旅倶楽部「こま通信」日記

これまで3500日以上世界を旅してきた小松が、より実り多い旅の実現と豊かな日常の為に主催する旅行クラブです。

2011年3月《手造》シチリア~セジェスタ

2022-08-19 16:21:49 | イタリア
雲の切れ間からスポットライトのようにセジェスタ神殿に太陽の光が当たった

※2014年に訪れた時のブログはこちらから

08:30パレルモのグランドホテル・ガリバルディを出るとすぐに、きのうの午後モンレアーレから見晴らした港につきあたった。こんなに港が近かったのだ。パレルモが発展したのはコンカ・ドーロ(黄金の平原)と呼ばれる豊かな土地とこの港にあるという。

高速を一時間半ほど走って「セジェスタ」の看板で降りると、なにもない山の中腹にギリシャ神殿がぽつんと見えてくる。

紀元前五世紀以前にギリシャ人でなく先住民族エリミ人が建てたセジェスタ神殿は屋根がない。
これは後世に地震や戦争で壊れたのではなく、もともと未完成だったのである。

神像も無く、宝物も置かれず、屋根もかけられなかったおかげで、この迫力ある神殿の骨組みは二千五百年の年月ずっと建ち続けている。地震の多いこの地で、これは奇跡的だ。

繰り返すが、掘りだされ復元されたのではなく、建設途中で放棄されてそのまま立ちつづけている。

神殿になるはずだった建物の枠だけが残っているのだ。




さらに、専用のシャトルバスで神殿を見下ろす山の上に上ってゆく。

山上の古代の都市遺跡は広い範囲にひろがっており、中でも斜面につくられたギリシャ劇場は、ここでもやはり素晴らしい。

古代に最も栄えた後、中世になってもここには人が住み続けていた。斜面にひろがる大きなギリシャ劇場を埋めるほどの人口を取り戻す事はなかったにしても。モスクやビザンチン時代の教会があり、ノルマン時代の城砦跡も見つかっているところをみると、現在のように完全にうちすてられたのはこの五百年程の事なのではないだろうか。

少し雨が降る中を歩いてから、再びバスで下へ降りる。途上、雲の切れ間からスポットライトのようにセジェスタ神殿に太陽の光が当たった(冒頭写真)
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