【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

増村保造監督「卍」(1964年)、「刺青」(1966年)新文芸坐[池袋・東口]

2010-05-04 00:48:53 | 映画

 谷崎潤一郎原作の「卍」と「刺青」を増村監督が映画化、2本とも脚本は新藤兼人さん、主演は若尾文子さんです。                        

           

 「卍」は・・・
 弁護士と結婚して間もない柿内園子(岸田今日子)は絵画学校で知り合った徳光光子(若尾文子)の美貌と身体に魅惑され、スキャンダルをひきおこします。ふたりは、夫、孝太郎(船越英二)のいない園子の自宅で、逢瀬をかさねます。
 しかし、光子には虚言癖があり、園子は光子に振り回されるようになります。次第に園子と夫と光子は三角関係なるとともに、光子が絶定的な支配権を持ち始め、結局、睡眠薬を飲んでの3人の無理心中という状況下で、園子だけがとりのこされ、光子と夫は手を握り合って死んでしまいます。この奇妙な性愛関係を園子が老作家(三津田健)に切々と語っていくという設定で映画は進んでいきます。

 「刺青」は・・・
 時代劇です。日本橋の質屋のひとり娘であったお艶(若尾文子)は、意に沿わない結婚をけって、手代の新助(長谷川明男)と駆け落ちします。逃げた先の船宿で船頭の権次(須賀不二夫)にだまされたあげく、刺青師清吉(山本学)によって背中に女郎蜘蛛の刺青を彫られ、深川の置き屋に売り飛ばされます。美貌と容姿の整った染吉(お艶)は評判の芸者になり、自分を罠にかけた男どもを色仕掛けで破滅させていきます。染吉は次第に自分でも制御のきかない欲望の女、魔性の女になりますが、最後は駆け落ちした新助と狂気の死闘の末、彼を差異殺しますが、自分も刺青師の手で刺殺されてしまいます。
 
  谷崎の耽美的な世界を増村=若尾コンビがうまく表現していますが、何か違和感を持ちながら観ました。「刺青」の迫力はすごいですね。若尾さんが渾身の、体当たり演技です。