日常のあれこれをそこはなとなく

料理、わんことの日々、海外ミステリを中心とした読書、ソフトバンクホークス、JAZZなどを書いていきます。

犬物語

2018-12-04 05:20:50 | 読書
ジャック・ロンドンの『犬物語』を読みました。



この本は、ジャック・ロンドンの作品の中から犬を扱った作品を集めたアンソロジーです。短編が何作かと、ジャック・ロンドンの代表作中編『野性の呼び声』が収められています。どの作品も犬たちが生き生きと描かれていますが、19世紀末のアメリカやカナダでは、犬たちはペットとしてだけでなく、大切な労働力そり犬として飼われていました。犬たちの中には、厳然とした序列があり、それを巡っての闘いもありました。



代表作『野性の呼び声』は、ご存知の方も多いと思いますが、カリフォルニアのお屋敷で何不自由なく暮らしていたバックが、使用人に盗み出されて売られて、ゴールドラッシュに沸くアラスカに近いクロンダイクに連れて来られてそり犬として働かされます。セントバーナードとシェパードのミックスであるバックは、体も大きく賢いために、すぐにそり犬の中でもリーダー的な存在になります。ただ彼らは優秀であったがために酷使され、ボロボロになって転売され、ろくに犬を扱ったことのない素人のソリを引かされて次々と死んでいきます。

バックは危ないところを、ジョン・ソーントンという経験豊富な人に助けられ彼の犬になります。ジョンから愛情をかけられたバックは体力を回復し、ジョンを危機から救い出して有名になりました。ジョンと一緒に秘境の川に砂金取りに行ったバックは、オオカミたちの鳴き声に心動かされます。

この作品では、バックという魅力的な犬の一人称で物語が語られていきます。バックの素晴らしさもさることながら、ゴールドラッシュ時代のアメリカやカナダの人々の荒っぽさや開拓気質がしっかり描かれています。現代の日本で暮らしている僕たちにはとうてい感じ得ないフロンティアスピリットの空気感が伝わって来ます。銃規制の問題になると必ず持ち出されるこの精神を、アメリカの一部の人たちが大切にしているのはそういうことかとも感じました。
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