旅倶楽部「こま通信」日記

これまで3500日以上世界を旅してきた小松が、より実り多い旅の実現と豊かな日常の為に主催する旅行クラブです。

フィレンツェ、ヴェッキオ宮殿

2018-02-22 13:00:53 | イタリア
フィレンツェ市庁舎が入った塔のあるヴェッキオ宮殿。ここを見学するツアーは、ウフィッツィ美術館に比べてびっくりするほど少ない↓

今回、ひさしぶりにガイドさんにご案内いただいた。
入口前庭↓

ここに置かれている「イルカを抱く天使」像はもともとこの場所のためのものではないが、ちょうどよくおさまって見える。宮殿内部に展示されたホンモノがこちら↓

作者はダ・ヴィンチの師匠であったヴェロッキオ。つまり15世紀の後半の作品。とすれば、今の目でみるよりもずっと先進的で新鮮な作品に見えていたことだろう。

いちばん大きな五百人広間↓

映画「インフェルノ」で主人公たちが走り回っていた天井裏を見上げると↓

中央には初代公爵コジモ一世メディチ↓

この人、どの肖像を見ても印象的な意志の強そうな顏をしてます。父親のジョヴァンニ似なのかしらん

大広間の大きな壁にダ・ヴィンチとミケランジェロの壁画対決が計画されていたが実現されなかった。現在のヴァザーリが描いた絵の中に「Cerca trova(探せば見つかる)」という文字があり、これは絵をはがせばダ・ヴィンチの未完作品が隠れている暗示だと言われている。近年ファイバースコープで調査が実施され、あらためてその可能性ありとされたが、剥がせません(^.^)

この大広間から、とても小さな「フランチェスコ一世の秘密の小部屋」に入る入口がある※こちらに少し載せました


広間に置かれたミケランジェロの彫刻「勝利」↓

いろいろな解釈がされているが、若者に組み敷かれた老人はミケランジェロ自身だとするものが多い。
もともとは法皇ジュリオ二世(システィーナ礼拝堂の天井を描かせた人ですね)の墓碑のために製作をはじめた群像彫刻のひとつになる予定だった。

**居室群に入っていく~16世紀の公爵コジモ一世メディチが百年前の先祖に敬意を表して装飾している
メディチ家を隆盛に導いた名君に敬意を表して最初に
●コジモ・イル・ヴェッキオの部屋↓

現在のフィレンツェからも彼が貢献した様がしっかりかんじられる。
メディチ家の菩提寺となるロレンツォ教会の建設現場で、建築家ブルネレスキとミケロッツォがコジモの前にモデル模型を見せている図↓

いちばん左端でこちらを見ているのは彫刻家のドナテッロ。
二人は良き友人で、現在ロレンツォ教会ですぐ近くに葬られている。

コジモは身分としては一般市民だった。1433年の政変で有罪となりこのヴェッキオ宮殿の塔にある牢獄に幽閉された。死罪をまぬかれてヴェネチアへ亡命↓


ボローニャのベンティボーリオ家が復位するのを助ける図↓

下にある肖像はコジモの父、ジョヴァンニ・ディ・ビッチ

メディチ家の赤い丸薬の紋章も、この時期には二つ多い八つ↓


●ロレンツォ・イル・マニーフィコの部屋↓

ここに入ると紋章も彼の時代の三角形・六つ玉になる↓

↑フランス王家に貸した金のかわりに使用を許されたという青地に白いユリの玉もひとつある
天井中央に、各国大使からの贈り物にかこまれたロレンツォ↓

すぐ目の前に差し出された赤い帽子↑は、次男のジョヴァンニが枢機卿に任命されたことを表す。後の法皇レオ十世となる人物。
↓ナポリ王フェルディナンドと手をとりあうロレンツォ↓

↑メディチ家に対するいわゆる「パッツィの反乱」(1478年4月26日)を鎮圧した後も、ローマ法王と周辺諸国がメディチ家に対する包囲連合を構築する。それを打開するため、ロレンツォは単身ナポリへ赴き自ら囚われ、ついにはフェルディナンド王の信頼を得て事態を打開するに至った。29歳のロレンツォの転機を描いている。
誰が見ても美男とは言い難かったという彼の顔、ちゃんと描かれております(^.^)顔ににあわず、頭も性格も良かった。逆でなくてよかった。

次の●レオ十世の部屋の床はなんとオリジナル↓

壁の絵よりもこちらの美しさに目を惹かれる↓


****ここから先は順不同、記憶に残ったものをメモしておきます

先ほどの「五百人広間」にてダ・ヴィンチが描きかけていたという絵の模写のコピーがある↓

これ、本物は1992年に日本の富士美術館が正当に所有することになったが、イタリアへ寄贈した。
※仔細はこちらに書かれていました

※その経緯によりこういう特別展を開催することが出来るのだ

*****フィレンツェ生まれのダンテ、政変により亡命してラヴェンナで亡くなっている↓

役人・外交官のひとりだったマキャヴェッリの胸像もある↓




もともとは外に置かれていたドナテッロの「ユディート」↓







個人的に、しっかり予習してからまた訪れたい場所だ。
コジモ・イル・ヴェッキオが幽閉されたという塔の監獄部屋まで見学できるツアーへも、参加してみたい。いつ?

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