瀬戸際の暇人

今年も偶に更新します(汗)

2011年、クリスマスには歌を歌おう♪その5

2011年12月25日 18時01分33秒 | クリスマス
メリーークリスマーーース♪♪
待ちに待ってた聖なる日♪
こんばんは!ミス・メリーよ♪
さて祝福すべき今夜に紹介する文学は――モーリス・メーテルリンク作の「青い鳥」よ!
5幕10場(6幕12場の場合も有るわ)まである長い劇だけど、多分貴方もオチは御存知じゃないかしら?
ひょっとしてオチだけしか知らない、と言う人も居るかしらね?

貧しい木こりの家の2人兄妹、チルチルとミチルは、クリスマス前夜に夢を見たの。
いいえ、それは夢じゃなかったかもしれない、けど現実で起きたと考えるには、とても不思議な出来事だった。
2人が向いの金持ちの家のクリスマス・パーティーを覗いていた所に、隣のベルランゴーおばさんにそっくりな、妖女ベリリウンヌが訪ねて来たの。
ベリリウンヌは2人に青い鳥を探すように言い、大きなダイヤモンドの付いた、不思議な青い帽子を渡したの。
それを被ってダイヤを回すと、人間が知らない物の秘密を、忽ちに明らかにしてしまうんですって。
帽子の力を使い、人化して見えるようになった、パンや火や水や牛乳や犬や猫や砂糖を仲間に、美しい「光」を導きにして、チルチルと妹のミチルは、長い夜の旅に出たの。

妖女の家で仕度を整え、最初に辿り着いたのは、2人の亡くなったお爺さんお婆さん、7人の弟妹達が暮してる「思い出の国」。
チルチルとミチルは生きた時そのままに、活き活きして居る皆を見てとても驚いたわ。

「私達の事を思い出してくれるだけでいいのだよ。そうすれば、いつでも私達は目が覚めて、お前達に逢う事ができるのだよ」

そう言って2人の訪問を喜んだお婆さんとお爺さんは、2人を食事に招待してテーブルを一緒に囲んだの。
「クリスマスの夜には死者と食卓に着く」という古くからの習慣を、メーテルリンクは意識して書いたのでしょうね。
思い出の国に別れを告げる時、チルチルとミチルは青い鳥を見つけた、でもそれはすぐに黒くなってしまった、探してる本当の青い鳥ではなかったの。

次に2人と仲間の精霊達は、「夜の御殿」を訪れた。
そこで番人の「夜」が護っている、色んな秘密の扉を開けて見たわ。
閉じ込められてる秘密はどれも恐ろしいものばかり、幽霊や病気や戦争や陰や恐れや沈黙や…

夜「人間は何を目論んでいるんだろうねえ?何もかも全部知り尽くさないと気が済まないのだろうか?人間はあたしの秘密の3分の1は知ってしまった。『恐れ』達は恐がってもう出て行こうとしないし、『幽霊』達は逃げてしまったし、おまけに『病気』達は大方患ってるし」

そして扉の中には青い鳥が夜の花園の上を幾羽も舞っていたの、でも捕まえてすぐに死んでしまった。
日の光の中で生きていられる、本当の青い鳥じゃなかったのね。

次の次の「森」では樹達や動物達から人間を批難され、襲われた。
次の次の次の「墓」でも青い鳥は見つからなかった。

次の次の次の次の「幸福の花園」では、人間のあらゆる幸福の姿を見たの。
お金持ちである幸福、乾かないのに飲む幸福、ひもじくないのに食べる幸福、何も知らない幸福、ものの解らない幸福、何もしない幸福、眠り過ぎる幸福…彼らは肥って愉快そうに宴を催してたけど、チルチルがダイヤを回すと不幸の洞穴に逃げてしまった。
花園に残って光り輝いたのは、小さな子供の幸福達、家の中の幸福達、大きな喜び達…
母の愛の喜びは、チルチルとミチルの母親そっくりの姿をしていたわ。
けれども青い鳥はそこにも居なかった。

お終いに「未来の王国」へやって来た、そこはまだ生れない子供達の王国。
生れる子供は時が近付くと、「時」が扉を開けて外へと旅立たせるの。
地上へ持って行く何かを、必ず手にしてね。
チルチルとミチルは未来の発明品を手に持ってる子供に会ったわ。
未来で犯す筈の罪を入れといた箱を持ってる子供にも会ったわ。
恋人同士と呼ばれてる2人の子供達にも会ったわ。

「『時』のお爺さん、僕をあの子と一緒に行かせてください」
「『時』のお爺さん、あの子と一緒に残れるようにしてくださいな」
「あの子が生れて来る時には僕はもう居ないだろう」
「あたし、もうあの人に会えないんだわ」
「僕達、独りぼっちになってしまう」

「そんなの、わしの知った事じゃない。そんな事は『生』の所へ行って頼むんだな。わしはただ命じられた通りに、一緒にしたり分けたりするだけなんだ。さあ、行くんだ」

「印を残していって。たった1つでいいから、どうやってあんたを見つけたら良いのか教えて」
「僕はいつだって君を愛してるよ」
「あたしは1番悲しいものになるでしょう。それで、あんたはあたしが解る筈よ」

