。』とジョオが言った。」

プレゼントを切っ掛けに、ジョオはローレンス老人の孫、ローリイと親友になるの。
そうして――長いからはしょっちゃうけど――1年の長い間に家族間で様々な事件が起った。
引っ込み思案のベスが、風貌からして厳しいローレンス老人と親しくなったり、
エミイが学校で罰せられたり、
ジョオとエミイが血も凍る大喧嘩をしたり、
メグがローリイの家庭教師ブルックと恋仲になったり、
季節が冬に近付く頃、4姉妹の愛する父親が、戦地で重態という悲報が飛び込んで来たの。
困難を乗り越えようとマーチ一家は益々団結し、ジョオは自慢の髪を売って金を拵えた。
最大のピンチはベスがしょう紅熱に罹った事。
一時は命を失いかけた彼女が回復し、マーチ家に再びのクリスマスが巡って来た。
待ち望んでいた父の帰宅――戦地から帰ったマーチ氏は、愛する家族から涙と共に抱擁を受け、久し振りに家族揃ってのクリスマスを満喫したの。

「その日のクリスマス程のご馳走は全く前例に無かった。
 (奉公人の)ハンナが、肥った七面鳥の腹に詰め物をして、外面をこんがりと褐色に焦がし、様々な装飾を施して食卓へ上せたところは実に壮観であった。
 乾しブドウ入りのプディングも素敵な出来栄えで、皆の口の中で溶ける様であった。
 ジェリイの出来栄えも同様で、エミイは蜜壷の中へ入り込んだ蝿の様に思う存分に食べた。
 何もかもが調子良く運んだのは何よりであった。
 ハンナは、
 『私ゃ(嬉しさに)気が転倒してしまっていたですからね。プディングを焼いてしまって、七面鳥に乾しブドウを入れて煮てしまったりしないで、本当に良うごぜえましたよ、奥様。』と言った。」

食後、客人のローレンス老人とローリイが帰ってから、マーチ氏は4姉妹を暖炉の側に集めて座り、各々の1年間を労う言葉をかけたの。

『メグ、私はこの手が真っ白で滑らかで、おまえの第一の心配はその手を汚さない事だった時を知っている。その頃この手は非常に美しかったが、私の目には今の方がもっと美しく見える。それはこれらの表面の傷の内に、私は可憐な物語を読むからだ――私はこの好い勤勉な手を握る事を誇りとする。』

『頭こそ短く刈り上げてしまっているが、私が1年前に残していった息子ジョオは居なくなってしまったね――昔のお転婆娘が居なくなったのを私は幾分寂しく思うが、その代りにしっかりした頼もしい心根の優しい婦人が現れたのだから、それで充分に満足する――ワシントンには私の可愛い娘が送ってくれた25ドルで買う価値の有るほど美しい物は見当たらなかったよ。』

「父はふともやしたら、彼女を掌中から失ったかもしれなかった事を思い出し、彼女を胸に抱き締め、その頬に自分の頬を押し付けながら、
『ベスや、私はおまえを安全に手元に取り戻す事ができた。どうか何時までも手元に置きたいよ。』」

『エミイは自分よりも、他人を余計に慮る事を学び、小さな粘土細工の人形を拵える時の様に、丹念に自分の人格を築き上げる決心をした事を私は認めた――エミイの製作する美しい彫像を私は誇りに思うが、それよりも更に、自分の生涯をも、また他人の生涯をも美しくする才能を持った愛すべき娘の方を誇らしく思うのだからね。』

…どう?若草の4姉妹の物語は、クリスマスから始まり、クリスマスで終る事を解って頂けたかしら?
「若草物語」のテーマは家族の絆と慈愛、それはクリスマスの精神に合致するよう思うわ。
アメリカの家庭のクリスマスの習慣が、文中に色々登場する事も、気分を高めてくれるでしょうね。
来年のクリスマスは貴方も久し振りに読み直してみない?

さてそれじゃあ今夜のクリスマスソングを紹介するわ――賛美歌114番「It came upon the midnight clear(天なる神には)」!
1850年にアメリカの音楽家リチャード・S・ウィリスが作曲したバージョンが有名だけど、イギリスの作曲家アーサー・S・サリヴァンが、1871年にイギリスで古くから伝わるキャロルを編曲して出来たバージョンも在るの。
作詞者はマサチューセッツ州ウェーランドのユニテリアン派教会の牧師エドマンド・H.シアーズ。
天女の歌声と称される、ジュリー・アンドリュースが歌った事で広く知れ渡ったわ。

歌い終えたところで今夜はお別れよ!――大晦日も一緒に楽しく歌えるよう待ってるわ♪




              【天なる神には ― It came upon the midnight clear ―】




英語バージョン

It came upon the midnight clear♪
That glorious song of old♪
From angels bending near the earth♪
To touch their harps of gold♪

"Peace on the earth, good will to men♪
From heaven's all gracious King♪
The world in solemn stillness lay♪
To hear the angels sing♪

To hear the angels sing…♪

Still through the cloven skies they come♪
With peaceful wings unfurled♪
And still their heavenly music floats♪
O'er all the weary world♪

When peace shall over all the earth♪
Its ancient splendors fling♪
And all the world give back the song♪
Which now the angels sing♪

The blessed angels sing…♪


日本語バージョン

天なる神には♪ 御栄えあれ♪
地に住む人には♪ 安きあれと♪
御使いこぞりて♪ ほむる歌は♪
静かに更けゆく♪ 世に響けり♪

重荷を負いつつ♪ 世の旅路に♪
悩める人々♪ 頭(かしら)を上げ♪
栄えあるこの日を♪ 讃え歌う♪
楽しき歌声♪ 聞きて憩え♪

御使いの歌う♪ 安き来たり♪
久しく聖徒の♪ 待ちし国に♪
主イェスを平和の♪ 君と崇め♪
あまねく世の民♪ 高く歌わん♪

高く歌わん…♪


(↓から、びょり記)
…実際の「若草物語」のラストは、クリスマスを過ぎて、メグの婚約が決まるとこなのだが…でもまー、文中から察するに、新年を前に、その問題も決着ついたんではないかなと。(汗)
個人的にクリスマスのご馳走の描写が美味そうで好きだ。(笑)
ちなみに原題は「Little Women(小婦人)」…「若草物語」と和題を付けた、日本の訳者のセンスに、心から拍手を贈りたい。

んでマーチ家のご馳走には完敗するけど、今回の写真は池袋プリンスホテルの、クリスマスケーキバイキング。

    

ここのケーキバイキングは味は二の次、安さと種類の多さが魅力。(失礼)
ケーキの上の「Merry Xmas」が、客から見て逆になってるんだが…。(笑)

    

正直1番美味しく感じたのは、その場で焼いてくれるホットケーキだった。
冷たいアイスクリームを上に載せてくれたです♪

                   

                      ↑は今年の家のクリスマスケーキ。
             3種のベリーとチョコで彩られた、甘酸っぱいムースケーキだったv


参考「若草物語(ルイーザ・メイ・オルコット、著 松本恵子、訳 ポプラ社、刊)」
コメント
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