【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

増村保造監督「最高殊勲夫人」95分、1959年、新文芸坐[池袋・東口]

2010-05-03 01:52:25 | 映画

      
           最高殊勲夫人 DABA-266

  この作品も源氏鶏太の小説が土台です。そして監督は増村保造、主演は若尾文子さんです。
  
    三原商事には三人の御曹司、一郎(船越英二)、二郎(北原義郎)、三郎(川口浩)がいて、上のふたりはそれぞれ野々宮家の長女、桃子(丹阿弥谷津子)、次女梨子(近藤美恵子)と結婚しています。野々宮家は普通の家庭ですが、桃子も梨子も三原商事の秘書として入社し、それぞれに金的を射止めたのです。

 結婚当初は桃子は清楚でおとなしかったようですが、次第に妻としての力を発揮しだし、いまでは会社の人事にまで口出しするまでにずうずうしく、強くなっていました。それというのも一郎には愛人がいて、桃子に頭があがらないのです。

 桃子と梨子は、末の妹の杏子(若尾文子)も三郎と結婚させようとはかります。そんなことは重々承知の杏子と三郎は絶対に結婚しないことをふたりで誓いあいます。現に、三郎はつきあっている女の子がいました。富士子というその女性は、フェンシンク、ギリシャ語などを習い、アメリカにわたって人生を謳歌しようとしており、結婚にこだわっていません。

 そんなおり、こともあろうことか、杏子が三原商事の秘書として働くことに・・・。美人で快活なお嬢さんの杏子はたちまち男性社員の注目をひくことになりますが、彼女は自分には恋人がいるということにして、誰も近寄らせません。

 しかし、秘密も限界で、杏子は独身で、彼氏もいないことがしだいに明るみになり、そうとなると複数の男性社員は杏子に急接近してきます。

 さてさて、この顛末は? タイトルが「最高殊勲夫人」なので杏子と三郎が結婚するのは最初からわかっているのですが、そこにたどり着くまで、うよ曲折があって、気軽に楽しめます。 

 


増村保造監督「青空娘」1957年、89分、新文芸坐[池袋・東口]

2010-05-01 01:56:23 | 映画

  青空娘
            
 池袋の新文芸坐で若尾文子さんの特集がくまれています。ゴールデン・ウィークの催しです。

   源氏鶏太原作の映画化。映画化される前にラジオドラマだったそうです。

 伊豆の高校を卒業した有子(若尾文子)は、祖母の死にぎわに、出生の秘密を明かされます。東京にいると思っていた母は実の母ではなく、有子は社長である父、小野英一(信欣三)と社員だった女性、三村町子(三宅邦子)との間に産まれた子だったのです。

 高校を卒業した有子は東京の父に上京を勧められ、青山にある家に住むことになりますが、正妻、小野達子(沢村貞子)と子どもたちに白眼視され、女中として働かされます。有子はそんな状況にもめげることなく、明るく健気に振る舞います。

  有子は高校生時代の二見先生(菅原謙二)を尊敬していました。青い空に希望を託すことを教えられます。その先生も、高校をやめ宣伝美術の会社に入ることになって東京へ。有子は再会を誓うのでした。

 有子は義理の姉、照子(穂高のり子)がつきあっていた大会社の御曹司、広岡(川崎敬三)に好意をもたれますが、そのことで義姉の苛めにあいます。不在のおりに部屋に入られて持物を物色されたり、父からもらった実の母の写真を破られたり・・・。このことが原因で、有子は小野家を飛び出します。二度とそこで世話にはなるまいと心に決めて。

 有子は実の母を探すことを決意。二人の男性(広岡と二見先生)に庇護されながら、有子は母と再会します。

 崩壊寸前の小野家では社長の父が病気で倒れ、それを知った有子は病床の父に逢いにいくのですが・・・。

 24歳(?)でまだあどけなさの残る若尾さんは溌剌とした演技で、いきいきしています。スクリーンのなかで、健康そのもの、女中として苛められるシーンでも芯の強いところをみせ、好演です。