【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

紅姉妹(三軒茶屋婦人会4) 紀伊国屋ホール

2011-05-12 00:05:45 | 演劇/バレエ/ミュージカル

               

 「三軒茶屋婦人会」という妙な名前の演劇グループがあり、初めて耳にしたときには、東京都世田谷区の三軒茶屋にある女性の地域親睦会(団体)かと思いました。実は篠井英介さん、深沢敦さん、大谷亮介さんの男性3人からなる演劇集団と知ったのは5年ほど前です。このグループは、舞台で女装して芝居をします。数年に一度の公演で、今回は4回目、「紅姉妹」です。(本ブログ2008年7月25日付で第3回公演の「ウドンゲ」を紹介しています。)

 「BAR紅や」をたまり場にしていた3人の女性、本当の姉妹ではありませんが、3人でジョーという男の子を育ててきました。どうして、そんなことになってしまったのでしょうか。ヒントはこの「BAR紅や」がケンジという日系アメリカ人がヨーロッパ戦線で勇敢にも戦死し、その報奨金がもとででできたお店であり、3人の女性がいづれもケンジを好きだったということがあったのです。

 舞台はニューヨーク。ミミ(篠井英介)がバーからジョーという息子に電話をかけています。ジュン(大谷亮介)がなくなったこと(その前年にはベニィ(深沢敦)が亡くなっています)、お葬式の形式をどうしたらよいか、その葬儀を手伝ってほしいと伝えています。その後、大切に保管していたバーボンをあけます。

 ここから時間が逆回しになって、場が変わるごとに過去へ過去へとさかのぼっていきます。
 
 冒頭の場に続く、次の場は2001年。21世紀最初の日のお祝いの場ですが、街に繰り出していたジュントベミィがBAR「紅や」
にもどってきて、ミミと合流します。3人で新しい世紀に乾杯します。もう3人は若くはなく80才前後で、ど忘れがひどくなっていて、何に乾杯しているのかわからなくなったり、同じことの繰返しがあり、笑わせます。再婚していたミミは、居合わせたそのBARがかつて人手に渡りそうになったときに、資金繰りで助けたのですが、そのお金が亭主を見殺しにして得た保険金だったと述懐します。「帰ってくるところはここしかない」感がただよっています。

 さらに時間がまき戻ります。ジュンとベニィだけの場面。ミミは心臓が悪くて入院してる様子で、舞台にいません。この場面でジュンがひとまわりも年下の男性にプロポーズされたと、舞い上がっています。しかし、この話はジュンの早とちりでした。ジュンは実家が没落し、ミミが倒れ、寄る辺なき状態になり、かといってベニィのような生き方もできず、普通の幸せな結婚を夢見たのですが、結局だまされてその夢もあわとなって消えてしまいました。

 またまた時がさかのぼって・・・。息子の結婚式のために留袖の着付けのシーン、ベニィは実は男性だったのに女性に転換したのだということ、不思議な事実が次々と明らかにされていきます。どのような結末になるかは、ネタバレになるのでいつものように隠しておきましょう。

 3人の俳優さんがみな男性でありながら女性の役で登場し、そのうちのひとりはわけあって性転換していて、おかしさをかもしだしていますが、深刻な事実も背景にあるようです。

 第二次世界大戦のさなかの日系アメリカ人の苦労、ヨーロッパで参戦していた日系アメリカ人からなる部隊「442部隊」もからんできて、深刻な様相も呈してきます。日本で仮祝言をあげたジュンがその夫と会いにニューヨークにきて、そこにその夫と結婚して赤ん坊がいるミミがいて、この葛藤が最後に緊迫感をたかめますが、事態は別の方向へと静かに終わっていきます(この事態も内緒です)。

 東京公演は4月28日に、大阪公演は5月1日に終了しました。15日(日)に北九州市で公演があります。


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