黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『竜の雨降る探偵社』三木笙子(PHP研究所)

2013-03-30 | 読了本(小説、エッセイ等)
昭和30年代の新宿。
喫茶店の2階に住む美しき青年・水上櫂が開いたその探偵社『水上探偵社』は、雨の日だけ営業すると噂されていた。
地元では湖の竜神を祀る神社の神主だった櫂。その幼馴染であり部屋の大家でもある和田慎吾…和田技建という父の建設会社で片腕として働いている…が、店子の会社・友永商事で、郵便の住所間違いが多くて、応対する女性・真田温子が困っているという話をする。
その三日後、彼女が姿を消して……“第一話 竜の雨降る探偵社”、
淀橋浄水場の職員・和泉が、櫂の元に浄水場の相談にやってきた。
浄水場のろ過池の手前に設置されている沈澄池で、一週間前に銀座でお針子をしていた若い女性が投身自殺したという。その後浄水場の見学者が来たときに、うっかりその一件について愚痴を漏らしてしまったが、その中に彼女の友人がいたことが判明、後悔しているという。
一方、慎吾は、和田技建が貸した物件で麻薬を作っていたものがおり、その騒動に巻き込まれていた。
主犯格の菅沼良一は、こだわりすぎた手帳づくりが元で会社をかたむけたのち、悪事に手を染めた人物で、<手帖の菅原>とあだ名される人物だった。そんな菅原は逃走し、警察は、さまざまなことを書き記していたらしい彼の手帳を探しているという……“第二話 沈澄池のほとり”、
一階の喫茶店のマスターから依頼を受けた櫂。
マスターが子供の頃からファンだという画家・有村礼。昔から探偵小説が好きだったという有村への手紙に客から聞いた不思議な話を書いて送ったところ、それに興味を引かれた有村から、その謎に納得のいく解決ができたら所望の絵をくれるという申し出があったという。
マスターが話を聞いたのは、カメラ好きな早稲田の学生である門間博人。
大手A新聞社と地方の観光協会が、学生カメラマンを高給で募集していたのに応募した博人。その試験のため貸切のバスに乗り、江の島に仕事に向かった学生たち。同行したのは専属の案内広告社社員の酒井という男。
しかし、その後一週間経っても、採用の連絡がなく、新聞社に問い合わせるとそんな募集はしていないといわれ、酒井も消えていた……“第三話 好条件の求人”、
故郷の幼馴染で、櫂同様湖畔に経つ神社の娘・渡辺真澄が、東京に遊びにやってきた。
そんな彼女から、楠木久雄が亡くなったと知らされた慎吾。彼は、当時十歳だった慎吾が湖に落ちた折に、助けてくれた命の恩人で、地質学の研究者だった。慎吾には、年の離れた異母兄である誠吾がおり、楠木とのこともわかっているはずなのに、何故連絡をくれなかったのかと訝しむ。
慎吾は幼い頃から誠吾を慕っており、慎吾が誠吾から譲ってもらった大切な橇を親戚の子が置き忘れたのを、竜頭湖に取りに出かけたところで、氷が割れ湖に落ちたのだった。その最中、兄の姿を見た慎吾だったが、彼は慎吾を助けようとはしなかった。ずっと見殺しにされたのだと思い込んできた慎吾に、櫂は……“第四話 月下の氷湖”を収録。

昭和30年代の東京で、探偵を始めた美青年とその幼馴染が関わる事件を描いたミステリ。
美青年が登場するのは、既にお約束な感じですね(笑)。
昭和30年代という設定の意味が微妙に不明…。

<13/3/29,30>

『コリオリの風』井辻朱美(河出書房新社)

2013-03-29 | 読了本(小説、エッセイ等)
「立ちしままこおりてゆけるビル群のかなたにまぼろしのユラ紀がみゆる」
「霜月のあなたを愛すガラス器のわれくちに冴える青ほどつよく」
「一本の木が鳴りはじめる あれは天を鉱物の夢がとおってゆくのだ」
「きたる世も吹かれておらんコリオリの力にひずむ地球の風に」
「未来のイブがみずから抱きてかき鳴らす胸郭のような夕日の肋木」
「オートマタの道化師がゆっくり倒立し物語に閉じこめられる身体」
「こはたれの心臓なりしか薔薇水晶 水よりあげればピアノがひびく」
歌人・井辻朱美の短歌集。

井辻さんはファンタジー系の翻訳家さんというイメージだったのですが、短歌も詠まれていたのですね~。
ちょっとSF的だったり、ファンタジックなモチーフもありつつ、若々しさを感じる作品群でした。

<13/3/29>

『なにごともなく、晴天。』吉田篤弘(毎日新聞社)