チルチルとミチルは生れて来る自分達の弟にも会ったけど、この子の手に持つ袋の中には、しょう紅熱と百日咳とはしかが入ってたの。

「それで全部なの?それからどうするの?」
「それから?死んでしまうのさ」
「じゃ、生れる甲斐が無いじゃないか」
「だって、どうにもならないでしょう?」

この王国でやっと見つけた青い鳥は、何時の間にか赤く変ってて、結局手に入れる事ができないまま、皆と別れて家に帰って来た。
不思議な事に、家は全然変らないようでいて、前よりずっと新しく綺麗に見えたし、旅立ち前夜の次の朝だったの。
夢を見たのだと言う両親達、そこへ妖女ベリリウンヌそっくりの隣家のおばさんが、病気で煩ってる娘の為に、チルチルとミチルが飼ってる青い鳥を譲ってくれと頼みに来たの。
今迄気が付かなかったけど、青い鳥はチルチルとミチルのすぐ傍に居たのね。

「ほら、あの鳥青いよ。だけど僕のキジバトだ。でも、出かける前よりずっと青くなってるよ。なんだ、これが僕達さんざん探し回っていた青い鳥なんだ。僕達、随分遠くまで行ったけど、青い鳥ここに居たんだな。――さあ、これ、ベルランゴーのおばさん、まだ本当に青くはないけれど、今にきっと青くなりますよ」

チルチル達から譲って貰った青い鳥を、お婆さんは急いで娘に持って行った。
そしたらまぁ忽ち元気になった娘は、青い鳥を腕に抱いて、チルチル達にお礼を言いに来たの。
娘は、2人を導いた「光」を、そっくり少女にしたようだった。

「このぐらい青ければいいの?」
「ええ、これでいいのよ」
「僕もっと青いのも見たんだよ。でも本当に青いのはね、どんなにしても捕まらないんだよ」

このままハッピーエンドかと思いきや、あら大変!青い鳥は少女の手から、逃げ出してしまったの。
声を上げて泣く少女に、チルチルは言ったわ。

「いいよ、泣くんじゃないよ。僕また捕まえてあげるからね。――何方かあの鳥を見つけた方は、どうぞ僕達に返してください。僕達、幸福に暮らす為に、いつかきっとあの鳥が入用になるでしょうから」

…何だかとっても難しい話ね、色々考えさせられるわ。
メリーには、未来の王国の子供達が、地上に降りて為す事を、予め手に持ってるのが印象的だったわ。
メーテルリンクは「運命は生れる前から決まっている」と考えてたようね。
それに青い鳥…実はチルチルとミチルの傍に居たってオチは有名だけど、最初からそうではなくて、次第に青くなって行ったのね。
しかも逃げてしまうなんて…。
青い鳥を「幸福」の象徴と言うなら、「幸福」は身近に在るものだけど、最初から「幸福」として在るんじゃない、手に入れたと思ったら逃げて行ってしまう、儚いものという事かしら?
本当に解らないわぁ。
きっと貴方の目で読んだら、また違う物語になる筈だから、いつかのクリスマスにでも、読んでみてちょうだいね!

それじゃあ第5曲目のクリスマスソングを紹介するわ!
ヨーゼフ・モール作詞、フランツ・グルーバー作曲の、オーストリアが誇る名クリスマスソング――「きよしこの夜」!
歌って今夜はこれでお別れ、また明日一緒に楽しく歌いましょう♪




                 【きよしこの夜― Silent Night ―】





日本語バージョン

聖し♪ この夜♪
星は♪ 光り♪

救いの御子は♪
馬槽の中に♪

眠り給う♪
いとやすく♪


聖し♪ この夜♪
御告げ♪ 受けし♪

牧人達は♪
御子の御前に♪

額づきぬ♪
畏みて♪


聖し♪ この夜♪
御子の♪ 笑みに♪

恵みの御世の♪
朝(あした)の光♪

輝けり♪
朗らかに♪


英語バージョン

Silent night, holy night♪
All is calm, all is bright♪
Round yon Virgin, Mother and Child♪
Holy infant so tender and mild♪
Sleep in heavenly peace♪
Sleep in heavenly peace♪

Silent night, holy night♪
Shepherds quakeat at the sight♪
Glories stream from heaven afar♪
Heavenly hosts sing Alleluia♪
Christ the Savior is born♪
Christ the Savior is born♪



(↓から、びょり記)
…午前零時に更新しようと思ってたけど間に合わなかった。
クリスマス・イブの物語な事は知ってても、実は初めて読んだ「青い鳥」。
台本形式で書いてあるわ、登場人物に全く感情移入できないわで、正直最後まで読むのが辛かった。(汗)
「未来の王国」の場面だけ妙に引っかかったけど。
そして苦労して手に入れた青い鳥が、あっさり逃げ出してしまうとは唖然呆然。
何故オチだけが有名になったか理解できました。
オチ以外、他に何を語れると言うんだ。(汗)

本名メーテルリンク伯爵モーリス・ポリドール・マリ・ベルナールは、ベルギーの詩人であり劇作家であり随筆家。
詩人が書いた物語だから、こんなに難解なんですね。
フロイトの夢論を読む気持ちで挑むと良いかもしんない。

写真は恵比寿ガーデンプレイス今年の冬の呼び物、バカラ250灯シャンデリア。
ハウステンボスのギヤマン・ミュージアムに有る、同じくバカラ社製シャンデリアを思い出させた。
今年のクリスマスは行けなかったからね…似た物を観て気を紛らわせて来たのさ。(涙)
が、実は1月にハウステンボスに行く事になった!
クリスマスは無理だったが、イルミネーション観に行くぞ~!


参考書籍「青い鳥(メーテルリンク著 堀口大學、訳 新潮文庫、刊)」
コメント
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