2013-03-28 | 読了本(小説、エッセイ等)
高架下・晴天通り8番にある古道具屋<むっつ>に住み込みで働く私(美子)。
大家で店主であるむつ子さんの道楽のような店で、寝て暮らすと宣言した彼女に代わり、切り盛りしている。
26番で親の代からの雑貨屋を営むサキちゃんは仲良し、大将の声に惹かれいつも通う38番の<太郎食堂>、21番の元純喫茶ベーコン姉さん(奈々さん)のところへもたびたび顔を出す。
いつもは近所の銭湯へ出かける私は、水曜日の定休日には隣町の銭湯・日の出湯まで出かけるのだが、そこで探偵だという女性に出会う。
彼女は何か私について探っているようで……

鉄道の高架下の商店街を舞台にしたお話。
女探偵とか出てきますが、基本いつもの雰囲気で。
続きそうな気もする感じの終わり方ですが、さて…。

<13/3/28>

『福家警部補の報告』大倉崇裕(東京創元社)

2013-03-27 | 読了本(小説、エッセイ等)
実力派少女漫画家の河出みどりは、大手出版社湧泉舎の営業部長・三浦真理子を殺してしまった。
学生時代、一緒に同人誌を出し、漫画家の夢を追っていた二人だったが、みどりのデビューを機に袂を分かっていた。その後、真理子は敏腕営業部長となり、今やみどりの生殺与奪を握る存在となっていた。
真理子の妨害によるものか、漫画家としての将来に陰りが見え始めたみどり。事の真偽を正そうと真理子のマンションにやってきたのだが、そんな彼女に潰してやると云われたことから、殺害に及んでしまったのだった。
バスルームに運び込み、足を怪我していた彼女が誤って転倒した風に装う。
そんな現場にやってきた福家警部補は、残された違和感を調査してゆく……“禁断の筋書(プロット)”、
解散した暴力団・栗山組の元組長の孫娘である栗山比奈が、誘拐された。誘拐したのは邦孝の義弟である栗山次郎。邦孝に元組員たちをあつめて、宿敵である飯森組に殴り込めと要求。
四代目となるはずだった組長の息子・邦孝は組をつがず、組の幹部だった菅原巽は、組員たちのその後を亡き組長に託され、その就職先に奔走していた。元組員で唯一堅気の道を拒否した金沢肇から、その一件を連絡をうけた菅原。
組を抜けた後、薬を売りさばいていた金沢をよく思っていなかった菅原は、ふたりを同士討ちに見せかけて殺害する。
監禁されていた比奈は無事で、殺害現場も見ていない様子。ガムテープで目隠しされていた彼女をそのままに、見つかりやすいように細工してその場を後にした菅原。
その後、現場を見た福家警部補は、彼女が実は事件を目撃し、犯人を知っているのではないかと考えるが、何故か比奈は沈黙を貫いていた……“少女の沈黙”、
三帆銀行に銀行強盗をもくろんでいた3人組…網山聡、鳥島秀、麻生孝史を車ごと爆破した老人・後藤秀治。
彼らは先々週に起きた宝石店強盗未遂事件の容疑者たちで、次の犯行を未然に知った後藤とその車椅子の妻・喜子は、彼らに鉄槌を下したのだった。
福家警部補は、現場を調査し、彼らの元へたどり着くが……“女神の微笑”の3編収録。

シリーズ第3弾。小柄で年齢不詳、多趣味(というかマニアック)でそそっかしい女性警部補・福家さんの活躍する倒叙ミステリ。
今回も相変わらずのそそっかしさを発揮というか、レベルアップしてるような(刑事に見られないのはもはやお約束/笑)。
最後のお話のふたり(というか彼女)は、今後も福家警部補の前に現れそうなので、対決が楽しみ♪

<13/3/26,27>


フィナンシェ@ノワ・ドゥ・ブール

2013-03-24 | スイーツ
 バターの風味豊かなフィナンシェ。
 表面はカリッと、中はしっとりとした理想的なフィナンシェでした。
 
***** ***** ***** ***** *****
 noix de beurre(ノワ・ドゥ・ブール):東京(新宿)

 伊勢丹新宿の地下にある焼菓子のお店。
 ちょっと前に、桜庭一樹さんがTwitterでつぶやかれてたのが気になってたので、寄ってみました~。

『桜の首飾り』千早茜(実業之日本社)

2013-03-24 | 読了本(小説、エッセイ等)
美術館で働く私は、昼休みの公園で出会った尾崎さんという初老の男性と、その後ちょくちょく同じベンチで言葉を交わす仲になった。彼はクダという狐を飼っているという。
人に感情を伝えることが苦手な私。それ故に恋人とも別れ、どこかがずっと壊れっぱなしなのだと思い、人と関わることに恐怖を感じてきたが……“春の狐憑き”、
花見の場所取りを頼まれた俺。雨宿りをしていた中で、ある女に囚われてしまった同じ季節のことを回想する。
引っ越し屋のバイトをしていた大学時代、仕事に出向いた先で出会った香澄という女。どちらかというと苦手なタイプの女だったが、ひょんなことからたびたび会うようになったが……“白い破片”、
お父さんがいた頃、一緒にみた白い桜を、密かに<ゆきはな>と呼ぶようになった。
元舞台女優だったというママは、小学六年生のあたしをグロテスクに飾りたて、あちこちのオーディションを受けさせようとする。
そんな日々の中で、近所の花屋さんにやってきた新しいお姉さんと親しくなり、たびたび彼女の元へ通うようになったが……“初花”、
友人の紹介で知り合った、一回り歳が離れている夫と結婚したわたし。なるべく彼の希望に添うようにと努力してきたが、自分が死別した妻の代わりとして見られていることを知り、裏切られていたと気づく。
そんな彼に密かな復讐を企むわたしは、気づかせることなく不真面目になって、嘲笑ってやろうと、男たちと行きずりの関係を結ぶ。
しかしバーで知り合った直哉は、純粋な飲み友達で……“エリクシール”、
会社帰りの神社の境内で、男に話しかけられた私(大島勉)は、小手鞠里子という女について聞かせて欲しいといわれる。名前に心当たりのなかった私だったが、携帯の画像を見たところ、それは「ゆきちゃん」だった。
国税局査察部の雇われ捜査官だというその男曰く、彼女は税務調査をしている人間の愛人で、何人もの男を騙している女だという。
しかし私が奢ったのは、和菓子ばかりだった……“花荒れ”、
就職が決まらず大学卒業後フリーターになった僕は、大学の総合研究資料館で働くことになったが、唯一の職場仲間である上司・一之瀬さんは、頑固で潔癖。
そんなある日、タカミネという女性が、 大学にあるはずだという人の皮…刺青の標本を見せて欲しいとやってきた。断られても日参してくる彼女の理由とは……“背中”、
二年前に亡くなった祖母・キヌの家の庭で、私(咲)がたびたび見かける少女の幽霊。
そこでカメラマンだというおかしな男に出会うが、彼にもどうやらその幽霊が見えている様子。彼の祖母がキヌの親友であったという。
冗談を解さない厳格な人だった祖母だったが、私が描いていたイラストを密かに認めていたことを知らされる。だが、姉の夫・孝文に媚びるような色合いの、自分のものではない作品を描いてしまったことに嫌気が差し、今では描くことをやめてしまっていた……“樺の秘色”の7編収録の短編集。

それぞれに桜が登場する作品を集めた短編集で、まさに桜の首飾り、という感じの一冊。
“春の狐憑き”が好みかな~。

<13/3/24>

苺サンドショート@近江屋洋菓子店

2013-03-23 | スイーツ


 まあるいスポンジの間に、生クリームとみっしり並んだ苺。
 上に、苺とさくらんぼが載ってます。
 いろんな意味で、すごく懐かしい感じのするケーキでした(笑)。

 近江屋洋菓子店:東京(神田)



 せっかくの上京なので、ちゃちゃさんとお茶をしてきました~♪
 こちらはいろいろツッコミどころ満載(ザ・昭和!な感じ)で楽しいお店でしたね。

 ちゃちゃさんからおみやげもいただきました。
 ご馳走様でしたv楽しかったです~







 桜も咲いてました♪




皆川博子展&『少年十字軍』発売記念サイン会♪

2013-03-23 | おでかけ
 是非いつかはお逢いしてみたいと思っていた皆川博子さんのサイン会があるというので、いそいそと上京♪
 せっかくなので今月からミステリー文学資料館(光文社1F)で開催が始まっている『虚実つなわたり 皆川博子の世界展』も堪能。
 かなり規模は小さめですが、装画の原画や取材先でのお写真、新刊『少年十字軍』の元となった作品の生原稿(数十年前、児童劇団の応募用の脚本として書かれたもの)なども展示され、興味深い内容でした。



 その後、寄り道をしつつサイン会の会場である、紀伊國屋新宿本店へ。
 しかし、集合時間が14:25だというのに、何故か14:35だと勘違いしていたわたしは、14:30にイベントフロアに行ってしまうという(建物の中には早めに入ってたのに~;)ボケをかまし;;



 ちょうど中間の休憩に入られたところだったので、しばし待ちましたが、何とか無事列の最初に。
 入室すると(数名ずつ別室に入るスタイルだったので)、「お待たせしてごめんなさいね~」とにこやかに迎えてくださった皆川さんは、とても80歳を超えていられるとは思われないほど、とても若々しく素敵な方!
 薔薇の香りに包まれて、何だかほわほわと夢見心地でいる間に、あっという間に終わってしまいました。
 もっと何か云えば良かったーと、あとで後悔。握手をお願いするので精一杯でした。



 その香りの正体は、これ。メッセージカードと共にいただいた、薔薇ポプリ。